Debian プロジェクトニュース - 2013 年 5 月 13 日
今年 10 号目の DPN、Debian コミュニティの会報、にようこそ。この号で取り上げられている話題は:
- Debian 7.0
Wheezy
がリリースされました - Debian
Wheezy
の新機能紹介 - DebConf11 と 12 のビデオ
- 雲の上の Debian
- Google Compute Engine での Debian
- DPL からの一言
Coding Freedom
: Debian 貢献者を詳しく調査- その他のニュース
- 今後のイベント
- 重要な Debian セキュリティ勧告
- 新規の注目パッケージ
- 作業が必要なパッケージ
- これからも DPN を読みたいですか?
Debian 7.0 Wheezy
がリリースされました
Debian 6.0 Squeeze
がリリースされてから 27 ヶ月が過ぎ、Debian オペレーティングシステムの新安定版である Debian 7.0 Wheezy
が 2013 年 5 月 4 日にリリースされました。このリリースでは他にも多くの改良が施されていますが、例えば multiarch がサポートされ、プライベートクラウドを展開する様々なツールが収録され、ソフトウェアによる音声案内をサポートするようにインストーラが改良され
(アクセシビリティが長所になり)、マルチメディアコーデック一式が拡充されました。
リリースチームマネージャである
Adam D. Barratt さんが最初のポイントリリースが翌月に予定されていることを発表し、メンテナに向けて不安定版
への追加的アップロードについてアドバイスしました。Jessie
の開発はすでに始まっています。
Debian FTP マスターである Joerg Jaspert さんが Debian の新安定版をリリースするために FTP
チームが行う手順について洞察を述べ、さらに Raphael Geissert さんは ログファイルが先週日曜日に更新されてから、最初の 48 時間で http.debian.net は 200 万のリクエスト (平均で 1 秒に 11 のリクエスト) を処理したこと
を指摘しました。
この一方で世界中の Debian ユーザと愛好家が Wheezy
のリリースを祝うパーティを企画しています。カタロニアの Debian コミュニティと一部のインドの
Debian ユーザはすでに楽しい時間を過ごしたようです! パーティを行う予定があるなら identi.ca のハッシュタグ #releaseparty を使って報告や写真を共有してください。
Debian Wheezy
の新機能紹介
Michael Prokop さんが、ユーザや開発者に Wheezy
で新しく追加されたパッケージを紹介することを目的とした #newinwheezy 活動を立ち上げました。活動に参加した
Debian コントリビュータによると、中でも特に興味を惹く新しいパッケージは以下のものでした: 様々なフォレンジックツール、vcsh
(fake bare git リポジトリで $HOME の設定ファイルを管理する
)、Charybdis
(Freenode ネットワークの裏側で使われている、人気と信頼性の高い IRC サーバ
)、Grml system のパッケージ、mosh
(ラグがある場合に SSH よりも優れている UDP ベースのリモートシェル端末
)、軽量ブラウザ
(dillo、netsurf、surf、xxxterm)、libghc-stm-dev、バグの少ないスレッドプログラムの作成を手助けするツール、scratch
(簡単で対話的な協調プログラミング環境で、インタラクティブなストーリー、アニメーション、ゲーム、音楽、アートの創作ができるよう設計されている
)、plymouth (ブート時 I/O マルチプレクサ
)。
DebConf11 と 12 のビデオ
DebConf の動画のスポンサーである IRILL が DebConf11 と 12 の全ての動画を公開しました。これらの映像は MP4 (H.264) と Ogg (推奨) フォーマットで入手可能になっており、さらに IRILL のビデオプレイヤーでも視聴することができます (DebConf11: 56 本のビデオ、DebConf12: 72 本のビデオ)。
雲の上の Debian
NASA の Space Operations Computing (SpOC) のマネージャである Keith Chuvala さんは SpOC
が国際宇宙ステーションのラップトップのオペレーティングシステムを Debian に替えることを今週報告しました。具体的に言うと、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士は Debian 6
が動くコンピュータを使う予定です。Chuvala さんは SpOC
が安定で信頼できるオペレーティングシステムを必要としていた
ことと、宇宙飛行士と
IT スペシャリストの訓練について Linux Foundation を当てにしていると述べました。
Google Compute Engine での Debian
最近、Google は自社の IaaS (サービスとして提供されるインフラ) である Google Compute Engine で、Debian
のイメージが利用可能になったとアナウンスしました。今のところ、このインフラでは移行作業を簡単にするために 6.x
と 7.x 両方のバージョンの Debian が配布されています。パフォーマンスを高めて帯域幅を節約するために、Google
は Google Compute Engine の Debian インスタンスから利用できる Debian パッケージのミラーをホストしています。
Google
のアナウンスによると、今後は Debian が Compute Engine のデフォルトのイメージになるとのことです。
DPL からの一言
Lucas Nussbaum さんが DPL 活動に関するはじめての月刊報告を投稿しました。新たに選出されたプロジェクトリーダは、他の候補者と投票者そして前任のプロジェクトリーダである Stefano Zacchiroli さんへの感謝に加え、最初の 13 日間の活動について報告しました。Lucas さんは特に Debian ロゴと登録商標に関する進行中の議論に注力し、Moray Allan さんの協力のもと主要な Debian チームの健康状態に関して調査を実施する計画を立て、プロジェクトに参加する方法の改善と文書化に取り掛かりました。
Coding Freedom
: Debian 貢献者を詳しく調査
Gabriella Coleman さんは自分が最近出版した "Coding Freedom: ハッキングの倫理と美学" という本について発表しました。Gabriella
さんは Debian のコミュニティと活発なメンバーから刺激を受けてこの本を出版しました。この本はフリーソフトウェアプロジェクトの開発の原動力になる主要な要因を明らかにして、それを説明しようとしています。一方でこの本はフリーソフトウェアプロジェクトが社会に及ぼす影響を調べています。大部分は Debian に対する 2
年間の民族学的調査に基づいています。1 つの章は Debian プロジェクトに関するもので、他の多くの章は Debian
開発者に対するインタビューを基にしています。
この本はクリエイティブコモンズライセンスの下で利用でき、自由にダウンロードできます。
その他のニュース
Guido Günther さんはドイツのエッセンで開催された第 6 回 Debian グループウェア会議について報告しました。
Gunnar Wolf さんはスイスで開催される DebConf13 のスポンサー付き登録の締め切りが公式に 5 月 19 日まで延長されたと発表しました。登録方法に関するより詳しい情報は元の登録開始に関する発表をご覧ください。
今後のイベント
今後、1 つの Debian 関連のイベントが予定されています。
- 5 月 28 - 29 日、フランス、パリ — Solutions Linux で Debian ブース
Debian 関連のイベントや会議に関するより多くの情報を得るには、Debian ウェブサイトのイベントセクションを参照するか、 いろいろな地域におけるイベント用メーリングリスト (ヨーロッパ、オランダ、ラテンアメリカ、北アメリカ) を購読してください。
Debian ブースを運営したり Debian インストールパーティーを開催しませんか? 開催予定の Debian 関連のイベントについて知りませんか? 講演のページにリンクを貼りたい Debian 関連の講演を行いましたか? そのような場合は、Debian イベントチーム宛に電子メールを送信してください。
重要な Debian セキュリティ勧告
Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: mysql-5.5、 xen、 stunnel、 strongswan。 勧告の内容をよく読んで適切な対策を講じてください。
Debian 安定版リリースチームは以下のパッケージにアップデートを公開しました: clamav。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストと stable-updates セクションのメーリングリスト) を購読してください。
新規の注目パッケージ
最近、373 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:
- corekeeper — core ファイルを利用できるようにし、システム管理者にクラッシュを報告するツール
- debian-lan-config — Debian-LAN システム用の FAI 設定空間
- ext4magic — ext3 あるいは ext4 パーティションから削除されたファイルを復元するツール
- gmsl — GNU Makefile の機能を拡張する追加関数
- iceowl — スタンドアロン型のカレンダーアプリケーション
- nsnake — テキスト型インターフェイスの古典的ヘビゲーム
- python-odf — Python における OpenDocument の完全な API
- qupzilla — libqtwebkit を使った軽量ウェブブラウザ
- sanewall — 簡単で強力な iptables 向けのステートフルファイヤーウォール
- watchcatd — プロセス監視デーモン
- wfrog — ウェブベースのカスタマイズ可能な測候所ソフトウェア
作業が必要なパッケージ
現時点で、512 のパッケージがメンテナ不在となり、139 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です。完全なリストは支援が必要なパッケージをご覧ください。
これからも DPN を読みたいですか?
この会報の作成を手伝ってはくれませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集中です。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。あなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。
このニューズレターを電子メールで受け取りたい方は、debian-newsメーリングリストを購読してください。
バックナンバーもご利用いただけます。
今週号の Debian プロジェクトニュースは Cédric Boutillier さん、Francesca Ciceri さん、Sylvestre Ledru さん、Victor Nițu さん、Justin B Rye さん が編集しました。
今井 伸広さん、八津尾 雄介さん、綾小路 龍之介さん、Nobuyuki Morita さん が翻訳しました。