Debian ウィークリーニュース - 2006 年 5 月 30 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 22 号へようこそ。Joey Hess さんは、Debian で安全な apt を使用するための詳細な説明と HOWTO を作成しました。Martin Michlmayr さんは、今年の FOSDEM イベントについて報告し、併せて Debian の新規メンテナプロセス応募者に担当アプリケーションマネージャが割り当てられるまで 6 ヶ月もかかってしまう現状があり、新規の Debian 開発者になるのが阻害されていて、 それがビッグエンディアン ARM 移植版の障害となっていると指摘しました。

デスクトップ用 Debian レイアウトの作成。 Luis Matos さんは、ユーザにとっての Debian デスクトップの使い勝手改善するために、Debian 用のテーマレイアウトの作成を求めました。 テーマには背景画像やスプラッシュスクリーン、アイコンが含まれている必要があります。Matos さんはまた、 ガイドラインに沿ったコンテストの実施も提案しました。

Debian IRC が OFTC に移動。 Steve McIntyre さんは、6 月 4 日をもって DNS 別名 irc.debian.orgOpen and Free Technology Community (OFTC) ネットワークに移動すると発表しました。これは、すでに多くの議論が OFTC に移動してしまったためです。OFTC は Debian の姉妹組織でもあり、共に Software in the Public Interest, Inc に支援と各種業務の代行をしてもらっています。これまで Debian プロジェクトは、長年に渡って Freenode IRC ネットワークを使ってきました。

Summer of Code に Debian のプロジェクトが採択。 Baruch Even さんは、Google 社の Summer of Code に、Debian 関連のプロジェクトが 9 個採択されたと報告しました。計画では、Summer of Code 用のブログを立ち上げているか用意した学生を Planet Debian に加え、Debian を改良すべく探求する学生たちの進捗状況を皆が追えるようにする予定です。

起動時間の最適化。 Margarita Manterola さんは DebConf6 において、Debian システムの起動に対しておこなえる改良について講演しました。 その講演での彼女の結論や聴衆の発言から、彼女は、init スクリプトが bash ではなく dash を使用するようにできないか (これにより起動時間を 10 % 節約できます) 尋ね、 起動時に depmod を実行する必要性があるのかと質問しました。その結果、Marco d'Itri さんが、module-init-tools の init スクリプトから depmod を削除するよう提案しました

Solaris/i386 のサポート。 Sun Microsystems Inc. がカーネルを公開したため、Erast Benson さんは、Solaris ベースのシステムを dpkg がサポートできるようにするためのパッチを提供しました。それに対して Josselin Mouette さんは、 そのようなシステムでは dpkg が GPL 非互換の C ライブラリとリンクされることになるというライセンス上の問題は解決されたのか、と尋ねました。Russ Allbery さんが、GPL 非互換のライブラリに対するリンクや配布を許可するという GNU GPL の特例は、 生成されるバイナリがオペレーティングシステム本体に付属しない場合にのみ適用される、 と説明しました

FrOSCon での Debian プロジェクト。 Martin Zobel-Helas さんは、6 月 24 日と 25 日にザンクト・アウグスティン (ドイツ) で開催される Free and Open Source Conference (FrOSCon) に Debian プロジェクトが参加する予定だ、と報告しました。24 日には Debian サブカンファレンスも予定されています。Martin さんは、特に Debian 自体や Debian の技術に関する講演をしたいと考えている講演者を探しています。

Creative Commons 3.0 ライセンススイートのドラフト。 Evan Prodromou さんは、Creative Commons 3.0 ライセンススイートのドラフトが公開されたと発表しました。Evan さんは、今回加えられた主な変更点により、 これらのライセンスは DFSG に沿ったものになったとしています。少なくとも、Attribution と Attribution-ShareAlike 3.0 ライセンスは DFSG と互換性があり、Debian にとって受け入れられるものとなっています。

バグ退治マラソン。 Martin Zoble-Helas さんは、etch のリリースを手助けするために特定のテーマを扱った、この秋に開催予定の 3 つのバグ退治パーティについて発表しました。8 月には、debian-installer がテストされ、 インストールプロセス中のバグが修正されます。9 月には、リリース前の etch や sarge からのアップグレードがレビューされ、残っているバグが修正されます。10 月には、 コアパッケージに残っているバグが修正されます。彼は、これらのパーティのうち、 少なくともあと 2 つの受け入れ先を探しています。

etch のリリース目標。 Andreas Barth さんは、etch リリースの計画を変更したと発表しました。決定された新たなリリース目標には、GCC 4.1 の利用、LSB 3.1 との互換性、SELinux のサポート、IPv6 およびラージファイルサポートの普及、そして、 新たな Python フレームワークが含まれます。12 月のリリースを可能とするためには、GCC 4.1 および Python 2.4 への切替え期限が 6 月 15 日、 必須のツールチェインとカーネルのフリーズ開始が 7 月 30 日となっています。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 10 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 297 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。 システムにインストールされているパッケージのうち、 どれがみなしごになっているかを調べるには、devscriptswnpp-alert プログラムが便利でしょう。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Luis Matos, Mohammed Adnène Trojette, Sebastian Feltel, Frederick Noronha and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広, 小林 儀匡 and 田村 一平 が翻訳しました。