Debian ウィークリーニュース - 2003 年 6 月 24 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 25 号へようこそ。Debian は、オーストラリアの Australian Personal Computer という雑誌で初めて表紙を飾りました。Rob Savoye さんは、20 台のデュアルプロセッサ Itanium II マシン (HP zx6000s) のラックを、48 時間以上に渡って手掛けるという面白い体験を報告しました。 現在すべてのマシンでは Debian が稼働しています。

セキュリティの更新手順。 Matt Zimmerman さんは、多くのパッケージメンテナが自らのパッケージに関する セキュリティ問題への対応の際に、推奨されている方法を認識していないことに気づきました。したがって彼は、現在推奨されている手順が書かれているデベロッパーズリファレンスの 関連するセクションを読むよう、パッケージメンテナンスに関わる人全員に強く求めました。 これは最近詳細な解説を加えて更新されたばかりです。

フリーズ日の予測。 Drew Scott Daniels さんは、開発者がリリースに向けて準備するのに役立つと思って、 フリーズ日の予測について話しました。 彼は、debian-installer が 2 ヵ月で完成すると期待していて、 だとすれば今年中にフリーズできると思っています。また彼は、フリーズサイクルは 6 ヵ月間続くと予測しています。

Debian の LinuxTag への参加。 Debian プロジェクトは、ドイツのカールスルーエで 7 月 10 日から 13 日に行われる LinuxTag の展示会でブースを出します。 また 2003 年 7 月 11 日には、開発者と興味のあるユーザに向けた講演とワークショップを丸一日行います。Newsforge には、いくつかの非営利な出展者についての詳細な記事があります。

人気コンテストの修正。 Bill Allombert さんは、Avery Pennarun さんの壊れてしまった人気コンテストのウェブページの後継ページを書いたと報告しました。 また彼は、ページ内のスクリプトを取得できるようにしました。 これを使うと、結果をインストール数や投票数などで並べ替えできます。

Knoppix と MAME。 Slashdot での発表通り、KnoppiXMAME 1.0 がリリースされました。KnoppiXMAME は起動可能なアーケードマシンエミュレータで、Knoppix Debian GNU/Linux・X-MAME 0.69・gxmame 0.33 で動作します。ISO イメージは、たった 200 MB しかありません。Knoppix のマスタを新たに作ったり再圧縮したりせずに、 CD の ISO イメージ内に ROM データを置くことができます。

学校に 80,000 台の GNU/Linux コンピュータDesktopLinux.org によると、スペインはエクストゥレマドゥーラにある州政府は GNU/Linux を 搭載した 80,000 台のコンピュータを 学校に配備したそうです。システムには、GNU/LinEx と呼ばれる Debian のカスタム バージョンを使っています。GNOME デスクトップなど、 生産性の高いフリーソフトウェアプログラムを採用しています。

投票方法一般決議の結果。 Manoj Srivastava さんは、condorcet/Clone proof SSD 投票方法一般決議の結果を発表しました。 合計 160 票の有効票が投じられ、144 票が決議に賛成でした。したがって、 必要な 3 対 1 の多数を越えて、9 対 1 の圧倒的多数で決議は通過しました。

LaTeX Project Public License。 以前から、LaTeX Project Public License (LPPL) は Debian Free Software Guidelines (DFSG) の条件下では non-free だと考えられてきました。Jeff Licquia さんは、このたび LPPL の新しいリビジョンを投稿しました。この版は DFSG を満たすと彼は考えています。 新しいライセンスは DFSG フリーであると、大筋での合意が得られました。1 年に及ぶ作業と合計 1,500 通ものメールの結果、この問題は解決しそうです。

ハードウェアの寄付。 Debian のハードウエア寄付管理者の Benjamin Mako Hill さんは、 各種の寄付されたハードウェアが利用可能だと発表しました。最近、何台かのSGI Indy がアメリカのカルフォルニアとドイツで Debian に寄付されました。アムステルダムでは、Alphastation 200 が使えるようになりそうです。また Mako は、開発者がアクセスできる Hurd マシンは今のところ無いと言っていますが、あれば便利だと思う開発者がいるのなら、 喜んでハードウェアの寄付の調整をすると言っています。

オープンソースと市長選。 この Wired のニュース記事は、 スペインのサラゴサの市長候補者について伝えています。 その候補者は選挙の所信表明として、オープンソース開発の恩恵を利用しています。 Debian ベースディストリビューションの Augustux のコピーを配り、 完全に無料の無線インターネットアクセスについて話しています。Belloch さんは、フリーでオープンな技術がどのようにして雇用機会や政治参加、 経済成長、社会福祉に形を変えるのか、具体的な数字と詳細をもって明確に説明しています。

ヨーロッパのソフトウェア特許。 Wookey さんは、ヨーロッパのソフトウェア特許の現状について報告しました。 もともとはソフトウェアの完全な特許資格を与える機関である JURI 委員会において、 投票が最近行われました。 フリーソフトウェアを支援したり中小企業への影響を軽減するような、 有意義な対策はありませんでした。この問題は、非常に緊迫しています! Wookey は、5 月 5 日から 7 日にブリュッセルで行われた、 ソフトウェア特許についての会議の報告を続けました。

apt-get に rsync を使う。 Dan Jacobson さんは、apt-getrsync 方式を使うと、Packages ファイルの取得にのみ影響するのか、 それともパッケージ自体も rsync で取得するのか知りたいと思いました。Colin Watson さんは、すでに gzip には rsync で使いやすいアーカイブを生成するパッチがあてられていると付け加えました

パッケージの日付がない。 Dan Jacobson さんは、Packages ファイルはパッケージが いつアップロードされたかという情報を含んでいないと言いました。 したがって、ダウンロードして changelog ファイルを見ないと、 最近更新されたパッケージなのか長い間更新されていないのか判断することができません。

libc 5 のサポートを中止する。 Francesco Lovergine さんは、libc5 に関連した i386 特有のパッケージすべてを削除するよう提案しました。 しかし、これらのうちのいくつかは独占的な non-free ソフトウェアの実行に必要かもしれません。

Perl ライセンスの説明。 Marc Haber さんは、ftp の管理者達が「Perl 自身と同じ条件下」で配布されている パッケージを拒否していることに気づきました。 しかし、Perl は GNU GPLArtistic ライセンスを用いたデュアルライセンスです。多くの人は、これは問題になる 可能性があると認識し、 Perl 形式の著作権とライセンスの解釈の柔軟性を上流の作者に汲み取ってもらうよう 提言しました。

teTeX 更新時のうっとうしい質問。 Bernd Eckenfels さんは、teTeX パッケージを更新すると結果として設定ファイルを 更新することになると気づきました。 これは全く問題ありません。しかし更新の際にローカルな変更が加えられるため、 ユーザは多くのファイルを更新するかどうか尋ねられます。Matt Zimmerman さんは、これは設定ファイルがあるパッケージから別のパッケージに移されたとき、 リネームされたとき、以前はそうでなかったものが設定ファイルに切り替えられたとき などに発生すると説明しました

不適切なパッケージ説明文。。 Javier Fernández-Sanguino Peña さんは、間違った使い方をした パッケージ説明文に対して不満をもらしました。説明文は、システム管理者がそのパッケージを インストールするかどうか決定するのに充分な情報を与えなければなりません。 いくつかのパッケージはこの要求を満たしていないので、Javier はしかるべき バグ報告をするつもりです。

リードオンリーなルートファイルシステム。 Thomas Hood さんは、Debian でリードオンリーなルートファイルシステムを 使いやすくする目標に向けて、 いくらかの進展があったことを報告しました。 変化しうるファイルが /etc/ ディレクトリから削除されたり、 少なくともローカルでそのようにできるようになりました。

Haskell ライブラリのパッケージング。 Isaac Jones さんは、Haskell ライブラリのパッケージングの問題点について報告しました。 最近、Debian 用に Haskell ライブラリとツール群をパッケージングする最良の方法について、 数多くの議論が Haskell メーリングリストで行われて来ました。問題の一つは、Haskell コンパイラ・インタープリタ・リリースのほとんどすべてが、バイナリ互換性を 持たないということです。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または言及するべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 8 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 189 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Dan Hunt, Drew Scott Daniels, Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。