Debian プロジェクトニュース - 2011 年 6 月 8 日
今年 9 号目の DPN、debian コミュニティの会報、にようこそ。この号で取り上げられている話題は:
- LinuxTag 2011 のレポート
- Debian 6.0.2 用の新しいハードウェアサポートのテスト
- Perl メンテナからのコメント
- Alioth スプリントのレポート
- DPL からの一言
- Debian ユーザに関連する新しいミラーサイト
- Debian が新聞で紹介されました。
- その他のニュース
- Debian の新しい協力者たち
- 重要な Debian セキュリティ勧告
- 新規の注目パッケージ
- 作業が必要なパッケージ
- これからも DPN を読みたいですか?
LinuxTag 2011 のレポート
Jan Hauke Rahm さんは、ドイツのベルリンで開催された
LinuxTag イベントのレポートを送りました。今年、Debian は Kanotix 及び aptosid と
ブースを共有しましたので、Debian とその派生物の関係が、主な話題の一つでした。
ユーザからは、ローリングリリース
版 Debian の実装のように、
最近話題になっている色々なことや、
/run
のような新しい取り組みなどについてについての質問がありました。
Jan さんは取りまとめをした Annette Kalbow さんと、ブースを手伝ってくれた、
毎日およそ 10 人から 15 人からなるチームの全員に謝意をのべました。
Debian 6.0.2 用の新しいハードウェアサポートのテスト
Ben Hutchings さんが Debian 6.0.2 用の新しいハードウェアサポートのテストについてブログを書きました。Ben さんは Debian 6.0.2 ポイントリリースに向けていくつかのアップデートを行いました。カーネルチームはドライバ変更のテスト対象となる大量のハードウェアを持っていないため、ユーザに対してテストレポートをお願いしています。Ben さんはドライバにあった変更についても述べ、テストレポートを作成するユーザがダウンロードしたパッケージの整合性をチェックできるように、アップデートされたパッケージとそれらのチェックサムを含む署名された changes ファイルが手に入る場所を示し、ドライバをどのようにしてテストするかを説明しました。
Perl メンテナからのコメント
Dominic Hargreaves さんは、Debian の perl
パッケージにおける変更を述べる Perl
メンテナからのいくつかのコメントを発信しました。まず、最初の上流の 5.12 のリリースのおよそ 12 ヶ月後に、
Perl 5.12.3 は unstable
にアップロードされました。
Dominic さんは、新しい Perl パッケージを testing
へ移行する優れた業務についてリリースチームに感謝しました。Perl メンテナは、Perl 5.12
に固有の破損を最小限にするために最善を尽くしていますが、必然的に繰り返される問題が修正されるだろうと指摘しました。この主要バージョンで、アップグレード・トリガーも利用できます。このメッセージの最後に、Dominic
さんは、今年の後半には、unstable
にアップロードされるという Perl 5.14 のリリース計画を発表しました。
Alioth スプリントのレポート
Roland Mas さんはイギリスのケンブリッジで 5 月 20 日から 22 日にかけて開催された Alioth スプリントのレポートを送りました。3
人の Alioth 管理者 (Stephan Gran さん、Tollef Fog Heen さん、Roland Mas さん) は Alioth
のホスティング構造を再定義するために非常に多くの仕事をこなしました。基本的には旧来の
alioth.debian.org
を Squeeze
が動いている 2 つの異なるマシン:
vasks.debian.org
と wagner.debian.org
に分割しました。前者は書き込み可能なリポジトリをホストし、これに対して、後者は匿名の読み込み専用レポジトリ、リポジトリブラウザ、プロジェクト用ウェブサイトを提供します。そのため、2
つのホストのフィンガープリントを更新しなければいけません。そのほかの重要な変更は、パスワード認証によるリモートログインが許可されなくなり、RSA
暗号キーによる SSH ログインのみが許可されるようになったことです。スプリントの間に基本的なセットアップは完了しましたが、ユーザの不満を最小限にするために、Alioth
チームはそのほかの問題に対しても作業を続けています。スプリントの間に行われた Alioth チームの仕事内容に関する詳細は、レポートメールに書かれています。Roland さんは、スプリントを発起した DPL
と援助した Collabora に対するお礼を述べて彼のメールを締めくくりました。
DPL からの一言
Debian プロジェクトリーダー (DPL) の Stefano Zacchiroli さんは、
DPL からの一言を発信しました。彼は、Debian 開発メーリングリスト
で議論されたホットな話題のいくつか (ローリング
リリースなど) をまとめ、
debian-devel メーリングリストでの議論がいかに有用になったかについて
指摘しました。出席した様々なイベントやカンファレンスを挙げた後、Stefano さん
は、
を発表しました。PPA
サービスをセットアップし、通常のアーカイブや buildd
ツール群を利用して Debian 開発者各個人の責任の下で、非公式 Debian パッケージ
を提供することを認めることが、法的に言ってどうすれば可能になるのかを
明らかにするために SPI と共同作業を行っていること
Debian ユーザに関連する新しいミラーサイト
公式中国ミラーサイトのアナウンス以降、チュニジアとマダガスカルに初の Debian ミラーが設置されたことをアナウンスできて、Debian ミラーチームは嬉しいです。そのほかの国に関しては、完全なリストがオンラインに公開されています。それでもまだ多くの国では Debian ミラーに繋がることが難しい状態です。ミラーをホスティングすることに関心のあるスポンサーはミラーチームに連絡を取ることをお願いします。
Debian が新聞で紹介されました。
Per Andersson さんと Hedvig Kamp さんは、フリーソフトウェア全般と特に Debian に
ついての一覧の記事を、スウェーデンの新聞 Fria Tidningen
に書きました。
ある記事は Det demokratiska Debian
(民主的な Debian
) というタイトルで、Debian の組織と社会的な責務について
説明されています。
ナードのフェミニズム、
及びフリーソフトウェア運動において男女平等を推進するグループ
についてです。
記事中で、いくつもあるグループの中で、彼女は Debian Women について述べました
(印刷版には、大きな Debian Women ロゴも載っています)。さらに、同紙には
GNU/Linux のインストール方法についての一般的なガイドも掲載されていて、
そのディストロ特集で Debian がとりあげられています。
その他のニュース
Debian の LibreOffice パッケージのメンテナ Rene Engelhard さんは、リリースの進捗状況について話し合い開発を行う LibreOffice の新しい技術運営委員会のメンバーとして任命されました。
Tanguy Ortolo さんは、メタパッケージからひとつの構成要素をアンインストールについての興味深い記事を執筆し、メタパッケージそのものの全ての依存性と推奨のマークを外す方法について説明しました。
Till Kamppeter さんは、色の管理に関する作業を開始するための Debian と Ubuntu の間の何らかの協力を提案しています。Didier Raboud
さんが、このスレッドで言及したように、Debian
と
その派生物 (この例では逆であるが) の間のこの種のコミュニケーションは私たちのエコシステムの健全性のために非常に重要です。
Debian の新しい協力者たち
前回の Debian プロジェクトニュースから後に、 9 人の応募者が Debian 開発者として認められ、 2 人の応募者が Debian メンテナとして 認められ、 8 人の方々がパッケージのメンテナンスを始めました。 Bert Agaz さん、Olivier Berger さん、 Gary Briggs さん、Jonathan Carter さん、Francesca Ciceriさん、 Serge Hallyn さん、Anton Gladky さん、Christoph Göhre さん、 Christian Kastner さん、Iain Lane さん、Gennaro Oliva さん、David Prévot さん、Filippo Rusconi さん、Jeremy Salwen さん、Michael Tokarev さん、Matteo F. Vescovi さん、Sven Wick さん、Aron Xu さん、 Artem Popov (Артём Попов) さんを私たちのプロジェクトに歓迎しましょう!
重要な Debian セキュリティ勧告
Debian セキュリティチームは最近、これらのパッケージ (抜粋) に セキュリティ勧告を公開しました: vino、 apr (アップデート)、 libmojolicious-perl、 qemu-kvm、 linux-2.6、 cyrus-imapd-2.2、 unbound、 bind9、 chromium-browser、 mahara、 rails、 ejabberd、 jabberd14、 citadel、 subversion、 dovecot、 fontforge、 oprofile、 libxml2。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian
セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストと stable-updates セクションのメーリングリストあるいは旧安定版である Lenny
向けの volatile セクションのメーリングリスト) を購読してください。
新規の注目パッケージ
最近、816 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:
- activity-log-manager — Zeitgeist 用のブラックリスト設定ユーザインターフェイス
- azr3-jack — ドローバーオルガンシミュレータ
- check-mk-agent — データ検索用汎用 Nagios プラグイン
- creepy — 地理位置情報収集アプリケーション
- duende — 実験的 MaraDNS ログデーモン
- dvcs-autosync — 自動同期する分散型バージョン管理リポジトリ
- gcc-msp430 — GNU C コンパイラ (MSP430 用のクロスコンパイラ)
- kaccessible — Qt アプリケーション用のユーザ補助サービス
- kalgebramobile — KDE 用の代数的グラフ計算機
- ladish — JACK アプリケーション用のセッション管理システム
- lv2file — ファイルに LV2 効果を適用するコマンドラインプログラム
- mutrace — mutex とリアルタイムメモリ割り当て用のプロファイルツール
- nordugrid-arc-client — ARC 用の試作クライアント
- nzbget — NZB ファイル用のコマンドラインニュースリーダ
- packaging-tutorial — Debian パッケージ化に関する入門書
- simgrid — 分散アプリケーションのスケーラブルシミュレーション用ツールキット
- udisks-glue — ユーザが挙動を定義できる簡単な自動マウントデーモン
- xul-ext-perspectives — 公証サーバを用いた HTTPS サイトの検証
- xyscan — 科学者のためのデータ抽出ソフト
- zita-rev1 — pro-audio 用リバーブ効果
作業が必要なパッケージ
現時点で、316 のパッケージがメンテナ不在となり、 140 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です: 完全なリストは 支援が必要なパッケージ をご覧ください。
これからも DPN を読みたいですか?
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今週号の Debian プロジェクトニュースは Francesca Ciceri, Jeremiah C. Foster, Simon Paillard, David Prévot, Alexander Reichle-Schmehl, Alexander Reshetov and Justin B Rye が編集しました。