Debian ウィークリーニュース - 2005 年 3 月 29 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 13 号へようこそ。James Troup さんが、ftpmaster チームに新たに 2 名の開発者を加え、特に新規パッケージの処理に当たる予定だと発表しました。Rob Bradford さんは、英国での寄付を取り扱う、Debian UK ソサエティーがようやく設立されたと発表しました。

Debian-Installer RC3 がリリース。 Joey Hess さんは、debian-installer の 3 度目のリリース候補を発表しました。このリリースでの最も重要な変更は、数多くのセキュリティ修正を含むカーネルバージョンのアップデートです。また、partitioner も、他のオペレーティングシステムの扱いに関してさらに改善されています。

新規メーリングリストの作成。 Pascal Hakim さんは、いくつかの新規のメーリングリストを作成したと発表しました。 3 つの地域化メーリングリスト (debian-l10n-arabic、debian-l10n-czech、debian-l10n-korean)) の他に、2 つのインフラストラクチャ関連メーリングリストも作成されています。debian-testing-changes はテスト版 (testing) の変更通知に、一方の debian-dak は dak と buildd 関連のコンポーネントに関連する議論に使われる予定です。

選挙のための情報源。 David Schmitt さんが、2005 年の選挙運動の期間中にプロジェクトリーダー候補がやり取りした、質問と回答のまとめを公開しました。 Thaddeus H. Black さんも、DPL 討論会の時系列のログから意味のある記述を抜き出しました。このログは、討論会の第 2 部で行われた質問や回答、議論を詳しく読むために準備されたものです。

libtool 1.4 への構築時依存。 Andrew Pollock さんが、いまだに 5 つのパッケージが構築時依存に libtool 1.4 を指定しているのに気づきました。 libtool 1.4 は古くなっており、削除される予定です。 Frank Lichtenheld さんは、libtool 1.4 を使っているパッケージに対して、バージョン 1.5 の利用が得策だと思われるのでアップグレードを実施するようバグ報告をしてはどうか、と提案しました。 Henrique de Moraes Holschuh さんも、新しい libtool、autoconf、gettext ユーティリティを強制的に使わせるよう提案しました。

品質保証ハッキングイベント。 Luk Claes さんは、Debian カンファレンスの直前に、ヘルシンキで公式の QA ハッキングワークキャンプを開催するよう提案しました。これは、lintian や linda によるバグ修正、アーカイブからの古いパッケージの削除、WNPP ページの一掃、QA グループがメンテナンスしているパッケージやその他 QA グループの管理範囲にある問題のバグ修正などで構成されます。

他人の ITP を閉じる。 Shachar Shemesh さんは、Open Xchange に対する Intent to package (ITP) に進展がないのに気づき、このソフトウェアを彼自身がパッケージにした場合には何をすべきか考えました。 Matthew Palmer さんは、実際にパッケージをアップロードする前に、バグレポートにメモを付け加えて支援を申し出るよう提案しました。

パッケージ説明文のスペル修正。 Florian Zumbiehl さんは、開発者がパッケージ説明文の中で犯している、また別のありがちな間違いに気づきました。彼は、頭文字に対する "a" と "an" の誤用も一覧を挙げました。Joey Hess さんは、中には FAQ のように様々な読み方があってあいまいなものもある、と指摘しました。

PHP とその派生ソフト。 PHP のライセンスが、その派生ソフトに関して調査されました。 Francesco Poli さんは、PHP 3 は GNU GPL とのデュアルライセンスになっていると指摘しました。 PHP 4 のライセンスには、派生ソフトの名称が PHP であったり、PHP という単語を含むのを禁止する条項が含まれています。Andi Gutmans さんは、わずかな変更やセキュリティ上の修正なら問題はなく、Apache も同じ方法でライセンスされていると説明しました。

CD/DVD イメージのリリース進捗。 Steve McIntyre さんは、CD チームからのリリース進捗のまとめを出しました。cdimage.debian.org のディスクスペースが増強されたので、リリース後には woody と sarge 両方のフルイメージを提供できそうです。sarge に必要な容量により、バイナリ DVD のイメージは各アーキテクチャに付き 1 枚もしくはそれ以上になる予定です。もちろん、候補となるイメージとファイルには、Torrents と Jigdo のファイルも含まれています。

低い投票率。 現在実施中のプロジェクトリーダー選挙への 2 度目の呼びかけで、Manoj Srivastava さんは、投票率の調査を始めて以来、プロジェクトリーダー選挙では過去最低の投票率となっていると報告しました。彼はインタビューの中で、社会契約の変更後のことや、AMD64 およびバンクーバーからの趣意書の問題などで迷っている開発者が多いのではないかと予想しています。

Hurd/L4 の Marcus Brinkmann。 Marcus Brinkmann さんがインタビューの中で、 Hurd および、仮想メモリ管理の貧弱さを理由に Mach マイクロカーネルがベースから破棄されたことについて説明しました。代わりに、最近になってプログラムを実行できる段階にまで漕ぎつけた、L4 マイクロカーネルへの Hurd の移植を新たな目標としています。このインタビューは、他の分野についても多くの見識が含まれています。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、システムを更新してください。

DSA 697: netkit-telnet -- 任意のコードの実行。
DSA 698: mc -- バッファオーバフロー。
DSA 699: netkit-telnet-ssl -- 任意のコードの実行。

新規または注目すべきパッケージ。以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

asciidoc -- 文書を書くための、高度に設定可能なテキストフォーマット。
atomix -- 孤立原子から分子を構築するパズルゲーム。
bmon -- ポータブルな、帯域監視と速度推定プログラム。
bookmarkbridge -- ブラウザ間でブックマークを同期させるツール。
cbios -- オープンソースの MSX BIOS ROM。
checkstyle -- Java ソースのコーディングスタイルをチェックするツール。
cpufrequtils -- Linux カーネルの cpufreq 機能を取り扱うユーティリティ。
decompyle2.2 -- 古いバージョンの Python バイトコードデコンパイラ。
didiwiki -- ウェブサーバを内蔵したシンプルな Wiki 実装。
dosage -- パワフルなウェブコミックのダウンロード/アーカイブツール。
dumputils -- LKCD 用の設定が簡単なダンプリカバリユーティリティ。
dvbsnoop -- DVB/MPEG ストリームのアナライザ。
encfs -- 暗号化仮想ファイルシステム。
flexloader -- SRAM ベースの ALTERA デバイス設定ユーティリティ。
fondu -- Mac と UNIX のフォント形式を変換するプログラム。
gaim-encryption -- 透過的な暗号化を提供する Gaim のプラグイン。
gnomebaker -- GNOME デスクトップで CD/DVD を作成するアプリケーション。
gphpedit -- PHP/HTML/CSS の開発環境。
graveman -- グラフィカルな、CD 作成アプリケーション。
gromit -- スクリーン上に注釈を付ける GTK ベースのツール。
gwget -- wget の GNOME フロントエンド。
heaplayers -- 高性能なメモリ割り当てツール。
horde3 -- Horde ウェブアプリケーションスイート。
icheck -- C インターフェイスの ABI/API チェッカー。
kdissert -- マインドマップ作成ツール。
kwirelessmonitor -- KDE シストレイ用の無線インターフェイスモニタ。
latex-svninfo -- LaTeX の Subversion サポート。
leafpad -- GTK+ ベースのシンプルなテキストエディタ。
lsscsi -- システムに接続されている SCSI デバイス (やホスト) を表示するツール。
maildirsync -- 簡単で効率的な Maildir 同期ユーティリティ。
mcelog -- x86-64 マシン上で、マシンチェック例外を収集してデコードするツール。
moc -- ncurses ベースのコンソールオーディオプレイヤー。
nanoblogger -- UNIX コマンドライン向けの、小さな weblog エンジン。
odyssey -- PIC マイクロコントローラプログラミングアプリケーション。
ooo2dbk -- OpenOffice.org の SXW 文書を DocBook XML に変換するプログラム。
pasmo -- 使い易い Z80 クロスアセンブラ。
pong2 -- OpenGL 上での、古いアーケードゲームのリメイク版。
reprepro -- Debian パッケージのリポジトリを作成するツール。
rhino -- Java で書かれた JavaScript エンジン。
rsyncrypto -- rsync と相性のいい暗号化ツール。
rubilicious -- ソシアルブックマークマネージャ Delicious の Ruby バインディング。
scmail -- Scheme で書かれたメールフィルター。
sgcontrol -- Hamlib ライブラリを使った、複数の通信受信機を操作する GUI。
skippy -- OS X Expose のような、フルスクリーンの X11 タスク/ウィンドウ切替器。
srg -- Squid プロキシ用の高速・柔軟かつ詳細なログ解析プログラム。
stress -- コンピュータシステムに負荷やストレステストを実施するツール。
svn-arch-mirror -- Subversion から Arch リビジョン管理への片方向のミラーリングツール。
telak -- デスクトップにリモートやローカルの画像を表示するツール。
xprint -- X11 印刷システム。
xrsh -- XWindow プログラムの遠隔実行プログラム。
xwine -- WINE エミュレータ用のグラフィカルユーザインターフェイス。
yacpi -- ncurses ベースのテキストモード ACPI モニタ。
zeroconf -- IPv4 リンクローカルアドレスを割り当てるプログラム。

みなしご化されたパッケージ。今週 4 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。これでみなしご化されたパッケージは合計 226 個となりました。フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

bbappconf -- Blackbox アプリケーションウィンドウ設定ツール。 (Bug#301762)
openwebmail -- Noemail ベースの WebMail。 (Bug#301561)
partimage -- パーティションを圧縮イメージファイルにセーブする Linux/UNIXユーティリティ。 (Bug#301562)
scoop -- ウェブベースの共同作業ができるメディアアプリケーション。 (Bug#301754)

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Pascal Hakim, Thaddeus H. Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。