Debian プロジェクトニュース - 2009 年 1 月 12 日

今年 1 号目の DPN、Debian コミュニティの会報、にようこそ。この号を 2008 年 12 月 26 日に悲劇的な交通事故で亡くなったThiemo Seufer さんに捧げます。

この号で取り上げられている話題は:

Debian CD チームからの一言

Frans Pop さんは Debian CD チームからの一言を送信しました。メールでは次期リリースである Debian GNU/Linux 5.0 Lenny のインストールメディアに影響をもたらす様々な変更点がまとめられています。

最も重要な変更点は Xfce インストールディスクを、Xfce か LXDE をインストールできる軽量デスクトップインストールディスクに置き換えた点です。さらに、4 種類の主要なデスクトップ環境 (GNOME、KDE、Xfce、LXDE) は 1 枚目の DVD イメージから直接インストールすることが可能です; インストールするデスクトップ環境はブートメニューで選択できるようになっています。

Debian CD チームは継続して以下のイメージを作成する予定です:

Debian インストーラチームからの一言

Christian Perrier さんが Debian インストーラチームからの一言を送信しました。次期リリースである Debian GNU/Linux 5.0 Lenny を考慮して、Christian さんはこのリリースサイクル中に行われた改良についてまとめました。改良の一例として、インストール中のファームウェア読み込みのサポート、SATA RAID のサポート、セキュリティ修正を行うパッケージの早期アップグレード、volatile のサポート、i386/amd64 用の新しいブートメニュー、win32-loader による Windows からのインストールのサポート、などが挙げられます。

さらに Christian さんは次のリリース候補版は Lenny 公式リリースに搭載されるバージョンになることを目標にしている点に言及しました。このバージョンではリリース候補版 1 (RC1) で見つかったいくつかのバグと RC1 のエラッタに挙げられたバグが修正される予定です。チームは 2009 年 1 月の初旬に Debian インストーラ RC2 の最終リリースプロセスを開始する予定です。

また Christian さんはコミット権を持つ 180 人のうちこの 3 ヶ月間に調整用メーリングリストや IRC チャンネルで積極的に活動したのは 3 人だけだったことから、Debian インストーラチームに参加する新人の必要性を強調しました。

Lenny リリース一般決議の結果

Bdale Garbee さんは Debian GNU/Linux 5.0 Lenny に影響を及ぼすファームウェア問題と類似のバグの取り扱いに関する Lenny リリース一般決議の結果を投稿しました

全ての提案の中から特に証明されない限りブロブは GPL に適合していると仮定すると銘打たれた提案が選ばれました。この結果を受けて、Debian プロジェクトはソースコードの無いファームウェア (様々な電子デバイスを内部的に操作する比較的小さなプログラム、ファームウェアに関するウィキペディアページを御覧ください) は (高級言語で書かれたソースコードが無かったとしても) GPL に適合するように作成され、それゆえ、ファームウェアは GNU 一般公衆利用許諾書の要求を満たしていると仮定します。

search.debian.org の新しいメンテナが必要です

Thomas Viehmann さんが search.debian.org の新しいメンテナを探しています。この検索エンジンでは少しパッチされた xapian-omega インスタンスが使われています。検索エンジンの設備にアクセスするには Debian 開発者であるか、チームの一員にならなければいけません。C++ の知識が少し必要ですが、言語サポートに関する改良がいくつか必要です。Thomas さんはこれを支援するそうです。

次期テスト版 (Squeeze) のセキュリティサポート

テスト版セキュリティチームは次期テスト版 (コードネーム Squeeze) のセキュリティサポートが始まるのは Lenny を安定版としてリリースした直後ではないことを発表しました。セキュリティサポートが必要な Debian テスト版のユーザは Squeeze 向けのセキュリティサポートの開始が発表されるまでは Lenny のままにしておいてください。

planet.debian.org の国際化サポート

Jörg Jaspert さんは planet.debian.org (様々な Debian 開発者、メンテナ、その他の Debian 関係者の個人ブログをまとめるサービス) で様々な言語によるウェブページと RSS/Atom フィードの提供が始まったことを発表しましたスペイン語の Planet Debian はその一例です。

新しい言語を追加するのは非常に簡単ですが、新しく作成する言語用に少なくとも 10 個のフィードが必要です。

Debian 秘書の人事異動

最近あった Lenny リリース一般決議投票の運営に関する非難が原因で、長期間 Debian プロジェクトの秘書を務めた Manoj Srivastava さんは現職から辞任することを決意しました。Manoj さんの辞任を受けて、多くの開発者がこれまでの仕事に感謝しました。

Debian プロジェクトリーダである Steve McIntyre さんは現在、Debian 秘書の志願者を探しています。新しい秘書が見つかるまでの間は、現在の技術委員会の委員長である Bdale Garbee さんが臨時秘書の職に就きます

Debian の技術委員会の人事異動

Debian 技術委員会の一員になって 3 年が過ぎ、委員会に新人を採用するために Anthony Towns さんは現職から辞任しました。3 年間に Anthony さんが行った仕事に関して Anthony さんに感謝します。

現在の技術委員会の議長である Bdale Garbee さんは Russ Allbery さんと Don Armstrong さんが技術委員会に参加することを発表しました。コミュニティの中で評価と信頼を獲得できた 2 人を歓迎しましょう。

新メンテナフロントデスクの人事異動

Christoph Berg さんは Debian 開発者になることに興味のある人からの申し込みを取り扱う新メンテナフロントデスクの人事異動について発表しました。2005 年からのチームメンバーである Marc Brockschmidt さんが現職から辞職し、Bernd Zeimetz さんがチームに参加しました。

我々は Marc さんの長年に渡る貢献に感謝します。

その他のニュース

開発ニュース寄せ集めの第 12 号が発行され、以下の話題が取り上げられました。

Holger Levsen さんは次回の Free and Open Source Developer Europe Meeting (FOSDEM) に設けられる Debian の開発者部屋で開催されるセッションを記録する支援を呼びかけました

Simon McVittie さんは Debian パッケージ管理の bzr から git への変換に関する小さな手引を書きました。

Nagarjuna G. さんは pythonemacs21 のように Debian パッケージの依存情報を示すグラフを描くサービス始めました

Ana Beatriz Guerrero Lopez さんは新年の提言として、自分が報告したバグレポートを確認することと、バグレポートの状態を更新することを提案し、その方法について簡単に説明しました。また、Ana さんはお気に入りのパッケージにあるバグに関してメンテナを支援することを提案しました。

Luk Claes さんと Ralf Treinen さんは GPG 鍵署名の調整を支援してくれる人を探しています。GPG 鍵署名の調整とは、主に貢献者候補が新規メンテナプロセスで必要な自分の鍵の ID 部分に署名してくれる Debian 開発者を探すサービスです。作業の量はそう多くありません; 必要な作業の説明は Subversion リポジトリでご確認ください。

Daniel Burrows さんが APT システムとこれを利用するアプリケーションに関する図を作成しました

新しい開発者とメンテナ

前回の Debian プロジェクトニュースが発行された後に、3 人の応募者が Debian 開発者として認められ、1 人の応募者が Debian メンテナとして認められました。Michael Casadevall さん、Arthur Loiret さん、Jelmer Vernooij さん、Tiago Bortoletto Vaz さんを私たちのプロジェクトに歓迎しましょう!

次期リリースに関するリリースクリティカルバグの統計

非公式のリリースクリティカルバグカウンタによれば、次期リリースである Debian 5.0 Lenny には今のところ 99 のリリースクリティカルバグがあります。このうち 26 は Debian の不安定版ブランチで修正済みです。残りの 73 のリリースクリティカルバグのうち、15 に対してはパッチが提供され (テストが必要かもしれません)、12 は保留状態です。

これらのバグおよび contrib または non-free 用のパッケージに対するリリースクリティカルバグを除くと、リリースするためには 49 のリリースクリティカルバグの修正が必要です。

重要な Debian セキュリティ勧告

Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: courier-authlibproftpd-dfsgavahimoodlephppgadminxtermruby1.8 と ruby1.9icedoveiceapegforge。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリストを購読してください。

新規の注目パッケージ

最近、以下のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:

本日の Debian パッケージでは以下のパッケージを特集します。procps (watch: 一定間隔でプログラムを実行し結果を表示)、atool (ややこしくない方法でアーカイブを取り扱う)、tellico (書籍、動画、音楽、その他の収集管理ソフト)。

作業が必要なパッケージ

現時点で、482 のパッケージがメンテナ不在となり、107 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です。興味を惹かれるパッケージがある場合や、支援が必要なパッケージの完全なリストを見るには、最近報告をご覧ください。

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バックナンバーもご利用いただけます。

今週号の Debian プロジェクトニュースは Thomas Viehmann さん、Paul Wise さん、Alexander Reichle-Schmehl さん が編集しました。
綾小路 龍之介さん、Nobuyuki Morita さん が翻訳しました。