注意: 原文はこの翻訳よりも新しくなっています。

Debian ウィークリーニュース - 2003 年 5 月 20 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 20 号へようこそ。Debian はまだ GCC 3.2 のことで争っているのに、どうやらコンパイラ開発者は、すでにバージョン 3.3 を発表したようです。Libranet は、バージョン 2.8 を発表しました。このリリースに対するお世辞がここにあります。 また、ほかの記事もあります。

Debian リーダーによる委任。 Martin Michlmayr さんは、ここ数週間のうちに彼がこなしてきた作業について、 次のような報告しました。Manoj Srivastava さんは、引続きプロジェクト書記としての活動を続けます。 また、Matt Zimmerman さんは、セキュリティチームの正式なメンバーになりました。 もし、セキュリティに関して手助けするのに興味があるなら、遠慮なく手伝ってください。さらに、Debian が会員になっている他の組織と、代表者が文書化されました。

Webb.it からのレポート。 Federico Di Gregorio さんは、イタリアのパドバで、5 月 9 日から 11 日に行われた、Webb.it 会議での Debian の様子についてレポートを書きました。 会議の期間中、1000 以上のワークショップが開催されました。イタリアの Debian の人達は、フリーソフトウェアに興味を持った人々と会い、何台ものマシンに Debian をインストールし、GPG 鍵に署名したり、ワークショップに参加したり、 開催したりしました。さらに、Debian が起動している、4 台の Xbox マシンによるクラスタを訪問者に展示していました。

Debian の MIA チェック。 James Troup さんは、活動を休止している (missing in action、MIA) メンテナの取り扱いについて、対策を発表しました。彼は、3 月 12 日に、活動を休止していると思われる 191 人の Debian 開発者に対して、確認のメールを送りました。34 通のメールは、 エラーで返ってきました。28 人のメンテナは、リタイアを申請しました。10 名の人は、今も活動中だと応えました。90 名の人は、期限の 2 ヵ月以内に返答がありませんでした。このため、近いうちに無効になるアカウントがあります。

Debian への寄付の取り扱い。 Martin Michlmayr さんは、Mako Hill さんが、SPIffis 以外から集められた、Debian プロジェクトに対する寄付者のリストをまとめる予定だと発表しました。これらふたつは、Debian のパートナーとなる非営利組織です。 Debian マネーを持っている人 (例えば、前回のトレードショー以降) は、彼に連絡を取るようお願いしています。

メニューにアイコンが必要? アプリケーションがアイコンを提供しない場合に、 ウィンドウマネージャのメニューで使うデフォルトのアイコンが必要かどうか提案した人がいました。Lars Wirzenius さんは、このアイデアに反論しました。 アイコンの目的は、アプリケーションのための視覚的なシンボルであって、 ランダムな図形ではないからです。

いくつかの重要なみなしごパッケージ。 Martin Michlmayr さんは、いくつかのパッケージをみなしご化したと発表しました。 これらのうちの多くは、どれも未解決のリリースクリティカルバグを持っているか、 最近メンテナによってアップロードされていません。彼は、 これらのバグを修正し、最終的には引き取ってくれる有志を探しています。

lm-sensors の重要な変更。 David Maze さんは、lm-sensors 2.6.5 と 2.7.0 の間で、対応するライブラリの soname が同じままで、libsensors1 のバイナリインタフェースが変更されたと報告しました。 正しい処置としては、上流にて soname を変更することですが、まだ応答がありません。 しばらくの間、Debian 内部でのみライブラリの soname を変更することが提案されました。

変更されたレイアウトに関する翻訳論争。 apache のメンテナと、フランス語翻訳チームの間で論争がありました。原因は、フランス語のパッケージ説明文の翻訳が、 オリジナルと整合性のないものだったからです。Matthias Urlichs さんは、英語のテキストはたいてい他の言語よりも短いので、 説明文をフォーマットし直すのに充分足りる理由となるという理由を付け加えました

テスト版のセキュリティサポート。 Chris Leishman さんは、Debian は、テスト版 (testing) でもセキュリティのサポートをしなければならないのではないかと書きました。 Matt Zimmerman さんは、修正されたパッケージは自動的に不安定版 (unstable) からテスト版 (testing) に移動されるので、修正されたパッケージがまだ不安定版 (unstable) にないなら、テスト版 (testing) と不安定版 (unstable) の両方に向けて更新を準備するのは時間の無駄になってしまうと説明しました

DebConf 3 へ行く。 Joachim Breitner さんは、DebConf は、まだ開発者として登録されていない人にとっても、 参加する価値があるのかどうか疑問に思いました。 Andreas Tille さんは、ボルドーでの DebConf は、Debian のために作業するのに、 もっとも有意義な時間だったと説明しました。 さらに彼は、楽しいのは、問題を解決するときに頼ることができる、 有能な人々がたくさんいることだと付け加えました。

GNOME のフォント設定を有効にする。 Sander Smeenk さんは、フォントの設定は保存されるのに、X のセッションを再起動したときに有効になっていないことに気づきました。 Ross Burton さんは、Sander さんは、gnome-session 経由で GNOME を起動していないので、XSETTINGS データベースが有効化されていないと説明しました。 このような場合、gnome-settings-daemon を、起動スクリプトから手動で起動しなければいけません。Mateusz Papiernik さんは、このような設定を設定ファイルに記述する方法を説明しました

マニュアルページの翻訳。 Denis Barbier さんは、現在のところ、翻訳されたマニュアルページは、 オリジナルパッケージに含めてもらうか、manpages-xx パッケージとするかについての合意がないことに気づきました。 これは、翻訳が最初は後者として出され、その後、前者に組み込まれた場合 (例えば、上流の tarball の一部となったときなど)、衝突を招きます。

新規メンテナのためのパッケージリポジトリ。 Daniel K. Gebhart さんは、Debian の開発者になりたいと志願しているが、 まだ受け入れられていない人々のためのパッケージリポジトリを実装した、Debian 指導者プロジェクト (Debian Mentors Project) を発表しました。 公式の Debian アーカイブに直接パッケージをアップロードできるのは、 登録された Debian 開発者だけなので、これから開発者になる人は、 このサービスを利用するとよいでしょう。

non-free な文書を分離する。 Colin Watson さんは、ついに doc-linux パッケージから、non-free な部分を分離したことを発表しました。 新しいパッケージ doc-linux-nonfree は、ftpmaster の承認を待っています。このパッケージの copyright ファイルは非常に大きいので、しばらく時間がかかりそうです。今のところ、HOWTO 文書とミニ HOWTO 文書のうちの、10 % 未満だけが non-free となっています。

Debian GNU/FreeBSD のマイルストーン。 Robert Millan さんは、ついに GNU/FreeBSD の chroot jail 環境が、自力で運用できるようになったと発表しました。 彼は、jail 環境下で、glibc 2.3・GCC 3.2.3・binutils の、正しく動作するパッケージをビルドすることに成功しました。tarball がアップロードされましたが、この tarball は、開発やバグ修正以外には全く役に立たないと Robert さんは言っています。

デフォルトの LDP ライセンスの DFSG 的分析。 Branden Robinson さんは、Linux ドキュメンテーションプロジェクト (LDP) で使われているデフォルトのライセンスについて、 詳細に調査しました。 これは、LDP 文書の間で、もっとも一般的なライセンスでもあります。 彼は、いくつかのセクションを書き直すよう提案しましたが、このライセンスは基本的に Debian フリーソフトウェアガイドラインに準拠しています。

新しい IPv6 パッケージ。 Fabio Massimo Di Nitto さんは、アーカイブに起こった、いくつかの変更を発表しました。 これまで、ポリシーは、main アーカイブで配布した全ての IPv6 パッケージのバージョンを揃えておくとしていました。しかし、 テストの速度を上げる必要があるので、ふたつのパッケージについて、 今こそこのルールを変えるときだとしています。ひとつ目のパッケージは、 ntp-unstable です。これは、一部を除いて IPv6 をサポートした、ntp の CVS スナップショットです。ふたつ目のパッケージは、Daniel Stone さんの XFree86 4.3 です。これは、X.org の IPv6 パッチを含んでいます。

憲章の改正。 Manoj Srivastava さんは、選挙や一般的な決議において、Condorcet/Clone Proof SSD 投票集計を導入しようと、Debian 憲章を変更するために、この正式な提案を投稿しました。提案された変更内容は、 選挙方式委員会の激務の結果によるものです。この提案は、 必要な支持を得ました。公式な議論の期間は、2003 年 5 月 30 日 (金) 23:59:59 UTC までです。

新しい投票スクリプトをテストする。 Manoj Srivastava さんは、現在、新しい投票スクリプトをテストする投票を実施しています。 devotee は potato では動かない (vote.debian.org は potato で運用しています) という問題はまだ未解決のため、彼はこの投票を自宅のマシンで運用しています。 数ある選択肢のうちのふたつは、過半数以上の多数を必要とするので、この選挙は、 過半数以上の多数を計算するよいテストになります。この試験投票は、 9 色の中からひとつを選ぶことになっています。Manoj さんは、「最高の色が勝つ」 と言っています。

Ogg メディアタイプのサポート。 Ray Dassen さんは、Ogg ビットストリームフォーマットは、RFC 3534 で正式に MIME タイプとして指定されたと報告しました。Debian がこの MIME タイプをできるだけサポートするのはよいことです。 Ogg ビットストリームフォーマットは、有名な Ogg Vorbis オーディオコードのコンテナフォーマットとして使われています。Ray さんは、不完全ながら、 修正が必要なパッケージのリストを付け加えました。

SCO の主張に対する Debian のスタンス。 先週、2 度に渡り、SCO の主張は Debian に影響があるかどうか尋ねられました。SCO は、かつては Caldera として知られ、GNU/Linux 指向のビジネスをしています。Ray Dassen さんは、この問題は、廃れゆく企業の主張と噂から成り立っているに過ぎないと説明しました。彼らは、明確な証拠をまだ提示していません。その上、SCO 自身もその独占的な (Unixware の?) カーネルに、Linux カーネルから GPL なファイルシステムのコードを含めており、GPL に違反しているという明確な兆候があります。詳細な調査は、以前に、Open Source Initiative から発表されています。

IFIT 会議のレポート。 5 月 9 日と 10 日に、オーストリアのインスブルックで行われた、IFIT (Informationday Free Information Technology) のレポートが参照可能になりました。 この会議は、政治家によるパネルディスカッションで始まりました。その後、Debian の開発モデルを含む、多くのプロジェクトについて詳しく見ていくワークショップが続きました。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または言及するべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 3 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 184 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Dan Hunt, Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。