8.5. 電子メールを使用するためのシステム設定

今日では、電子メールは多くの人々にとって生活の重要な一部になっています。 電子メールを使えるように設定するまでには、たくさんの選択肢があり、さらに 電子メールが正確に設定されていることが重要になる Debian ユーティリティ があります。本節では、基本的なことのみ説明します。

電子メールシステムは、三つの主要な機能で構築されています。 最初に、ユーザがメールを読み書きするために実際に使用するプログラム である Mail User Agent (MUA) があります。 次に、あるコンピュータから別のコンピュータまでメッセージの転送処理 をする Mail Transfer Agent (MTA) があります。 そして最後に、ユーザの受信箱に受信メールの配送処理 をする Mail Delivery Agent (MDA) があります。

これら三つの機能は個別のプログラムによって実行されますが、一つあるいは 二つのプログラムに組み込むこともできます。また、異なるタイプのメールのために、 これらの機能を処理する異なるプログラムを使用することもできます。

Linux や Unix システムにおいては、mutt が歴史的に とてもよく知られている MUA です。従来のほとんどの Linux プログラムが そうであるようにテキストベースのプログラムで、 MTA として exim または sendmail、 そして MDA として procmail と組み合わせてよく使用されます。

グラフィカルデスクトップシステムの人気の高まりとともに、 GNOME の evolution、KDE の kmail、 あるいは Mozilla の thunderbird (Debian では icedove[12] として利用可能) のようなグラフィカルな電子メールプログラムの 使用がより一般的になっています。これらのプログラムは、MUA、MTA および MDA の機能が組み合わされていますが、従来の Linux ツールと組み合わせることもでき — そして多くの場合は組み合わせて — 使用されます。

8.5.1. デフォルトの電子メール設定

グラフィカルなメールプログラムを使用するつもりでいても、Linux システムに 従来の MTA/MDA もインストールし、正確に設定するのは大切なことです。 システムで起動している様々なユーティリティ[13] が、システム管理者に (潜在的な) 問題や変更を通知するために、 電子メールで重要な通知を送ることができるからです。

そのため、exim4mutt パッケージは、デフォルトでインストールされます (インストールの際に 「標準」 タスクを非選択にしなかった場合)。 exim4 は、比較的小さなプログラムですが、 とても柔軟性のある MTA/MDA の組み合わせです。 デフォルトでは、システム内のローカルな電子メールの処理のみのために設定され、 システム管理者 (root アカウント) 宛ての電子メールは、 インストールの際に作成した標準のユーザアカウントに配送されます[14]

システムから配送された電子メールは /var/mail/account_name 中 のファイルに加えられます。メールは mutt を使って 読むことができます。

8.5.2. システムの外に電子メールを送る

先に述べたように、インストールした Debian システムは、システム内のローカルな 電子メールを処理するようにだけ設定され、他人にメールを送ったり、 他人からメールを受け取ったりするようには設定されません。

exim4 に外部の電子メールを処理させたい場合は、 利用できる基本設定オプションに関して、次節を参照してください。 メールが正しく送受信できることは、テストして確かめるようにしてください。

もしグラフィカルなメールプログラムを使って、インターネットサービス プロバイダ (ISP) あるいは会社のメールサーバを使用するつもりならば、 外部の電子メールを処理するために exim4 を設定する 必要は実際にはありません。電子メールを送受信するために、 好みのグラフィカルなメールプログラムが正しいサーバを使用するようにただ 設定するだけです (設定方法は本マニュアルでは扱いません)。

しかしその場合には、電子メールを正しく送れるように個々のユーティリティ を設定する必要があるかもしれません。そのようなユーティリティの一つに、 Debian パッケージに対するバグ報告の提出を容易にするプログラム である reportbug があります。 デフォルトでは、バグ報告を提出するために exim4 が 使用可能であることが期待されます。

外部のメールサーバを使用するように reportbug を正しく 設定するため、reportbug --configure コマンドを 実行し、MTA が利用可能かどうかという質問に 「no」と答えてください。 その後、バグ報告の提出に使用する SMTP サーバを尋ねられるでしょう。

8.5.3. Exim4 Mail Transport Agent の設定

システムで外部の電子メールを処理するようにしたい場合、 exim4 パッケージを再設定する必要があります[15]:

# dpkg-reconfigure exim4-config

(root で) 上記のコマンドを入力した後に、設定ファイルを小さなファイルに 分割するかどうか質問されます。よく分からない場合は、デフォルトオプションを 選択してください。

次に、一般的な複数のメールシナリオが提示されます。 あなたが必要としていることに最も近いものを一つ選択してください。

インターネットサイト

システムはネットワークに接続され、SMTP を使用して直接メールを送受信します。 次の画面で、マシンのメール名や受信あるいは中継するメールのドメインリスト などのような、いくつかの基本的な質問をされるでしょう。

スマートホストでメール送信

このシナリオでは、あなたの送信メールは、宛て先へのメッセージ送信処理をする 「スマートホスト」 と呼ばれる他のマシンに転送されます。 通常、スマートホストは、あなたのコンピュータ宛てに送信された受信メールを 保管するので、ずっとオンラインである必要はありません。つまりそれは、 fetchmail のようなプログラムによって、スマートホストのメールを ダウンロードしなければならないことを意味します。

多くの場合、スマートホストはあなたの ISP のメールサーバで、このオプションは ダイヤルアップユーザにとても適しています。またそれは、会社のメールサーバや あなた自身のネットワーク上の別のシステムとすることもできます。

スマートホストでメール送信; ローカルメールなし

このオプションは、システムがローカルの電子メールドメインを処理するようには 設定されないという点を除いては、基本的に前のものと同じです。 システム自体 (例えば、システム管理者のため) のメールは処理されます。

ローカル配信のみ

システムがデフォルトで設定されるオプションです。

今は設定しない

内容を理解できていると絶対に確信している場合のみ選択してください。 このシナリオは、メールシステムを未設定のままにします — メールシステムが設定されるまで、メールの送受信は一切できず、 システムユーティリティからの重要なメッセージも逃してしまうかもしれません。

以上のどのシナリオもあなたの必要とするものに合っていない場合や、 より精細な設定が必要な場合は、インストール完了後 に /etc/exim4 ディレクトリの設定ファイルを 編集する必要があります。exim4 に関する より多くの情報は、/usr/share/doc/exim4 ディレクトリ にあります — README.Debian.gz ファイルには、exim4の設定に関するその他の情報や、 補足文書がどこで見つかるかなどの説明があります。

公式なドメインネームがない場合、インターネットに直接送信されたメールが 受信サーバのスパム対策のために拒絶され、結果として不着メールとなる可能性が あることに注意してください。ISP のメールサーバの使用が望まれます。 それでもメールを直接送信したい場合には、デフォルトで生成されるものとは 異なる電子メールアドレスを使用した方が良いでしょう。 MTA として exim4 を使用するなら、 /etc/email-addresses にエントリを追加することで可能です。



[12] thunderbird が Debian で icedove に 改名された理由は、ライセンス問題と関係があります。 詳細は本マニュアルでは扱いません。

[13] 例えば: cronquotalogcheckaide、…

[14] 標準のユーザアカウントへの root 宛てのメールの転送は、 /etc/aliases で設定します。標準のユーザアカウントを 作成しなかった場合、もちろんメールは root アカウント自身に配送されます。

[15] もちろん、exim4 を削除し、他の MTA/MDA を 使用することもできます。