Debian ウィークリーニュース - 2002 年 1 月 30 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian 週刊ニュースの第 5 号へようこそ。この 1 週間は刺激的でした。やがて来る woody リリースについての話が多く debian-devel メーリングリストで行われました。 今週号には Tollef Fog Heen さんと Yooseong Yang さんによる記事が含まれて います。記事を書いていただいたことに感謝します。今週号の電子メール版は リンクをうめこむのに新形式を使っています。これは Aaron Schrab さんが 提供したスクリプトによって生成されました。これが Debian 週刊ニュースを 読みやすくするかどうか教えてください。

新しい GDB マニュアルはフリーか? Thomas Bushnell さんは GDB が上流で新たにリリースされ、GDB マニュアルの 著作権問題を修正したと報告しました。新リリースは GDB が (たぶんなにかの事故が原因で) さまざまな技術的な章を invariant にしていたと いう事実を修正します。Thomas さんはこれで GDB は Emacs や GCC と同じ カテゴリになったと言いました。問題がないわけではありませんが、 それほどひどくもないというわけです。

パッケージ追跡システム (Package Tracking System)。 Raphaël Hertzog さんは新しいパッケージ追跡システムを発表しました。これは 開発者があるソースパッケージについてのすべてのメッセージを講読することを 可能にします。バグについてのメッセージと (まだ実装されていませんが) 「インストールずみ」メッセージです。このサービスはパッケージを追跡したい 「バックアップメンテナ」や、自分のパッケージが Debian でどのように 扱われているのか知りたい上流作者、NMU をする人などによって利用できます。 説明を読むには pts@qa.debian.org に「help」という語を含むメッセージを 送ってください。

O'Reilly の本をパッケージ化する。 Stefano Zacchiroli さんは Objective Caml を扱った、O'Reilly の本の 電子版をパッケージ化したくて、このパッケージが main ディストリビューションに入れるか疑問に思っていました。O'Reilly はそのライセンスはDFSG を満たすと思っているにもかかわらず、意見はさまざまです。したがってこの本は non-free のためにパッケージ化 されようとしていました。しかし、O'Reilly はあとでライセンスを変更したので、いまでは DFSG を満たし、main ディストリビューションに入れます。

古い Netscape パッケージ? Netscape 4.79 が 2001 年 11 月 16 日にリリースされたにもかかわらず、 その Debian パッケージはいまだに 4.77 です。DonDiego さんは Netscape パッケージがみなし子化されたのか不思議に思いました。60 日以上残っているバグがいくつかあります。他のブラウザのパッケージのほうがよりよく 維持されているように見えます。Netscape はブラウザ戦争で負けましたが、 Mozilla (または Mozilla ベースのブラウザ) と Konqueror は Debian ディストリビューションのオープンソースウェブブラウザの中で優勢です。

Emacs オペレーティングシステム。 Adam Major さんは Emacs 21 パッケージとともに配布されている奇妙な マニュアルページを不思議に思いました。彼の元のメールに対する返事によって月の満ち欠けpongtetrisdisplay-battery が あることがわかりました。後者はバッテリーに注意したいすべてのノートブック ユーザにとって便利です。この議論は Adam さんがこう言って終わりました: 「この狂気は決して終わらないのでしょうか? 仕事をかたづけようとして いるのに!」

Desktop Entry Standard か Debian Menu System か? Chris Cheney さんは最近の Gnome や KDE で採用されている Desktop Entry Standard に移行することを提案しました。 ディストリビューションに依存しないメニューシステムはよいことですが、Ben Armstrong さんは Debian メニューシステムはデスクトップに依存しないメニュー項目を指定する方法を 提供するだけではないと指摘しました。Debian メニューシステムは 同じメニューをすべてのウィンドウマネージャにわたって実装するしくみを 提供します。Joseph Carter さんは Desktop Entry Standard には前提条件 (x11 が必要だとか、仮想コンソールが必要だとか、端末が必要だとか) のサポートが欠けているとつけ加えました

Adrian Bunk さんが引退しました。 woody リリースが (もし進んでいるとしても) ほとんど進んでいないので、 Adrian Bunk さんは Debian プロジェクトから完全に引退しようと決心して、 自分のパッケージをすべてみなし子化しました。現在のリリース過程は Adrians さんにほどんどやる気をもたらさず、彼は自分の仕事が Debian の中で 近い将来の新しい安定版リリースという形で尊重されていないと思いました。

リリースへの取り組み。 Anthony Towns さんは woody リリースを対象にした総括を投稿しました。 基本的に彼は現時点では何も進んでいないと言っています。バグがあって役に 立たないソフトウェアの山を Debian リリースとして受けいれ可能にする 魔法は決して存在しません。それでも断念するべきではありません。実際、 何をする必要があるかはきわめて明白です: バグを修正する必要があります

そのうえ、NMU (non-maintainer uploads) はこれ以降可能です。しかし、 メンテナによるアップロードのほうがやはりよりよいことに注意してください。 パッチを送ったりメンテナがそれを統合するのを助けたりするのもよいです。 NMU のためにインストールを最大で 10 日おくらせるシステムも実装されました (詳細は Anthony さんのメールをごらんください)。NMU を行ったら、 パッケージを決して壊さないようにするのはあなたの責任だということに注意して ください。

アップグレードの問題。 Debian ディストリビューションはある安定版リリースから次の安定版へと スムーズにアップグレードできることで知られています。しかし、potato から woody へアップグレードするのはこのようにはいかないようです。いくつかの 報告がアップグレード中の問題を示しました。例をあげれば、Dale さんによるこの問題とか、 この問題とかです。Ted T'so さんは Debian は達人にしか使えないというのでいいのかそれとも一般ユーザも使えるようにする べきなのかたずねました

インストールの問題。 あるエキシビジョン (ドイツで行われた HCT です。旅行レポートをごらんください) で何人かの Debian 関係者が純粋な Debian woody システムを他の出品者のマシンにインストールしようとしました。 これは期待どおりスムーズに動くはずでしたが、そうではありませんでした。 壊れたリリースファイルのエラーで失敗しましたし、 debian-boot からのパッチも予想どおりには動きませんでした。さらに悪くなりました。ファイルに 手動でパッチをあてると、nano-tiny がセグメンテーション違反をおこしました。 これは Debian にはブートフロッピーのテストと、このシステムについて作業する よくわかった人がもっと必要だということを明らかに示しています。

CORBA コンポーネントとしての Debian? Colin Walters さんは packages.debian.org へのウェブインターフェイスが i386 パッケージしか表示しないことにいらいらしました。 彼は代わりのインターフェイスをどう実装するべきか考えはじめて、auric 上のデータベースへのアクセスが必要だとわかりました。これだけでも CORBA インターフェイスを必要とします。アーカイブへの CORBA インターフェイスがあるなら、なぜバグ追跡システムやその他のサービスへの CORBA インターフェイスがないのでしょうか? 彼はすでに動作する試作品を実装しました。

XFree86 4.2.0 が発表されました! 1 月 18 日に XFree86 4.2.0 がリリースされました。 Debian はそれをすぐパッケージ化するのかという質問が、 DebianPlanet で出ました。Branden Robinson さんは X Strike Force ページを更新しました。このページ上で彼は 4.1.0-14 のパッケージを準備中だと説明しました。彼は 4.2.0 バージョンの作業もはじめましたが、いつパッケージができあがるかは 約束できません。過去と同様に、新しい上流バージョンの最初の入手可能な パッケージは彼の個人レポジトリから得られる実験的なプレリリースに なるでしょう。

新規または言及するべきパッケージ。 以下の新規または更新されたパッケージが最近 Debian アーカイブに 追加されました。

セキュリティ上の更新。 ふつうは私たちはあなたのパッケージをアップグレードすることをすすめます。 しかし、最新のセキュリティ上の勧告は修正するべきものをかわりに 壊しているので、匿名 rsync サーバとして動いているマシンを更新するときは 注意してください。リモートの root セキュリティホールを修正するかも しれませんが、サービスを停止することにもなります。かわりに開発版の パッケージをあなたの potato マシンで再コンパイルしたほうがいいかも しれません。

みなし子化されたパッケージ。 18 個のパッケージが今週みなし子化されて、新しいメンテナを必要としています。 これでみなし子化されたパッケージは合計で 113 個になりました。完全な リストは WNPP のページをごらんください。

ニュースがありますか? ひきつづき私たちに知らせてください! みのがしたくありません。感想や新しい、 または古いパッケージについてのヒントを dwn@debian.org へ送ってください。 もし Debian の関係者に会いたいだけなら、現在ニューヨークで行われている LinuxWorld Conference and Expo に出席することを検討するのを提案します。


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今週号の Debian ウィークリーニュースは Yooseong Yang and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。