Debian ウィークリーニュース - 2006 年 8 月 15 日
Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 33 号へようこそ。今週、Debian は 13 周年を迎えます。 近くでパーティがないかどうか確かめてみてください。etch のリリースまでに作曲する時間はたっぷりあるので、Julien Danjou さんは彼が作詞した etch の歌詞を披露しました。David Sugar さんは、 フリーソフトウェアコミュニティはもっとバグのあるコードを書いて、 より魅力的なデスクトップ環境にするための変更が加えられる度に、 システムをリブートする理由をでっちあげるということを学ぶべきではないか、と疑問を呈しました。
ディストリビューション全体に渡る追跡ツール。 Arnaud Fontaine さんは、ディストリビューション全体に渡る追跡ツール Wotomae の状況について報告しました。DWTT は、ライブラリの移行やデフォルト Python バージョンの切替え、ポリシーの変更など、パッケージに影響がある変更を簡単に追跡できるツールで、Google のSummer of Code の期間中に書かれました。テスト用に、ほとんどの機能を備えたウェブサイトでのデモも利用可能です。
プレリリース用の新しいバージョン付け。
Martin F. Krafft さんは、アーカイブのソフトウェアがバージョン番号にチルダ ('~')
を使用することにようやく対応したと発表しました。この特殊文字は、ソフトウェアがプレリリース状態にあることを示すために使われます。
ソートした際はゼロ長の文字列よりも前に来るので、
バージョン 1.0~rc4-1
は、最終バージョン 1.0-1
のパッケージが投入された際にはそれで置き換えられることになります。
しかしながらビルド用のデーモンソフトウェアは、
この新しい文字にはまだ対応していません。
リリース情報更新: 第 1 回目のパッケージフリーズ。 Andreas Barth さんは、重要なツールチェインがフリーズされたと発表しました。さらに Barth さんはリリースノートに記すべき事項を募り、 ライブラリのメンテナに対しては、 他のパッケージの再構築が必要となるかもしれない新パッケージをアップロードする際は、 事前にリリースチームと相談するように求めました。 調整しないまま不安定版にアップロードされるパッケージが、まだ数多く見受けられます。
Python 移行の状況。 Matthias Klose さんは、Python のデフォルトバージョンがまもなく 2.4 に変更されるだろうと報告しました。初期の一塊りのバグ報告はその 90 % が解決され、 それ以外の塊もプライベートな Python モジュールを含んでいる既存の全パッケージに割り当てられたとも報告されました。 それらパッケージの大半は、再度バイトコンパイルが必要となるでしょう。予備的な文書には、この変更期間中に使われるスクリプトについての説明があります。
Debian が 13 歳に。 1993 年 8 月 16 日、Ian Murdock さんは新しいタイプのディストリビューションを発表し、達成したい目標をリストアップしました。13 年後の 16 日、Debian コミュニティは世界中でこの誕生日を祝います。Ian さんの最初のメールからこれまでに多くのことが起きました。 プロジェクトは現在、9 人目のリーダーによって率いられ、1000 人を超える開発者が、 フリーソフトウェアのディストリビューションとしては最大級のものの一つの開発作業に自由意志で参加しています。
プロジェクトリーダーレポート。 Anthony Towns さんは新しいレポートを公開し、その中で過去を回想しました。Steve McIntyre さんがリーダーのアドレスのエイリアスに追加され、 プロジェクトの運営の手助けをしています。Anthony さんは、最近開発者になった 2 人の女性について報告し、今年の Debian カンファレンスの主催者に感謝の言葉を述べ、 安定版の次期更新の遅れについて説明し、 オーストラリア著作権法の修正の起草に関するオーストラリア司法省との会議について報告しました。
Debian-Installer Etch ベータ 3 がリリース。 Frans Pop さんは、Debian GNU/Linux etch 用インストーラのベータリリース 3 をリリースしたと発表しました。これは、Debian の公式ミラーから AMD64 アーキテクチャをインストールし、カーネル 2.6.16 をインストール時に使用・インストールする最初のリリースです。Sparc および MIPS、リトルエンディアン MIPS、S/390 アーキテクチャにおいて、カーネル 2.6 がデフォルトのカーネルとなりました。インストール CD やその他のメディア、 詳細な正誤表が利用可能です。 変更点はすべて、執筆中のインストールガイドに記載されています。
セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。
- DSA 1146: krb5 — 権限の昇格。
- DSA 1147: drupal — クロスサイトスクリプティング。
- DSA 1148: gallery — 複数の脆弱性。
- DSA 1149: ncompress — コード実行の可能性。
- DSA 1150: shadow — 権限の昇格。
- DSA 1151: heartbeat — サービス不能 (DoS) 攻撃。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- biosquid — 生物学の配列解析用ユーティリティ。
- cdrskin — フォーマット済データを libburn 経由で CD-R や CD-RW に焼く。
- ceferino — Super Pang 似のアクションゲーム。
- dmenu — 動的なメニュー。
- elfutils — ELF オブジェクトを扱うユーティリティ集。
- foff — X/GTK+ FTP クライアント - Free Open FTP Face。
- kerry — Beagle デスクトップ検索デーモンの KDE 用フロントエンド。
- komparator — KDE 用ディレクトリ比較プログラム。
- ksystemlog — KDE 用システムログ閲覧ツール。
- omins — モジュール式シンセサイザ用の LADSPA プラグイン集。
- oxine — Xine OSD (オンスクリーンディスプレイ) 用 GUI。
- pymsnt — Jabber 用の MSN 接続プログラム。
- rest2web — 元の内容の書式に ReStructured Text を使うウェブサイトビルダー。
- rocklight — IBM 製 ThinkPad の ThinkLight 用 Xmms 視覚化プラグイン。
- ser — Sip Express Router、きわめて高速かつ柔軟な設定が可能な SIP プロキシ。
- serendipity — 拡張可能なテーマやプラグイン対応を備えたウェブログマネージャ。
- svn-autoreleasedeb — Debian パッケージを SVN から自動的にリリースまたはアップロード。
- ttf-sil-charis — ローマ字やキリル文字ベースな書記体系用の洗練された Unicode フォントファミリ。
- ttf-sil-doulos — ラテン文字やキリル文字の草書体用の洗練された Unicode フォント。
- unsermake — Makefile 生成ツール、automake の代替品。
- w3c-linkchecker — W3C リンクチェッカー。
みなしご化されたパッケージ。
今週 13 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。
これでみなしご化されたパッケージは合計 338 個となりました。
フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。
完全なリストが、WNPP
のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、
バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。
あなたのシステムでインストールされているソフトウェアのうち、
どれがみなしごになっているのかというのを調べるためには、devscripts
の wnpp-alert
プログラムを使うのが便利でしょう。
- blogtk — GTK ベースのウェブログクライアント。 (Bug#382797)
- classworlds — Java ClassLoader フレームワーク。 (Bug#382813)
- cvsps — CVS パッチセットの情報を生成するツール。 (Bug#382809)
- d4x — グラフィカルなダウンロードマネージャ。 (Bug#382732)
- forrest — XML ベースのドキュメンテーションフレームワーク。 (Bug#382814)
- gnome-extra-icons — 追加の GNOME アイコン。 (Bug#382810)
- groovy — Java 仮想マシン用のアジャイルな動的言語。 (Bug#382815)
- jswat — JPDA Java デバッガ。 (Bug#382816)
- jswat2 — JPDA Java デバッガ。 (Bug#382817)
- libproc-process-perl — プロセステーブルの情報にアクセスする Perl ライブラリ。 (Bug#382811)
- mined — Unicode および CJK の手広いサポートを備えた強力なテキストエディタ。 (Bug#382750)
- mockobjects — モックオブジェクトの開発・利用フレームワーク。 (Bug#382818)
- xearth — X のルート画面上で地球を回転させるツール。 (Bug#382654)
削除されたパッケージ。 この 1 週間で、Debian アーカイブから 15 個のパッケージが削除されました。
- libjpeg-mmx — MMX 最適化された IJG JPEG ライブラリの開発ファイル
Bug#158474: QA からの依頼、RC バグあり、セキュリティ上のバグあり、みなしご化されている、開発元が消失 - uncc — i386 用の C デコンパイラ
Bug#314672: QA からの依頼、みなしご化されている、使えない - acidlab — Intrusion データベース用の分析コンソール
Bug#319389: メンテナからの依頼、acidbase で代替 - xcircuit — 回路図その他ほとんど何でもを描画
Bug#323678: QA からの依頼、みなしご化されている、RC バグあり - swt-pocketpc — PocketPC JAR ライブラリ用の標準ウィジェットツールキット
Bug#324778: QA からの依頼、みなしご化されている、古い、non-free、ユーザが少ない - nsmon — インターネット/イントラネットのサーバチェッカー
Bug#327623: QA からの依頼、みなしご化されている、開発元がない、よりよい代替あり - qglviewer — Qt/OpenGL ベースのビューウィジェット
Bug#348793: QA からの依頼、みなしご化されている、開発元が消失、古い - psys — Chipmunk ツール用の P-system エミュレーションライブラリ [開発用]
Bug#354496: QA からの依頼、みなしご化されている、使われていない - zope-zshell — Zope 用のコマンドラインインターフェイス
Bug#361018: QA からの依頼、みなしご化されている、現在の Zope 用のパッケージがない - eroaster — GNOME CD バーナーのフロントエンド
Bug#364280: QA からの依頼、みなしご化されている、RC バグあり - rfb — X11 用の VNC サーバ - 現在の画面を転送
Bug#364347: QA からの依頼、みなしご化されている、開発元がない、代替あり - ri — ri1.6 の Emacs インターフェイス
Bug#367006: メンテナからの依頼、ruby1.6 が削除された、RC バグあり - animal — C で書かれたイメージングライブラリ
Bug#369209: QA からの依頼、obsolete, みなしご化されている、alternatives exist - yank — もう一つのノートキーパー
Bug#374129: QA からの依頼、メンテナンスされていない、バグあり、古い、置き換えられた - ruby1.6 — オブジェクト指向スクリプティング言語 Ruby 1.6.x のインタプリタ
Bug#378111: メンテナからの依頼、古い
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今週号の Debian ウィークリーニュースは Mohammed Adnène Trojette and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広, 小林 儀匡 and 田村 一平 が翻訳しました。