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新しいリリースに導入された変化には当然のように副作用がつきもので、どこか他の場所でバグを出してしまうこともあります。この章では、現時点で私たちが知っている問題点を記載しています。正誤表・関連パッケージの付属文書・バグ報告や、「もっと読みたい」で触れられているその他の情報も読んでください。
新しいバージョンの Linux カーネルは、いくつかの PATA (IDE) コントローラに対して異なったドライバを提供します。ハードディスクや CD-ROM、テープデバイスの名前が変わるかもしれません。
これからは、設定ファイル中のディスクデバイスは、デバイス名よりもラベル (label) か UUID (unique identifier)
で識別することをお勧めします。これは、古いカーネルバージョンと新しいカーネルバージョンの双方で動作します。squeeze バージョンの
Debian のカーネルパッケージへのアップグレードに際して、linux-base パッケージは、Debian
に含まれている様々なブートローダを含め、システム上のファイルシステム関連パッケージの大半が利用する設定ファイル中で、この変換を実施してくれます。システム設定を自動的に更新しないようにした、あるいは
Debian のカーネルパッケージを使っていない場合は、システムが確実に起動できるようにするため、次回のシステム再起動の前にデバイスの ID
を自分で更新しておく必要があります。
以下は、mdadm 3.x
のデフォルト値で作成した、あるいはメタデータバージョンが明示的に -e を使って設定された
RAID デバイスから、grub-pc
ブートローダを使って直接カーネルを読み込みたいユーザのみに当てはまります。つまり、これは Debian squeeze
のインストール中、あるいはインストール後に作成されたすべてのデバイスに当てはまります。以前のバージョンの mdadm
を使って作成されたアレイと、コマンドラインオプション -e 0.9 で作成された
RAID は影響を受けません。
バージョン 1.98+20100720-1 以前の grub-pc は
1.x メタデータ形式の RAID からは直接起動できなくなります (新しいデフォルトは 1.2
です)。ちゃんとシステムが起動できるようにするには、Debian squeeze で提供されている grub-pc 1.98+20100720-1
、あるいはそれ以降のバージョンを必ず利用するようにしてください。起動できなくなったシステムは Super Grub2
Disk、または grml を使うと救出できるかもしれません。
もし lenny で Xen をインストールしていれば、GRUB Legacy で起動するデフォルトのカーネルは Xen のハイパーバイザと dom0 をサポートするものです。この挙動は、squeeze の GRUB 2 で変更され、デフォルトでは Xen ではないカーネルが起動します。Xen を必要として、デフォルトで起動したいなら、設定のヒントが http://wiki.debian.org/Xen#Installationandconfiguration にあります。
lenny からのアップグレードで、Xen バージョン 4.0 は自動ではインストールされません。Xen ハイパーバイザと適切な
dom0 カーネルをインストールして、将来のアップグレードを簡単にするには、xen-linux-system-2.6-xen-amd64 もしくは xen-linux-system-2.6-xen-686
パッケージをインストールしなくてはなりません。
squeeze の2.6.32 Xen カーネルは、forward-port された Xenlinux パッチにかわって pvops
を使っています。そのため、squeeze では、domU は ハードディスクのデバイス名として (例えば)
sda1を使うことができません。pvops ではこの命名規約が使えないからです。かわりに、(例の続きとして)
xvda1 を使わなくてはなりせん。こちらの表記は Xen
カーネルの古い方と新しい方、両方で互換性があります。
libdb3 で 作成された Berkeley DB バージョン 7 のファイルは、より新しい libdb バージョンでは読み取りできないものがあります
(バグ#521860
を参照してください)。回避策として、db4.8-util パッケージの
db4.8_load でファイルを作り直すことが可能です。
以前にローカルで /bin/sh を切り換え (diversion) していた、あるいは
/bin/sh のシンボリックリンクが /bin/bash
以外のものを指すように変更していたという場合、dash または
bash
パッケージのアップグレードの際に問題に遭遇するかもしれません。これには、他のパッケージ (例えば mksh) が /bin/sh
を引き継いで、デフォルトのシステムシェルになる変更が含まれることに注意してください。
このような問題が出てきた場合、ローカルでの切り換え (diversion) を削除して、/bin/sh
へのシンボリックリンクとマニュアルページが bash
パッケージによって提供されているファイルを指すようにしてから、dpkg-reconfigure --force
dash を実行してください。
dpkg-divert --remove /bin/sh
dpkg-divert --remove /usr/share/man/man1/sh.1.gz
ln -sf bash /bin/sh
ln -sf bash.1.gz /usr/share/man/man1/sh.1.gz
LDAP ライブラリ中で使われている暗号化ライブラリの機能は、TLS や
SSL を使っている LDAP
サーバに接続する際に、LDAP
を使っていて有効になっている特権を変更しようとするプログラムの接続障害を引き起こします。sudo、su、schroot
のような libnss-ldap
を使っているシステムや、sudo-ldap のような LDAP
検索を実行する suid プログラムに問題が発生します。
libnss-ldap パッケージを、すべての
LDAP 検索に分割されたデーモン (nslcd)
を使っている新しいライブラリである libnss-ldapd
に置き換えることをお勧めします。libpam-ldap の代替品は
libpam-ldapd です。
libnss-ldapd が、NSS キャッシュデーモン
(nscd)
をインストール前にあなたの環境に適しているかどうかを評価するのを推奨している点にご注意ください。nscd の代替としては unscd が考えられます。
ManageSieve への IANA のポート番号割り当ては 4190/tcp で、そして IANA レジストリ によると timsieved や多くのディストリビューションでの他の managesieve ソフトウェアによって使われていた古いポート番号 (2000/tcp) は Cisco の SCCP の利用に割り当てられていました。
Debian netbase パッケージのバージョン 4.38
から、/etc/services ファイルにて sieve
サービスはポート番号が 2000 から 4190 へ移動しました。
数字のポート番号ではなく sieve
サービス名を使っているソフトウェアはすべて、サービスが再起動あるいは再読み込みされる、あるいは/etc/services
が更新された直後に、新しいポート番号へ切り替わります。
これは Cyrus IMAP に影響します。DoveCot のような sieve が利用できる他のソフトウェアにも影響を及ぼすかもしれません。
ダウン時間の問題を避けるには、Debian を使っているメールクラスタの管理者には Cyrus (そしておそらく DoveCot も) の設定の確認をお勧めします。そして、突然サーバあるいはクライアントでポート 2000/tcp から 4190/tcp にサービスが移動するのを避ける方策を講じましょう。
特記しておくべきこと:
/etc/services
は、何も変更をしていなかった場合のみ、自動的に更新されます。それ以外の場合は、dpkg による変更についての確認が表示されます。
もし望む場合は、/etc/services を編集して sieve
のポート番号を 2000 に戻すこともできます (ですが、これはお勧めしません)。
/etc/cyrus.conf あるいはその他利用中のメール/ウェブメールクラスタの関連の設定ファイル (例:
sieve ウェブフロントエンド上のもの) を編集して、前もって固定のポート番号を強制的に使うようにすることが可能です。
cyrus master が同時に両方のポート (2000 と 4190) を受け取るように設定して、全く問題を受けないようにすることができます。これによって、ポート 2000 からポート 4190 へのよりスムーズな移行も可能です。
Debian 6.0 は複数のブラウザエンジンを含んでおり、これらは一定の割合でセキュリティ脆弱性の影響を受けます。高い脆弱性率と一部開発元での長期間サポートブランチの欠落によって、セキュリティ修正をバックポートしてこれらのブラウザをサポートする事が難しくなっています。さらに、ライブラリへの内部依存性のため、開発元の新しいリリースバージョンへの更新を不可能にしています。そのようなものとしては、Squeeze に含まれている qtwebkit と kthml エンジンを使ったブラウザがありますが、これらは完全なセキュリティサポートはされません。我々は、セキュリティ修正を追跡・バックポートする努力を行いますが、一般的にこれらのブラウザを信用できないウェブサイトを閲覧するのに使うべきではありません。
一般的なウェブブラウザの利用としては、Mozilla xulrunner エンジンを使ったブラウザ (Iceweasel および Iceape)、Webkit エンジンをベースにしたブラウザ (例: Ephiphany)、あるいは Chromium の利用をお勧めします。Xulrunner は、これまでのリリースサイクルで古いリリースバージョンへのバックポートが良好だった経歴を持っています。
(Webkit のコードをベースに構築されていますが) Chromium は独立したパッケージです。つまり、バックポートがもはや難しい場合、開発元の最新リリースにアップグレードする可能性が残っています (webkit ライブラリそのものの更新はできません)。
Webkit は、開発元で長期間メンテナンスブランチとしてサポートされています。
squeeze は、Qt 4 をベースにした次世代の KDE をフルサポートする Debian の初リリースとなります。多くの公式 KDE
アプリケーションはバージョン 4.4.5 で、kdepim
のみバージョン 4.4.7 となっています。変更点については、KDE
プロジェクトからのアナウンスを読むことでさらに確認ができます。
Debian 6.0 では、KDE 3 デスクトップ環境はサポートの対象外となりました。アップグレード時に自動的に新しい 4.4 シリーズに置き換わります。これは大きな変更なので、可能な限り円滑なアップグレード作業を確約するため、ユーザは事前の注意を受けておく必要があります。
![]() | 重要 |
|---|---|
システム上に有効な KDE 3 セッションがある間にアップグレードを行うのは推奨されていません。そうしなかった場合は、作業によって動作中のセッションが動かなくなり、データ損失が引き起こされる可能性があります。 |
アップグレード後のシステムへの初回ログイン時に、既存のユーザは kaboom と呼ばれる Debian-KDE
ガイド付きの移行手続きが表示されます。これは、ユーザの個人データの移行作業と、お望みであれば以前の KDE
設定のバックアップ作業を手助けしてくれます。詳細については、Kaboom
のホームページを参照してください。
KDE 3 のデスクトップ環境はもうサポートされませんが、ユーザが個々の KDE 3 アプリケーションをインストールすることはまだ可能です。これは
KDE 3 のコアとなるライブラリとバイナリ (kdelibs) と
Qt 3 がまだ Debian 6.0
で利用可能だからです。ですが、これらのアプリケーションは、新しい環境にうまく統合されていないことに注意しておいてください。さらに、KDE 3 と Qt
3 のどちらについても Debian
の次期リリースではサポートされないので、これらを使っているのであれば、新しいプラットフォームへソフトウェアを移植することを強くお勧めします。
先に記したように、Debian 6.0 では新たな KDE 関連のメタパッケージ群が導入されます:
通常のデスクトップ用途には、kde-standard
パッケージのインストールを強くお勧めします。kde-standard
は、デフォルトで KDE
Plasma デスクトップと、一般的に使われているアプリケーション群から選ばれたものを導入します。
最小限のデスクトップ環境が欲しい場合は、kde-plasma-desktop
パッケージをインストールして、手動で必要なアプリケーションを選択してください。これで、Debian 5.0 での
kde-minimal パッケージとおおよそ同等になります。
小型の機器用には、KDE
Plasma ネットブックと呼ばれるもう一つの環境があります。これは kde-plasma-netbook パッケージでインストールが可能です。Plasma
ネットブックと Plasma デスクトップは同一のシステム上に同居でき、システム設定 (以前 KControl だったものの代替)
でデフォルトを指定できます。
公式の KDE アプリケーションをフルセットで欲しい場合には、kde-full パッケージをインストールするのが良いでしょう。デフォルトで KDE
Plasma デスクトップがインストールされます。
GNOME デスクトップ環境は、lenny に含まれていたバージョンから squeeze に含まれているバージョンまでに多くの変更が加えられました。さらに詳しい情報は GNOME 2.30 のリリースノートにあります。固有の事柄は以下に挙げられています。
GNOME ディスプレイマネージャー (GDM) は、lenny からのシステムアップグレードに際しては、バージョン 2.20
のままになっています。このバージョンは、squeeze
のメンテ期間中は保守されますが、これが最後のリリースです。新しくインストールされるシステムには、代わりに gdm3 パッケージで提供される GDM 2.30
が設定されます。双方のバージョン間での非互換性のため、このアップグレードは自動的には行われませんが、squeeze へのアップグレード後には
gdm3
のインストールが推奨されています。この作業はコンソール、あるいは一つだけオープンになっている GNOME セッションから行う必要があります。GDM
2.20 からの設定は引き継がれません。しかし、標準的なデスクトップの場合は単に
gdm3 をインストールするだけで十分です。
デバイスに対する特別な権限が、現在システムへ物理的にログインしているユーザには自動的に与えられています:
ビデオ・オーディオデバイス、ネットワークの切り換え、電源の管理、デバイスのマウントなどです。cdrom、floppy、audio、video、plugdev、powerdev
グループの利用は、もはや有用ではありません。詳細な情報については、consolekit のドキュメントを参照してください。
root 権限が必要なほとんどのグラフィカルなプログラムは、gksu
ではなく、PolicyKit
を使うようになっています。ユーザ管理者権限を与えるお勧めのやり方は、ユーザを sudo グループに追加する事です。
network-manager
パッケージのアップグレードの際、/etc/network/interfaces で
DHCP をオプション無しで使うようにしていたインターフェイスは、このファイルでは無効にされ、代わりに
NetworkManager が管理するようになります。つまり、ifup と
ifdown コマンドは動作しなくなります。このようなインターフェイスは、代わりに NetworkManager
のフロントエンドを使って操作できます。NetworkManager
のドキュメントを参照してください。
逆に、/etc/network/interfaces
でインターフェイスに色々なオプションを設定している場合、NetworkManager では無視されます。これは、特に Debian
のインストール中に利用されている無線接続に当てはまります (バグ#606268
を参照してください)。
Debian 6.0 の X 環境には大量の変更が加えられています。この章では、もっとも重要でユーザから見える点を挙げます。
cyrix、imstt、sunbw2、vga
の Xorg ビデオドライバはもう提供されません。ユーザは、代わりに vesa や
fbdev などの汎用ドライバへ切り換える必要があります。
古い via
ドライバは既にメンテナンスされなくなっており、openchrome
ドライバに置き換えられました。このドライバは、アップグレード後に自動的に利用されるようになります。
今回のリリースには nv および radeonhd
ドライバがまだ存在していますが、利用は推奨されません (deprecated)。ユーザは、それぞれ nouveau
および radeon ドライバを代替として使うのを検討するべきでしょう。
calcomp、citron、digitaledge、dmc、dynapro、elo2300、fpit、hyperpen、jamstudio、magellan、microtouch、mutouch、palmax、spaceorb、summa、tek4957、ur98
X 入力ドライバは提供中止となっており、今回のリリースには含まれていません。これらのデバイスのユーザは、対応するカーネルドライバと evdev X
ドライバへと移行した方がよいでしょう。多くのシリアルデバイスについては、inputattach
ユーティリティを使えば evdev X ドライバで認識できる Linux 入力デバイスに接続が可能です。
カーネルドライバがネイティブモード設定をサポートするようになりました。それぞれ Intel (i830 以降)、ATI/AMD (オリジナルの Radeon から Radeon HD 5xxx 「Evergreen」 シリーズまで)、NVIDIA グラフィックスチップセットが対象です。
intel X
ドライバでは、旧式のユーザ空間モード設定は廃止されており、最近のカーネルが必要になります。カスタムカーネルのユーザは、設定に
CONFIG_DRM_I915_KMS=y が含まれているのを確認する必要があります。
Debian 6.0 の Xorg X サーバは、入力デバイス (マウス、キーボード、タブレットなど)
のホットプラグのサポートが改善されています。古い xserver-xorg-input-kbd および xserver-xorg-input-mouse パッケージは、xserver-xorg-input-evdev
によって置き換えられました。このパッケージは、CONFIG_INPUT_EVDEV
オプションが有効になったカーネルを必要とします。さらに、このドライバが提供するキーコードの一部は、それまで同じキーが対応していたのとは異なるものがあります。xmodmap
や xbindkeys などのプログラムのユーザは、新しいキーコードに設定を調整する必要があるでしょう。
squeeze では、munin が生成する Web コンテンツのデフォルトが
/var/www/munin から
/var/cache/munin/www
に変更されているので、もし管理者が変更していた場合は、アップグレードに際して
/etc/munin/munin.conf
を合わせる必要があります。アップグレードしているなら、/usr/share/doc/munin/NEWS.Debian.gz
を読むようにしてください。
shorewall ファイアウォールを使っている人は、Debian
6.0 へのアップグレードにあたって、http://www.shorewall.net/LennyToSqueeze.html
にある説明書を読まなくてはなりせん。同じものが shorewall-doc パッケージの
/usr/share/doc/shorewall-doc/html/LennyToSqueeze.html
にもあります。