Debian ウィークリーニュース - 2005 年 10 月 25 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 43 号へようこそ。Jörg Jaspert さんは、 パッケージが NEW キューで拒否される割合が高まっており、それは主に copyright ファイルが不完全であるためだと気付いて、 アップロード前にパッケージに含まれるファイルを調べるよう提案しました。日本の Debian ユーザは、来たる週末 (10 月 28・29 日) に大阪で Japan Debian Mini Conf を開く予定です。

Etch リリースの進捗。 Steve Langasek さんは、sarge のリリースに大量の時間を割いた人々に感謝の意を示しetch のリリーススケジュールを提案しました。このスケジュールでは、 ツールチェインやカーネルが 7 月に最初にフリーズし、その他の一般的なパッケージも 10 月にフリーズします。それらの重要イベントが予定どおり達成できれば、2006 年 12 月に etch がリリースされるでしょう。

グラフィカルな Debian-Installer。 Christian Perrier さんは、Debian Installer チーム月例会議の最新の議事録の一部で、Debian-Installerグラフィカルなフロントエンドについて報告しました。Davide Viti さんは以前、 グラフィカルなインストーラがもう少しでうまく動くことや、小さな ISO イメージで試しに使えることを発表しました

システム起動過程のポートの割り当て。 Gernot Salzer さんは、 一部のネットワークポートは起動プロセス内で動的に割り当てられるため、 固定したポートを使うデーモンとたまに衝突することに気付きました。Javier Fernández-Sanguino Peña さんは、 割り当ては GNU C ライブラリの内部で行われると説明し、 そのような問題を防ぐために portsreserve パッケージに着手しました

デフォルトのローカルホストネーム。 Christoph Haas さんは、インストール後のローカルホストネームが、単なる localhost ではなく localhost.localdomain をデフォルトとしているのを発見しました。Joey Hess さんは、既に Bug#247734 を受けて sarge のリリース後に設定が変えられている、と説明しました

パッケージ名のプラス記号。 Andres Salomon さんは、複数のユーザが libsqlplus1 というパッケージ名に戸惑ったので、mysql++ パッケージのバイナリパッケージ名をその名前から libmysql++ に変更するつもりだが、 プラス記号を使うとパッケージ化ツールに何か問題が起きないだろうか、 と尋ねました。Henning Glawe さんが、プラス記号は apt-get にとって特別な意味があると指摘しましたが、Henning Makholm さんが、 どちらにしろその記号の後に soname が付け加えられることになるので、 ここではそれは問題にならないと補足しました

S-Lang モジュールの命名。 Rafael Laboissiere さんは、S-Lang モジュールの命名に関するポリシーが今のところないことに気付きました。 他言語用のモジュールではパッケージ名に完全な言語名が用いられているのに、slshslrn などのアプリケーションには "sl" という接頭語がついています。彼は、S-Lang 開発者たちがモジュールにより興味をもてるよう、パッケージの名前を slgdbm から slang-gdbm に変更するのを受け入れました

Pbuilder の状態アップデート。 上川純一さんは、チームによるメンテナンスおよび cdebootstrap への切り換えに備えて、開発の場を Alioth に移したと報告しました。しかしながらいくつかのディストリビューションでは、 優先順位に関して依存状態が解決されていません。 それらは一括して調整されるか、あるいはリリースするまでの全ての開発期間を通して調整されるでしょう。

teTeX 移行の提案。 Frank Küster さんは、teTeX パッケージの自然な移行が妨げられる可能性があるのではないかと疑問に思いました。 というのも、新バージョンである 3.0 が不安定版で利用可能になっていますが、 リリースマネージャが今の段階では新たな移行を始めないよう Küster さんに頼んだからです。 Andreas Barth さんは、しばらくの間は古いライブラリバージョンを提供することが助けになり、 いつものようにパッケージの妨げとなることにはならないだろうと同意しました

新しい uClibc での移植。 Daniel Ruoso さんは、古く遅いハードウェア向けとして、GNU C ライブラリの代わりに uClibc を元にした Debian の i386 版に興味を持ちました。 Simon Richter さんは、組込みシステム用として uClibc を使ったビッグエンディアン ARM 版を必要としており、 ごく一部のパッケージだけを uClibc 版と交換することを提案しました。Riku Voipio さんは、uClibc を使った woody の移植版について指摘しました

cURL の状態アップデート。 Domenico Andreoli さんは、experimental スイート内で cURL パッケージをアップデートしました。 これにより、ある派生物は OpenSSL にリンクし、もうひとつの派生物は GNU TLS にリンクするようになります。これは、間接的に OpenSSL にリンクしており、GNU GPL の下でリリースされているアプリケーションのライセンス問題を解決することになるでしょう。

PEAR パッケージ用の PHP ライセンス? Piotr Roszatycki さんは、Debian アーカイブ内の PHP 自体ではないが PHP ライセンスを使っているパッケージの扱い方について、疑問に思いました。 というのも、そのようなパッケージがアーカイブから拒否されてしまったからです。 Jörg Jaspert さんは、同ライセンスは PHP で書かれたり PHP 用として作成されたモジュールやアプリケーション用には適しておらず、コアの PHP 言語専用であると指摘しました

新規ソースパッケージとバイナリパッケージ。 Frank Küster さんは、既存のバイナリパッケージを提供する新規ソースパッケージが NEW プロセスを通過する必要がないことに気づきました。 このため、うっかり上書きされてしまったバイナリパッケージは、 アーカイブにやってくるまで気づかれません。Jeroen van Wolffelaar さんは、 この点はまもなく変更されるだろうと説明しました

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 7 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 204 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

削除されたパッケージ。 この 1 週間で、Debian アーカイブから 2 個のパッケージが削除されました

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Gustavo Franco and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
小林 儀匡 and 田村 一平 が翻訳しました。