Debian プロジェクトニュース - 2016 年 5 月 26 日

今年 2 号目の DPN、Debian コミュニティの会報、にようこそ。この号で取り上げられている話題は:

Debian プロジェクトニュース (DPN) にようこそ!

広報チームは、DPN の新スタイルが読者の皆様のお気に召すものであることを望んでいます。

DPN 以外のニュースについては、公式 Debian ブログである Debian からの一言を読んだり、Debian の Pump.io ネットワークフィード (https://identi.ca/debian) をフォローしてください。

Debian セキュリティチームは現行のセキュリティ勧告を毎日リリースしています (2016 年のセキュリティ勧告)。セキュリティ勧告をよく読んで、セキュリティメーリングリストに登録してください。

このプロジェクトニュースの最後に、クイックリンクの節を追加しました。この節では、プロジェクトニュース以外のメディアに投稿された多くの記事へのリンクを載せています。

Debian 内部のニュースおよび出来事

2016 年 2 月の時点で、sid スイートの amd64 アーキテクチャ移植版 main コンポーネントには 50,000 余りのバイナリパッケージがありました! さらにこのバイナリパッケージの数は 2016 年 5 月の時点で 51,000 まで増加しています。

重要なフリーズ

リリースチームが Debian 9 (stretch) のフリーズ日を決定しました。移行作業のフリーズ日は 2016 年 11 月 5 日、ソフトフリーズ日は 2017 年 1 月 5 日、完全なフリーズ日は 2017 年 2 月 5 日です。

stretch は Linux カーネル 4.10 を含めてリリースされることを期待されており、上記のフリーズ日は Linux 開発側がカーネル 4.10 を長期に渡ってサポートすること見込んで決められています。

Debian 9 stretch 用インストーラの 6 回目のアルファリリース

Debian インストーラチームが Debian 9 stretchインストーラの 6 回目のアルファリースを発表しました

インストーラには多くの改良がなされています。例えば、Debian Pure Blend をソフトウェア選択画面で選択できるようになったり、使い勝手が向上したり、Linux 4.5.0-2 を搭載するようになったり、さらに多くのハードウェアをサポートするようになっています。テストやフィードバックを歓迎します!

DPL 万歳

Mehdi Dogguy さんDebian プロジェクトリーダー (DPL) に選出されました。Mehdi さんは投票過程の一部として自身の思想と選出後の活動方針を発表しました。

素早いスタートを切った Mehdi さんは ITWire.com からのインタビューに答え、最初の DPL からの一言を投稿しました。

Wheezy LTS セキュリティサポートの開始

4 月 25 日 (Debian 7 (wheezy) のリリースのおよそ 3 年後) の時点で、wheezy 用の標準的なセキュリティサポートは終了しました。セキュリティサポートは Debian 長期サポート (LTS) チームに引き継がれています。Wheezy の LTS は 2018 年 5 月 31 日まで継続される予定です。

Debian Java チームの最新情報

Debian Java チームが Java パッケージの現状について最新情報を発表しました。136 個のパッケージが追加され、63 個が削除され、213 個がアップグレードされ、145 個が更新されました。これで Debian Java チームのメンテナンスするパッケージの数は 12.34% 増加して、892 個になっています。experimental スイートでは OpenJDK 9 を利用可能になりました。Gradle と連携するための新しいパッケージングツールが生み出されました。Scala がバージョン 2.11 にアップグレードされました。

Debian 日本語翻訳チームと Debian 管理者ハンドブック

Ryuunosuke Ayanokouzi さんを中心とする Debian 日本語翻訳チームが The Debian Administrator's Handbook の日本語翻訳 (邦題: Debian 管理者ハンドブック) に関する素晴らしい一連の作業を完了させました。さらに日本語翻訳チームはこの書籍の日本語ペーパーバック版を出版するために必要な作業をも行いました。他方で、フランス語ペーパーバック版がもう一つの翻訳版として出版されました。原著者らは日本の Debian コミュニティが Debian やこの書籍を宣伝しやすくするために、日本語ペーパーバック版を幾つかの日本の Debian コミュニティに寄付しました。

Ryuunosuke Ayanokouzi さんは以下のとおり関係者全員に感謝の言葉を述べています。

はじめに、日本語翻訳チームを代表して、私は原著者である Raphaël Hertzog さんと Roland Mas さんがこの書籍に翻訳の自由を与えてくださったことに感謝します。さらに、日本語翻訳に関する数多くの重要な提案やコメントにも感謝しています。この種の提案やコメントの多くは Debian JP Project の運営するメーリングリスト (特に debian-doc@debian.or.jp) の参加者および日本人の Debian 開発者のからのものでした。

加えて、表紙レイアウトの日本語化を行う際に Doru Patrascu さんが行った多大なる協力にも感謝しています。

原著者、翻訳者、デザイナーが相互に協力しあわなければ、The Debian Administrator's Handbook の日本語ペーパーバック版を出版することはできなかったでしょう。

皆様のご尽力を本当にありがたく思っております!

一部の言語 (スペイン語、イタリア語、ブラジルポルトガル語) に関して言えば、翻訳作業が完了し、翻訳チームはペーパーバック版の出版に取り掛かっています。これら以外の言語 (アラビア語、ノルウェー語、中国語 (繁体字・簡体字)、ロシア語、ドイツ語) への翻訳も進行中です。どうぞお気軽に貢献してください!

Iceweasel よ、安らかに

ほぼ 10 年間におよぶ活動の末、Mike Hommey さんは Debian における Iceweasel から Firefox への移行作業に関して記事を投稿しました。

ついに Debian から ZFS を利用可能になりました

ライセンスに互換性が無かったため、何年もの間 Debian アーカイブ内に ZFS を含めることは認められていませんでした。しかしながら、Software Freedom Law Center への諮問と数多くの辛抱強い Debian 開発者による作業により、Debian プロジェクトは main ではなく contrib コンポーネント内で ZFS を提供することを可能にしました。ユーザは DKMS を通じて ZFS のコードを利用可能です。

今後のイベントとイベントの報告

今後のイベント

DebConf 16

南アフリカのケープタウンで 2016 年 7 月 2 日から 9 日に開催される DebConf16 の準備が進められています。講演企画の初回分は承認され、その他の講演企画も査定を受けています。会話セッション (BoF) とワークショップに関しては、まだ企画を募集中です。

2016 年 6 月 23 日から 7 月 1 日に開催される DebCamp に参加するチームは自分たちの計画を一つの wiki ページに書き出すように勧められています。

2016 年 7 月 2 日と 3 日に開催される Open Weekend に関する計画や意見をお持ちなら、専用の wiki ページをご覧になって、DebConf チームにお知らせください

Debian バグ潰しパーティ (BSP)

年に一度の LiMux BSP がミュンヘン市から宿泊と食事の支援を受けて開催される予定です。開催期間は 5 月 27 日 (金) から 5 月 29 日 (日) までです。

また、別のバグ潰しパーティが、オーストリアのザルツブルグにて 2016 年 9 月 23 日 (金) から 9 月 25 日 (日) までの間に、Conova Communications GmbH からの支援を受けて開催される予定です。

Debian 関連のイベントや講演を支援する方法に関する詳しい情報が必要ならば、Debian ウェブサイトのイベントに関するページをご覧ください

イベント報告

Debian Ruby チーム

2 月に Debian Ruby チームは Sprint をパラナ連邦工科大学 (UTFPR) で開催しました。5 日間の Sprint 期間中に 8 名が参加し、参加者は Ruby インタプリタの新バージョンの間に発生した多くのバグを修正する作業に集中して取り組みました。この Sprint の参加者はバグ修正作業だけに終始したというわけではなく、チーズやワインを楽しんだり、Tinder に関する混乱を解消したり、今後の Sprint を改善するための方法を考え出したりしました。

Debian Ruby チームは 151 回以上のアップロードを行い、不安定版に対して Ruby 2.3 への移行に必要な作業を行い、Reproducible Builds 用のツールチェーンを改良しました。チームは毎日の進捗状況を記録し、毎日の作業記録へのリンクを含む素晴らしい最終報告を投稿しました。われわれはチームが引き続き作業を行うことを楽しみにしていますが、それ以上にチームが One-Sided Dinner Booth Problem を解決することを楽しみにしています。

Mini-DebConf Curitiba 2016

Debian 専門の Mini-DebConf Curitiba 2016 が 2 日間にわたって開催されました。20 時間分の催し物が企画され、85 人が参加し、12 回の講義、7 つのライトニングトーク、5 つのワークショップが開かれました。イベント主催者は場所を提供した Aldeia Coworking およびイベントに対する貢献に感謝し、イベントの写真を公開しました。

Debian 昔話:

手助けが必要です

Debian Java チームが BND 3、Tomcat 7 から 8 へ、Jetty 8 から 9 へ、ASM 5、Java 9 の移行作業に伴う手助けを求めています。さらにチームは古いライブラリの削除に伴う手助けおよび Azureus/Vuze のメンテナを必要としています。debian-java@lists.debian.org 宛に提案を送ったり、IRC を使って irc.debian.org 上の #debian-java チャンネルでチームとチャットしてください。

新メンテナチームが手助けを求めています。チームは、メンテナ候補者が自分の申し込みをオンラインで提出し、新メンテナチームがウェブサイトからその申し込みを査読することを可能にするために、新メンテナ手続きのワークフローを nm.debian.org のインターフェースに統合することを望んでいます。

手助けが必要なパッケージ:

現時点で718 のパッケージがメンテナ不在となり178 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です。完全なリストは支援が必要なパッケージをご覧ください。

newcomer バグ

Debian のバグには newcomer タグを設定可能です。newcomer タグは、新規の貢献者にとって対象のバグが特定のパッケージに関する作業の出発点としてふさわしいと考えられるバグに設定されます。現時点で 167 個の newcomer バグが報告されています。

コードに関連しないニュース

貢献者

1452 人の貢献者と 19 のチームが 2016 年の Debian への貢献者ページに掲載されています。

議論

Debian ユーザである Lina さんが、何がローカルファイルシステム内で隠しファイルのように見えるのかという意味で容量を消費しているファイルはどれ? と質問しました。この議論は、どのように mount コマンドがマウントを行いしばしばファイルを隠すかに関して、ちょっとした歴史と手順を述べる議論に続きました。

Debian ユーザである Jude DaShiell さんがディスプレイ無しで Linux を稼動させる方法について質問しました。ここではヘッドレスサーバセットアップ、ダミーディスプレイ、スクリーンリーダについて話し合われました。

Debian ユーザである Richard Owlett さんが一つの起動可能なフラッシュドライブに複数のライブ iso を収める方法について質問しました。この議論は、これを実現する可能性と実現させるためのいくつかのコツに関する議論に続きました。

ヒントとコツ

Vincent Fourmond さんが QSoas に関するヒントとコツを公開しています。それは、データ解析においてより良いベースラインを設定するために save points 機能を使うということです。

Enrico Zini さんがバッテリー駆動時間を伸ばしてシステムのレイテンシを抑えるための簡単なワンライナーを公開しています。

外部ニュース

2016 年の Open Compute Project サミットにおいて、Microsoft は SONiC を発表しました。これは Debian ベースのソフトウェアプラットフォームで、ネットワーク管理者がカスタマイズされた設定と規則に基づいてネットワークデバイスを管理できるようにするために Switch Abstraction Interface (SAI) を使っています。

今年のはじめにわれわれは Microsoft が credativ と協力して Debian を Azure マーケットプレイスの動作保証済みディストリビューションのリストに加えたことを報告しました。

報告

LTS に関する Freexian の月次報告

Debian 長期サポート、2016 年 4 月

Debian 長期サポート、2016 年 3 月

Debian 長期サポート、2016 年 2 月

Reproducible Build の状況と最新情報

Reproducible builds: stretch サイクル第 56 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 55 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 54 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 53 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 52 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 51 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 50 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 49 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 48 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 47 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 46 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 45 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 44 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 43 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 42 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 41 週

Reproducible builds: stretch サイクル第 40 週

Debian ソーシャルメディアからのクイックリンク

Imagination が 64-bit MIPS CPU 向けの Debian の開発を促進

Debian は 2016 年のサマーインターンを歓迎します

Debian は広報と報道活動を外部のマーケティング代理店へ下請けに出すためのパートナーシップを発表します (エイプリルフール)

Debian Project は Mythic Beasts がハードウェアを貸し出してくれたことに感謝したいと思っています

これからも DPN を読みたいですか?

この会報の作成を手伝ってはくれませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集中です。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。あなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。


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バックナンバーもご利用いただけます。

今週号の Debian プロジェクトニュースは 広報チーム (およびご協力いただいた Ryuunosuke Ayanokouzi さん、Jean-Pierre Giraud さん、Raphaël Hertzog さん、Justin B Rye さん、Holger Wansing さん) が編集しました。
綾小路龍之介さん が翻訳しました。