Debian プロジェクトニュース - 2011 年 12 月 14 日

今年 15 号目の DPN、debian コミュニティの会報、にようこそ。 この号で取り上げられている話題は:

広報チームへのボランティア参加のお誘い

お気づきのことと思いますが、前回の Debian プロジェクトニュースが発行されてからかなり長い時間が経っています。 DPN の発行頻度を上げ、広報チームのその他の活動を拡大するために、Debian 広報チームは新しい貢献者を募集しています。 興味を持ったソフトウェアがすでにパッケージ化されていたために Debian への貢献を諦めたことはありませんか? 自分自身を技術者ではないと思っていませんか? 英語を書く基本的な能力がありますか? それならばっちりです! 広報チームへ参加してみませんか? もしあなたが Debian のメンバーなら、記者チームも新しい貢献者を募集しています。

アーカイブから sun-java6 パッケージを削除

Oracle から Java アップデート 29 が公開され、 セキュリティアップデートだけでなく、ライセンス変更が行われました。 このライセンス変更により、これまで Debian が Java を配布していた根拠であった Java ライセンスの節 DLJ が削除され、フリーでない JVM を配布することが出来なくなりました。 その結果、sun-java6 パッケージを Debian のアーカイブに含めることはもはや不適切なことになり、 Debian Bug #646524 にあるとおり、アーカイブから削除されました。Sylvestre Ledru さんは、 sun-java6 ユーザは、次ののコマンド: apt-get --purge remove sun-java6-jre && apt-get install openjdk-7-jre を使ってオープンソースによる代替手段である openjdk に移行することを提案しました。これに対して、Kai Wasserbäch さんは、 このアップグレード方法はどんな Java プログラムに対しても勧められるものではなく、 まずはインストールされている Java アプリケーションを OpenJDK 上で再テストすることに特に注意を払うべきであると指摘しました

Debian SDL パッケージングチームが復活しました

Dominique Dumont さんによるチームの再編成と、 Manuel A. Fernandez Montecelo さんの協力によって、 SDL パッケージングチームが、最近著しい復活をみせています。 コラボレーションを容易にするためにパッケージは徐々に Git に移行しており、SDL 関連のパッケージをメンテナンスしている開発者でチームのリポジトリを使っていない人には、 勧誘もなされています。古いバグの多くがすでに修正済みで、新しい SDL 1.3 と sdl-perl パッケージが experimental にアップロードされています。SDL 1.3 によって、新しい OpenGL APIs に加えて、マルチタッチやジェスチャー、フォースフィードバックデバイスのサポートといった入力改善や、 Unicode のサポート向上、複数のウィンドウやディスプレイがサポートされることになります。

DPL からの一言

Stefano Zacchiroli さんによってDPL からの一言10 月号11 月号を送信されました。その中で彼は、New Maintainer プロセスが New Member プロセスに名称変更されたこと、easy hacks のリストを作ることはチーム貢献者の勧誘にとても効果的な方法であることに言及しました。 また、Ubuntu は彼らのパッケージレビュープラットフォーム (REVU) を廃止し、 mentors.debian.net への移行を予定していると述べました。 この場合、Debexpo へのいくつかの変更と、Debian メンバーによる、さらに多くのパッケージ支援が必要になるでしょう。 Stefano さんによって最近の DebConf 映像チームスプリント用の資金と、 lists.debian.orgftp.debian.org 用のハードウェア交換資金を認可されました。 このハードウェアはすでに到着し、DSA がセットアップをしている最中です。Fathi Boudra さんが Debian を代表してアルジェリアで開催された Software Freedom Day に出席したことを報告しました。Stefano さんはまた、 彼が行った商標関連の活動、Debian 商標関連の調査窓口の開設、Debian パッケージング活動に対する商標法の適用についての法律上の助言の探索、 DFSG と商標制限の関連性についての議論の開始、に関して報告しました。 彼はまた、ソフトウェア特許上の Debian プロジェクトの位置付けを明確にするための声明発表に関する仕事を行いました。 OSI によって Debian プロジェクトは彼らの次期提携計画に招待されました。 Debian プロジェクトが、我々の配布している ISC ソフトウェアのフォーラム会員になるための準備作業が進行中です。 Stefano さんは、Debian に対して戦略上の興味を抱いている企業向けのディスカッションフォーラムを作るための継続的な仕事に関して言及しました。

Ubuntu は Debian に感謝します

Ubuntu の最近の「コミュニティ感謝の日」の一環として、Michael Hall さんは、Debian に感謝のメッセージを送り、 あなたがたが存在しなければ、私たちは私たちが行ったような貢献をなしえなかった。Debian が素晴らしいから、Ubuntu が素晴らしいのであり、私たちはそのような成功に行き着いた作業のすべてに感謝しています。と述べました。 Michael さんは、Canonical 社のコミュニティチームへの参加を予定しており、Ubuntu のために上流に存在するプロジェクトに集中します。

インドのミニ DebConf、Mangalore 編

Christian Perrier さんは、南西インドの Mangalore でのミニ DebConf への参加に関する報告を行いました。本カンファレンスは、Nitte MahaLinga Adyanthaya 記念工科大学で開催され、Vasudev Kamath さんと、学長の S. Y. Kulakarni 博士を含む大学スタッフのサポートを得た大学のコンピュータサイエンス学科の学生チームにより組織されました。 その後、Jonas Smedegaard さんが、Debian Pure Blends に関する講演を行い、Debian 派生ディストリビューションが、Debian 以外のディストリではなく、Debian 内でどのように動作するかについて集中しました。これは、彼のアジアにおける Debian と Debian Pure Blends の促進のための旅行の一環でした。 本講演は、2 日目の地域化、パッケージング、OpenPGP 鍵、および Debian への貢献のセッションによりさらに議論されました。本イベントは、Hindu という名前のインドの主要新聞のひとつに掲載されました。 このようなイベントは、地域のコミュニティにとって不可欠です。 これらのイベントへの国際的な貢献者の参加は、 彼らにさらに注目され、地元のコミュニティで高く評価されました。

エルサルバドルの新しいミラー

Debian ミラーチームは René Mayorga さんや Carlos Juan Martín Pérez さんの協力とエルサルバドルの厚生省からの資金援助によりエルサルバドルに初めてのミラー を設置できたことを嬉しく思います。エルサルバドルの Debian ユーザには ftp.sv.debian.org を使用するために、 /etc/apt/sources.list の内容を更新することが勧められています。 Carlos Juan Martín Pérez さんの言葉を引用すると、我々にとっても、 またエルサルバドルのフリーソフトウェア団体のメンバーとしても、 厚生省が偉大な Debian ファミリーの一員になる事を誇りに思います。 その他の国に関しては、ミラーの完全なリストがオンラインに公開されています。 それでもまだ多くの国では Debian ミラーに繋がることが難しい状態です。 ミラーをホスティングすることに関心のあるスポンサーはミラーチームに連絡を取ることをお願いします。

Debexpo のメンテナは貢献者を募集します

パッケージ作成チームを mentors.debian.net サービスの背景ソフトウェアである Debexpo に統合できるかどうかを議論した後に、 Arno Töll さんは、現在のチーム人員の多忙を理由に貢献者募集を発表しました。

Debexpo は、Alioth プロジェクトとしてメンテされています。

Bug Squashing パーティーマラソンが始まりました

先の リリース 同様に、 Bug Squashing パーティー (BSP) のマラソンがドイツのヒルデスハイム市と米国オレゴン州のポートランド市で開催され、同時進行 BSP として始まりました。 最初のものは、Release Critical なバグの修正に集中し、 2 番目のものは様々なライブラリに関する複数のアーキテクチャのパッチの作成に集中しました。

両 BSP は大成功でした。ヒルデスハイム市では 60 個の Release Critical なバグが見つかり、いくつかの修正がアーカイブソフトウェアに施されました。一方、ポートランド市では 14 個の複数のアーキテクチャーのパッチが作成されました。また、彼らは Bug Squashing パーティーに備えてクラウドインスタンスを準備する方法を書き記しました。

ドイツのメンヘングラートバハ市 (1 月または 2 月) と、 フランスのパリ市 (2 月 17 日〜 19 日) での次回の Bug Squashing パーティーは、すでに組織化されています。Debian Wiki は、BSP の組織化に関するさらに詳しい情報を掲載しており、 あなた方自身で組織することを考慮して欲しいと思います。

Debian は、これら 2 つのイベントの組織化についての Pengutronix 社 (ヒルデスハイム市) と Puppet Labs 社 (ポートランド市) の支援に関し、彼らに感謝したいと思います。

講演のお誘い: FOSDEM 2012

Wouter Verhelst さんは次回の FOSDEM 2012、 the Free and Open Source Software Developers' European Meeting、で設置されるディストリビューション開発者の部屋での講演のお誘いを送信しました。 FOSDEM はベルギーのブリュッセルで2012年2月上旬に開催されます。 セッションの内容に対する制約は少なく、講演、BoF セッション、 少人数会議等でも問題ありません。2 つのディストリビューション間開発者部屋は FOSDEM に参加しているディストリビューションプロジェクトからの人々向けのものですが、 Debian 固有の問題や、Debian 開発者に特化した話題が取り上げられるかもしれません。

カールスルーエ工科大学における新規の s390 構築デーモン (buildd)

Philipp Kern さんは、カールスルーエ工科大学でホストされる新しい Debian buildd である zemlinskys390(x) 移植版のサポートに利用可能になりましたと発表しました。 この新しいホストのおかげで、s390x の開発はかなりの速度で進行しています。この新しい高速ビルダーが、その傾きがかなり急である理由の一つです。

インタビューの追加

新しい Debian の裏方インタビューが公開されました。 dpkg メンテナで Debian に関する著書を持つ Raphaël Hertzog さん、Ubuntu 創始者の Mark Shuttleworth さん、Debian プロジェクトリーダーの Stefano Zacchiroli さんへのインタビューです。

さらに Stefano Zacchiroli さんは、 Karen Sandler さんから FaiF の oggcast で、 Amber Granger さんから Ubuntu 開発者サミットの期間中に、Lici.it から (元記事はイタリア語)、インタビューを受けました。 さらに、NeuroDebian チームが FLOSS for Science からインタビューを受けました。

Debian の新しい協力者たち

前回の Debian プロジェクトニュースの発行以降、 4 人の応募者が Debian 開発者として認められ13 人の応募者が Debian メンテナとして認められ、 25 人の方々がパッケージのメンテナンスを始めました。 Nicholas Breen さん、 Vincent Legout さん、 Antoine Beaupré さん、 Gergely Nagy さん、 Wolodja Wentland さん、 Vasudev Kamath さん、 Matthias Klumpp さん、 José Manuel Santamaría Lema さん、 Floris Bruynooghe さん、 Cédric Boutillier さん、 Christophe Trophime さん、 Tobias Hansen さん、 Nicolas Dandrimont さん、 Simone Rosetto さん、 Jonas Genannt さん、 Laszlo Kajan さん、 James Page さん、 Mikolaj Izdebski さん、 Félix Arreola Rodríguez さん、 Henry Velez さん、 Gastón Ramos さん、 Stephen M. Webb さん、 Miguel de Val Borro さん、 Simon Chopin さん、 Paolo Greppi さん、 B. Clausius さん、 Mateusz Kijowski さん、 José Luis Segura Lucas さん、 Marcin Kulisz (kuLa) さん、 Teus Benschop さん、 Ole Streicher さん、 Paolo Rotolo さん、 Martin Erik Werner さん、 Raoul Gunnar Borenius さん、 Geoffrey Thomas さん、 Alkis Georgopoulos さん、 Jerome Kieffer さん、 Christopher Gervais さん、 Håkon Nessjøen さん、 David Stone さん、 Nicolas Bourdaud さん、 Mathias Ertlさんを私たちのプロジェクトに歓迎しましょう!

次期リリースに関するリリースクリティカルバグの統計

Ultimate Debian Database のバグ検索インターフェイスによれば、次期リリースである Debian 7.0 Wheezy には今のところ 1005 のリリースクリティカルバグがあります。 簡単に修正できるか修正作業が始まっているバグを除けば、 リリースまでにおよそ 849 のリリースクリティカルバグの修正が必要です。

統計の詳細と、これらの数値を解釈する方法のヒントを参照できます。

重要な Debian セキュリティ勧告

Moritz Muehlenhoff さんはユーザに対して Debian GNU/Linux 5.0 Lenny 用のセキュリティサポートが 2012 年 2 月に終了することを注意しました。

Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: moodlenssffmpegpostgresqliceweaseliceapeopensslpython-django-pistonicedoveproftpd-dfsgbind9spipfreetypesystemtapwiresharkpuppetldnscupsclearsilveropenjdk-6evinceopenjdk-6 (Lenny 用)、 mojarrachasenacpid。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

Debian バックポートチームは以下のパッケージにセキュリティ勧告を公開しました: libvirtlibreofficepuppeticeweaselopensslapache2libsndfilenss。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

Debian 安定版リリースチームは以下のパッケージにアップデートを公開しました: linux-2.6。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストstable-updates セクションのメーリングリストあるいは旧安定版である Lenny 向けの volatile セクションのメーリングリスト) を購読してください。

新規の注目パッケージ

最近、761 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:

作業が必要なパッケージ

現時点で、392 のパッケージがメンテナ不在となり143 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です: 完全なリストは支援が必要なパッケージをご覧ください。

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この会報の作成を手伝ってみませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集しています。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。我々はあなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。


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バックナンバーもご利用いただけます。

今週号の Debian プロジェクトニュースは Simon Chopin, Sam Hocevar, Simon Paillard, David Prévot, Alexander Reichle-Schmehl, Alexander Reshetov, Paul Tagliamonte, Justin B Rye and Paul Wise が編集しました。