Debian 6.0 更新: 6.0.2 リリース

2011 年 6 月 25 日

Debian プロジェクトは安定版 (stable) ディストリビューション Debian 6.0 (コード名 squeeze) の2回目の更新を発表できることを嬉しく思います。 この更新は主にセキュリティ問題の修正を安定版 (stable) リリースに加えるもので、重大な問題に対する若干の調整への対応を追加しています。 セキュリティ勧告はすでに個別に発表されており、利用可能なものは参照されています。

この更新は Debian 6.0 の新しいバージョンを構成するといった性質のものではなく、 収録されているパッケージの一部を更新するだけであることに注意してください。 6.0のCDやDVDを投げ捨てる必要はなく、インストール後に最新の Debian ミラーから更新を取得して古くなったパッケージを更新するだけです。

頻繁に security.debian.org から更新をインストールしている人は大量のパッケージ更新をする必要はありません。 security.debian.org での更新のほとんどが今回のアップデートに含まれています。

新規のインストールメディアや CD、DVD イメージには更新されたパッケージが含まれ、 いつもの場所で間もなく入手可能になります。

オンラインからの今回のリビジョンへのアップグレードは、通常 aptitude (または apt) パッケージツールで Debian の FTP/HTTP ミラーの多くのうちの一つを指定することで実施されます (sources.list(5) マニュアルページを参照してください)。 ミラーの完全なリストは以下から入手出来ます:

https://www.debian.org/mirror/list

様々なバグ修正

この安定版の更新では、以下のパッケージに重要な修正が加えられています:

パッケージ 理由
aide32ビットシステムで巨大なファイルを適切にサポート。bind9 ログファイルのグループを修正
approxInRelease や .gz ではない圧縮ファイルをキャッシュしないように
aprkfreebsd-* で apr_ino_t が -D_FILE_OFFSET_BITS によりサイズを変えるのを修正
aptビッグエンディアンのアーキテクチャでのファイルサイズ計算を修正。apt-get update時にCDを要求しないように。XZサポートの追加
apt-listchangesNEWS ファイルに項目が1件しか収録されていない場合に正しく処理するように
base-files/etc/debian_version を更新
cliveliveleak.com の変更に追従
dbusシステムサービスへのローカルサービス拒否を修正 (CVE-2011-2200)
deborphan--guess-section の出力から libreoffice を除外。POSIX 流の方法で WINCH を捕捉。翻訳の些細な修正
dokuwikiXMLRPC インターフェイスでのACL迂回の問題を修正
dpkg「dpkg-divert --rename」でのリグレッションを修正。dpkg-split: 32ビットシステムでメタ情報を壊さないように。vsnprintf() の互換宣言を修正
e2fsprogs様々なバグ修正
fakechroot「debootstrap --variant=fakechroot」を修正
fcgiwrapinit スクリプトの「stop」ターゲットを修正
gdm3セッション開始前に SIGPIPE ハンドラをリセット。GDMが kill またはシャットダウンされた場合でも PostSession スクリプトを実行
gitgitlog ユーザの削除前に git-daemon/log サービスを終了させることで削除や完全削除を一手でできるように
gnome-settings-daemonXsettings マネージャ開始時の競合状態の可能性にとりあえず対処
ia32-libs安定版や proposed-updates からパッケージを更新
iceowlセキュリティ更新
im-configim-config が削除されたが完全削除されてはいない場合にGDM経由でログインできなくなるのを回避
inn履歴生成に「sort +1n」を使わないように。古くなった CHECK_INCLUDED_TEXT オプションをデフォルトで無効化
josm新しいOSMライセンスに同意していないユーザに対して、よりうるさく説明するように
kde4libsワイルドカードSSL証明書とクロスサイトスクリプティングのセキュリティ修正。ktar のチェックサムとマルチバイトの UTF-8 の扱いを修正
kdenetworkCVE-2010-1000 ディレクトリトラバーサル問題の修正を改善
kernel-wedgescsi-extra-modules に hpsa と pm8001 を追加。nic-extra-modules にbnaを追加
kerneltop行バッファのサイズを 1024 バイトに増加
klibcipconfig: DHCP オプションをエスケープ、ネットワークデバイスが複数接続されている場合に正しく処理 (CVE-2011-1930)
krb5サービス拒否を修正。w2k8r2 KDC との相互運用性を修正。不正な開放と二重解放を修正。PAC検証が失敗した場合に認証を失敗させないように
kupfer正しいパラメータの種類を使い、キーバインドが再び機能するように
libapache2-mod-perl2kFreeBSD で apr 1.4.2-6+squeeze3 に対して再ビルドして apr_ino_t サイズの修正を適用
libburn権限を過剰に制限したイメージを作成しないように
libfinance-quotehist-perlウェブサイトの変更により壊れているテストスイートを無効化
libmmsarm での配置の問題を修正
linux-2.6新しいハードウェアをサポート。長期版 2.6.32.41 を追加。破損したパーティションテーブルによる oops を修正。
linux-kernel-di-amd64-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-armel-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-i386-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-ia64-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-mips-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-mipsel-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-powerpc-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-s390-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
linux-kernel-di-sparc-2.6kernel-wedge 2.74+squeeze3 に対して再ビルド
lua-expat「billion laughs」サービス拒否攻撃を修正
monkeyspheremonkeysphere-host revoke-key を修正
nagios-pluginsping 対象の全ホストのIPを処理するのに十分なバッファを割り当て
nsd3パッケージのユーザ削除前に statoverride を削除
openldapデータベース破損の可能性がある問題、複数のセキュリティ問題、dpkg-reconfigure を修正
php-svnkFreeBSD で apr 1.4.2-6+squeeze3 に対して再ビルドして apr_ino_t サイズの修正を適用
php5kFreeBSD で apr 1.4.2-6+squeeze3 に対して再ビルドして apr_ino_t サイズの修正を適用
pianobarAPIキーを XMLRPC v30 向けに更新
postgresql-8.4新しい上流のバグ修正リリース。TOAST テーブルでの pg_upgrade の利用を修正
prosody「billion laughs」サービス拒否攻撃を修正
puppetサービスプロバイダを修正して update-rc.d の無効化 API を適切に利用するように
python-aptRealParseDepends でデフォルトで multiarch を除外。XZのサポートを追加
python-gudev欠けている python-gobject への依存を追加
q4winelib64 にあるライブラリを同梱しないように
qemumips(el) で binfmt に qemu-mips(el) を登録しないように
qemu-kvm一部のゲストでゼロ除算が起きるのを修正。vncの zlib でのオーバーフローを修正。ユーザハードウェアのエラーで中断しないように。32ビットでの移行を修正
qt4-x11一部の不正なSSL証明書をブラックリストに追加。ワイルドカード証明書検証の弱点を修正
rapidsvnkFreeBSD で apr 1.4.2-6+squeeze3 に対して再ビルドして apr_ino_t サイズの修正を適用
refpolicy様々な権限修正
reprepromd5sums を収録していない Release ファイルを処理
ruby1.8libruby1.8 を irb1.8 と rdoc1.8 に対して競合 (conflict)/置換 (replace) とすることで lenny からのアップグレードを修正
sambatdb2.so からのシンボルが定義されていないエラーを修正。印刷関連の複数のバグと winbind / idmap でのgid漏洩を修正。新しく潜在的に破壊的な「map untrusted to domain」パラメータに言及
schrootdchroot.conf のロードを修正
softhsmパッケージのユーザ削除前に statoverride の項目を削除
sun-java6新しい上流のセキュリティ更新
tzdata新しい上流バージョン
vimperatoriceweasel との互換性の問題を解決
widelandsインターネットゲームでの潜在的なセキュリティ問題を修正
xenomaisqueeze のカーネルに対してきれいに適用できるようにカーネルパッチを調整
xserver-xorg-video-tsengドライバの初期化を修正

Debian インストーラ

インストーラで利用するカーネルイメージが更新され、重要な修正やセキュリティ関連の修正、 追加のハードウェアサポートが盛り込まれています。

セキュリティ更新

この改訂では安定版 (stable) リリースに以下のセキュリティ更新が追加されます。 セキュリティチームはこれらの更新それぞれについての勧告をすでに発表しています:

勧告IDパッケージ修正内容
DSA-2161 openjdk-6サービス拒否
DSA-2193 libcgroup複数の問題
DSA-2194 libvirt特権の昇格
DSA-2195 php5複数の問題
DSA-2197 quaggaサービス拒否
DSA-2198 tex-common入力の不十分なサニタイズ
DSA-2199 iceapeHTTPS 証明書ブラックリストの更新
DSA-2200 iceweaselHTTPS 証明書ブラックリストの更新
DSA-2201 wireshark複数の問題
DSA-2202 apache2root 権限を落とすのに失敗
DSA-2203 nssHTTPS 証明書ブラックリストの更新
DSA-2205 gdm3特権の昇格
DSA-2206 mahara複数の問題
DSA-2208 bind9サービス拒否
DSA-2209 tgt二重解放
DSA-2211 vlc入力のサニタイジング欠落
DSA-2212 tmux特権の昇格
DSA-2213 x11-xserver-utils入力のサニタイジング欠落
DSA-2214 ikiwiki入力検証の欠落
DSA-2215 gitoliteディレクトリトラバーサル
DSA-2216 isc-dhcp入力のサニタイジング欠落
DSA-2218 vlcヒープベースのバッファオーバーフロー
DSA-2219 xmlsec1ファイルの上書き
DSA-2220 request-tracker3.8複数の問題
DSA-2221 libmojolicious-perlディレクトリトラバーサル
DSA-2222 tinyproxy誤ったACL処理
DSA-2223 doctrineSQLインジェクション
DSA-2224 openjdk-6複数の問題
DSA-2225 asterisk複数の問題
DSA-2226 libmodplugバッファオーバーフロー
DSA-2227 iceape複数の問題
DSA-2229 spipサービス拒否
DSA-2230 qemu-kvm複数の問題
DSA-2231 otrs2クロスサイトスクリプティング
DSA-2232 exim4フォーマット文字列の脆弱性
DSA-2233 postfix複数の問題
DSA-2235 icedove複数の問題
DSA-2236 exim4コマンドインジェクション
DSA-2237 aprサービス拒否
DSA-2238 vinoサービス拒否
DSA-2239 libmojolicious-perl複数の問題
DSA-2240 user-mode-linux複数の問題
DSA-2240 linux-2.6複数の問題
DSA-2241 qemu-kvm実装の誤り
DSA-2242 cyrus-imapd-2.2実装の誤り
DSA-2244 bind9境界条件の不具合
DSA-2245 chromium-browser複数の脆弱性
DSA-2246 mahara複数の脆弱性
DSA-2247 rails複数の脆弱性
DSA-2249 jabberd14サービス拒否
DSA-2250 citadelサービス拒否
DSA-2254 oprofileコマンドインジェクション
DSA-2255 libxml2バッファオーバーフロー
DSA-2257 vlcバッファオーバーフロー
DSA-2259 fex認証の迂回
DSA-2261 redmine複数の問題
DSA-2262 moodle複数の問題
DSA-2263 movabletype-opensource複数の問題
DSA-2265 perltaint チェックの欠落

削除されたパッケージ

以下のパッケージが私たちの力の及ばない事情により削除されました:

パッケージ理由
ktsussセキュリティ問題、保守されていない

URL

このリリースで変更されたパッケージの完全なリスト:

http://ftp.debian.org/debian/dists/squeeze/ChangeLog

現在の安定版 (stable) ディストリビューション:

http://ftp.debian.org/debian/dists/stable/

安定版 (stable) ディストリビューションへの更新提案中のパッケージ (Proposed updates):

http://ftp.debian.org/debian/dists/proposed-updates

安定版 (stable) ディストリビューション情報 (リリースノート、正誤表など):

https://www.debian.org/releases/stable/

セキュリティ関連のアナウンスと情報について:

http://security.debian.org/

Debian について

Debian プロジェクトはインターネットを介し、 時間と労力を費やして完全にフリーなオペレーティングシステムである Debian を開発しているフリーソフトウェア開発者らによる団体です。

連絡先について

より詳細な情報については、Debian のウェブページ https://www.debian.org/ を訪れるか、<press@debian.org> 宛にメールする、もしくは <debian-release@lists.debian.org> から安定版リリースチームに問い合わせを行ってください。