[ 前のページ ] [ 目次 ] [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ] [ 8 ] [ 9 ] [ 10 ] [ 11 ] [ 12 ] [ 次のページ ]

Debian GNU/Linux 3.0 のインストール (Intel x86)
第 3 章 - Debian GNU/Linux のインストールの前に


3.1 インストール作業の概要

まずインストール作業の最中に行う処理を一段階ずつまとめておきましょう。

  1. ハードディスクに Debian のパーティションに使える領域を確保する
  1. カーネルとドライバファイルの場所を確認 (またはダウンロード) する (Debian CD ユーザは不要)
  1. ブート floppies を作る。あるいは起動ファイルを配置する (Debian CD ユーザは CD のどれかから起動できるでしょうから不要)
  1. インストールシステムを起動する
  1. キーボードを設定する
  1. Debian パーティションを作成してマウントする
  1. インストーラにカーネルとドライバの場所を伝える
  1. ロードする周辺機器のドライバを選ぶ
  1. ネットワークインターフェースを設定する
  1. ベースシステムの自動ダウンロード/インストール/セットアップ を開始する
  1. Linux のブートローダ (あるいはマルチシステムローダ) を設定する
  1. 新しくインストールしたシステムで起動し、最終設定を行う
  1. 追加タスクやパッケージを好みに応じてインストールする

3.2 いまのデータをバックアップしましょう!

インストールを始める前に、 現在使用しているシステムのすべてのファイルをバックアップしてください。 今回が、最初から入っていたもの以外の OS をインストールする 最初の試みでしたら、おそらくディスクのパーティション分割をやり直して Debian GNU/Linux 用の領域を作る必要があるでしょう。 ディスクのパーティション分割作業では、どんなプログラムを使ったとしても、 ディスク上のすべてのデータを消してしまう可能性はゼロではありません。 インストールに用いられるプログラム群は、極めて信頼性が高く、 何年も使用されてきたものです。 しかし、これらは強力な機能を持つことになるので、 誤動作が起こったときの被害も大きくなります。 バックアップを取った後でも、質問に答える前に充分注意し、 よく考えて行動に移してください。 ほんの数分間程余計に配慮することで、 何時間もの不要な作業を避けることができるかもしれません。

また、システムをマルチブートシステムにする (複数のオペレーティングシステムを共存させる) 場合には、 既にインストールされている OS の配付メディアが手元にあることを確かめてください。 特にブートドライブのパーティションを切り直す場合は、 オペレーティングシステムのブートローダや、 場合によっては (Macintosh などでは) オペレーティングシステムそのものを 再インストールしなければならないかもしれません。


3.3 必要な情報


3.3.1 Documentation

インストールマニュアル:
install.ja.txt
install.ja.html
install.ja.pdf
現在ご覧になっているファイルです。 それぞれプレインテキスト、HTML、PDF 形式です。
dselect Tutorial
dselect プログラムのチュートリアルです。 dselect は、基本のインストールが終了した後に、 追加パッケージをシステムにインストールするための手法のひとつです。
Linux Hardware Compatibility HOWTO
Intel x86 ハードウェアの互換性に関する情報です。
パーティション分割プログラムの man ページ:
fdisk.txt
cfdisk.txt
インストール手続きの最中で用いられるパーティション分割 ソフトウェアの man ページです。
.../current/md5sum.txt
バイナリファイルの MD5 チェックサムのリストです。 md5sum プログラムが使えるのなら、 md5sum -v -c md5sum.txt を実行すれば、手元のファイルが壊れていないかどうかを確認できます。

3.3.2 ハードウェア情報の取得先

ハードウェアの情報は次のようなところから集められます。

                    インストールに必要なハードウェア情報
     +-------------------------------------------------------------------+
     |ハードウェア|                  必要な情報                          |
     |--------+----------------------------------------------------------|
     |            |  * ドライブの台数                                    |
     |            |  * システムでの接続順序                              |
     | ハード     |  * IDE か SCSI か (大抵のコンピュータは IDE)         |
     | ディスク   |  * 利用できる空き領域                                |
     |            |  * パーティション                                    |
     |            |  * 他の OS がインストールされているパーティション    |
     |------------+------------------------------------------------------|
     |            |  * メーカーと型番                                    |
     |            |  * サポートされている解像度                          |
     | モニタ     |  * 水平同期周波数                                    |
     |            |  * 垂直同期周波数                                    |
     |            |  * サポートされているカラーデプス (色数)             |
     |            |  * スクリーンサイズ                                  |
     |------------+------------------------------------------------------|
     |            |  * タイプ: シリアル, PS, USB のいずれか              |
     | マウス     |  * ポート                                            |
     |            |  * メーカー                                          |
     |            |  * ボタンの数                                        |
     |------------+------------------------------------------------------|
     |ネットワーク|  * メーカーと型番                                    |
     |            |  * アダプタのタイプ                                  |
     |------------+------------------------------------------------------|
     | プリンタ   |  * メーカーと型番                                    |
     |            |  * サポートされている印刷解像度                      |
     |------------+------------------------------------------------------|
     |            |  * メーカーと型番                                    |
     |ビデオカード|  * 利用できるビデオ RAM                              |
     |            |  * サポートされている解像度とカラーデプス            |
     |            |    (モニタの機能もチェックすること)                  |
     +-------------------------------------------------------------------+

3.3.3 ハードウェアの互換性

ブランドメーカーの製品の多くは、問題なく Linux で動作します。 また Linux 向けのハードウェアも日々進歩しています。 しかし、それでもまだ Linux は、 ある種の OS ほどには多種多様なハードウェアに対応していません。

特に、Linux は通常、特定のバージョンの Windows を必要とする ハードウェアを動かすことはできません。

Windows に特化したハードウェアのうちにも、 Linux で動作できるものはありますが、 その様にするには通常余分な労力が必要となります。 さらに、Windows に特化したハードウェア向けの Linux ドライバは、 普通特定の Linux カーネルに依存したものになります。 従って、すぐに古いものになってしまいます。

いわゆる Win モデムは、 このようなハードウェアの中でも最も知られたものです。 しかし他にも、プリンタなどに Windows に特化したものがあります。

ハードウェアの互換性をチェックするには:


3.3.4 ネットワークの設定

インストール対象のコンピュータがネットワークに 24 時間フルに接続されているならば (つまり、PPP 接続ではなく Ethernet やそれと同等な接続の場合)、 ネットワーク管理者に以下の情報を尋ねておかなければなりません。 DHCP サーバが利用でき、そちらが推奨である旨を システム管理者から言われた場合は、これらの情報は必要ありません。 インストール作業の際に、 DHCP サーバがこれらの情報を直接コンピュータに伝えてくれるからです。

PPP などのダイヤルアップを使って、 シリアル接続のみでネットワークにコンピュータをつなげている場合は、 ベースシステムをネットワーク経由でインストールすることはできません。 この場合システムをインストールするには、CD を使う、 あらかじめベースパッケージを既存のハードディスクパーティションに置く、 ベースパッケージのフロッピーを作る、 のいずれかを選ぶしかありません。 Debian システムがインストールされた後での PPP の設定方法に関しては、 以下の PPP の設定, 第 8.9 節 を見てください。


3.4 システムの使い方を計画する

どんなタイプのマシンを作るかは、前もって決めておくことが大切です。 これによって新しい Debian システムに必要となるディスク容量が決まります。


3.5 必要となる最低限のハードウェア

コンピュータのハードウェアに関する情報が集まったら、 そのハードウェアが今から行おうとしている インストールの条件に足るものであるかどうかをチェックしましょう。

やむを得ない場合は、以下に載っているリストよりは 性能の劣るハードウェアでなんとかしなければならないこともあるでしょう。 しかし、これらのお奨めを無視した場合は、 結局不満を感じる可能性が高くなってしまうと思います。 デスクトップシステムには最低 Pentium 100、 サーバには Pentium II-300 が必要でしょう。

                      最低限必要なシステム (推奨値)
           +------------------------------------------------+
           |使い方          |      RAM      | ハードドライブ|
           |----------------+---------------+---------------|
           |デスクトップなし| 16 メガバイト | 450 メガバイト|
           |----------------+---------------+---------------|
           |デスクトップ    | 64 メガバイト | 1 ギガバイト  |
           |----------------+---------------+---------------|
           |サーバ          | 128 メガバイト| 4 ギガバイト  |
           +------------------------------------------------+

以下には、よくある Debian システムの使い方の例を紹介します。 関連したプログラム群が使うディスク容量については、 タスクに必要なディスク容量, 第 11.4 節 からも情報が得られます。

標準的なサーバ
小規模かつ簡素なサーバで、気難しいシェルユーザをあまりたくさんは 抱えていない場合の値です。 FTP サーバ、web サーバ、DNS、NIS、POP をやらせるとしたら、 ディスク領域は 50MB で足りるでしょう。 後は提供するデータに応じた容量を追加する必要があるでしょう。
ダイヤルアップ
標準的なデスクトップマシンで、X Window System、 グラフィックアプリケーション、サウンド、エディタなどが入ります。 これらのパッケージのサイズは、だいたい 500MB 程度になるでしょう。
作業コンソール
さらに贅沢を省いたマシンで、X Window System や X アプリケーションは カットしたものです。ラップトップやモバイルコンピュータにいいかもしれません。 サイズはだいたい 140MB くらいです。
開発マシン
Perl, C, C++ といった開発用のパッケージをすべて含んだデスクトップです。 X11 や他の用途にもいろいろなパッケージを追加するとすると、 およそ 800MB くらいを予定しておくべきでしょう。

これらのサイズには、通常存在するユーザファイル、メール、 データなどは含まれていないことにご注意ください。 自分のファイルやデータに必要な容量は、 気前良く確保しておくに越したことはありません。 特に、Debian の /var パーティションには、 システムの状態に関するたくさんの情報が置かれます。 dpkg のファイル (インストールされたパッケージすべてに関する情報) は簡単に 20MB を消費します。ログなどもありますので、 /var には最低 50MB は割り当てておくべきでしょう。


3.6 マルチブートシステムでの 事前パーティション分割

「ディスクのパーティション分割」とは、 ディスクをセクションに分ける作業のことです。 各セクションは他のセクションから独立しています。 この作業は要するに、家の中に壁を作るようなものです。 ある部屋に家具を入れても、それは他の部屋には影響しないというわけです。

既にシステムに OS (Windows95, Windows NT, OS/2, MacOS, Solaris, FreeBSD, …) が入っていて、同じディスクに Linux も入れたい場合には、 ディスクのパーティション分割をやり直す必要があります。 Linux は Windows や MacOS のパーティションにはインストールできません。 他の Linux システムとはパーティションを共有することも可能かもしれませんが、 ここではそれは取り扱いません。 少なくとも、Debian のルートには専用のパーティションが必要となります。

現在のパーティションの設定は、 fdisk や PartitionMagic のような、 現在の OS に対応したパーティション分割ツールを使えばわかります。 パーティション分割ツールには、 必ず既存のパーティションを (変更せずに) 表示する機能が付いています。

一般には、既にファイルシステムの入っているパーティションを変更すると、 そこの情報はすべて破壊されてしまいます。 従って、パーティション分割をやり直す前には、 必ずバックアップを取っておくべきです。 また家の比喩を用いてみましょう。 壁を動かす前には、家具が壊れないよう、それらは前もってどけておくでしょう? 幸運なことに、場合によっては情報が破壊されずにすむこともあります。 DOS, Windows, OS/2 から 無駄なくパーティションを切り直す, 第 3.6.1.1 節 を見てください。

コンピュータに 2 台以上のハードディスクがある場合は、 その内の 1 台を Debian 専用にするといいかもしれません。 そうすれば、インストールシステムの起動前に パーティション分割を行う必要はありません。 インストーラに含まれているパーティション分割プログラムが、 この仕事を的確にこなしてくれます。

マシンに 1 台しかディスクがなくても、現在の OS を Debian GNU/Linux で完全に置き換えてしまうつもりなら、 パーティション分割はインストーラを起動した後で、 インストール作業の一部として行って構いません (Debian でのパーティション分割, 第 6 章)。 しかしこれが可能なのは、 インストーラシステムを floppies, CD-ROM, 接続されたマシンのいずれかから起動する場合だけです。 ちょっと考えてみてください。ハードディスクにあるファイルから起動して、 起動したインストールシステムからそのファイルのあるディスクを パーティション分割し、つまり起動ファイルを消してしまったとしたら。 そのインストールが一発でうまいこと行くように祈るしかないですね。 まあこの場合に最悪の状況となったとしても、 もともと入っていたシステムのインストールフロッピーや CD などで、 コンピュータを元の状態に戻す方法はきっとあるでしょうが。

既にコンピュータに複数のパーティションがあり、 それらの一部を消したり置き換えたりすることによって 充分な空き領域が確保できる場合にも、 Debian インストーラのパーティション分割プログラムで作業を行って構いません。 しかしこの場合でも、以降の内容は目を通しておきましょう。 パーティションマップ中の現在のパーティションの並び順などによって、 いずれにしてもインストール前にパーティション分割作業を しなければならないような場合もあり得るからです。

その他の場合はすべて、インストールをはじめる前に パーティション分割を行い、Debian に割り当て可能な領域を 作ってやらなければなりません。 一部のパーティションを他の OS に使う場合は、 そのパーティションはその OS のパーティション分割ツールで 作成するほうが良いでしょう。 しかし Debian の Linux パーティションは、 他の OS のツールでは 作らない ようお勧めします。 そのツールで作るのは、 残しておきたい OS のパーティションだけにしてください。

おなじマシンに複数の OS をインストールするつもりでしたら、 Linux をインストールするまえに、 他の OS を全部先にインストールしておきましょう。 Windows などの他の OS をインストールすると、 Linux を起動する機能が破壊されてしまったり、 あるいはその OS のものでないパーティションを フォーマットし直すよう促されたりするからです。

このような動作から復旧したり、 そのような勧めを断ったりすることはできますが、 先にそちらのシステムをインストールしておけば、 最初からトラブルを避けることができます。

現在ディスクがひとつ、パーティションもひとつ (デスクトップコンピュータだと普通の設定) になっていて、元の OS と Debian との デュアルブートにしたい場合は、以下の手順を踏む必要があります。

  1. コンピュータのすべてをバックアップする。
  1. 元の OS のインストールメディア (CD-ROM や floppies) から起動する。
  1. 既存の OS のパーティション分割ツールを使って、 そのシステムのパーティションを作ってください。 Debian GNU/Linux 用にも場所埋めのパーティションか、 空き領域を作ってください。
  1. その OS を、新しくつくったパーティションに インストールしてください。
  1. 新しく入れたその OS で起動しなおして、 すべて問題ないか確かめます。OK なら Debian インストーラの起動ファイルをダウンロードします。
  1. Debian インストーラを起動して、 Debian のインストールへと作業を続けます。

3.6.1 DOS や Windows 上からパーティションを分割する

既存の FAT もしくは NTFS パーティションを扱う場合には、 以降で説明する方法を用いるか、 あるいは Windows や DOS のツールを用いることをお勧めします。 扱わない場合には、 DOS や Windows からパーティションを分割する必要はまったくありません。 一般的に Linux 上のパーティション分割ツールを使えば、 より適切に作業が行えます。

ただし大きな IDE ディスクを用いる場合で、 LBA アドレスもオーバーレイドライバ (HDD のメーカーから提供されることが時々あります) もないときには、 Debian のブートパーティションは注意して配置しなければなりません。 このような場合、ブートパーティションをハードドライブの 先頭 1024 シリンダ以内に収めなければなりません (これは BIOS 変換がなければ、通常 524 メガバイトになります)。 これはすなわち、既存の FAT パーティションや NTFS パーティションを移動しないといけないことを意味します。


3.6.1.1 DOS, Windows, OS/2 から 無駄なくパーティションを切り直す

よくあるインストールのかたちとして、 すでに DOS (Windows3.1 も含む)、 Win32 (Windows 95 や 98, NT)、 OS/2 などが入っているシステムに、 新たに Debian をインストールするような場合があります。 以前からあるシステムを壊すことなく、 同じディスクに Debian を入れることが望まれます。 Debian のパーティションとそのサイズを決める, 第 6.1 節 で説明されているように、 事前に何らかの処理を行わない限り、 不用意に既存のパーティションのサイズを減らすと、 まず間違いなくそのパーティションのデータを壊してしまうでしょう。 以下に述べる方法は、データを完全に護る保証はありませんが、 実際には非常にうまく動作するはずです。 ただ用心のために、バックアップは取るべきです

先に進む前に、 ディスクをどのように分割するのか決めておかなければなりませんが、 この節では単に一つのパーティションを二つに分割する方法を説明します。 そしてその一つには既存の OS を残し、もう一つを Debian で利用します。 なお、Debian に割り当てたディスク領域を、 どの用途 (スワップかファイルシステムか) に どのくらいずつ割り当てるかは、 Debian インストールの途中で決定できます。

ここで紹介する方法は、パーティション情報を変更する前に、 パーティション上の全データを、 そのパーティションの先頭部分に移動するというものです。 こうすることでデータの損失はなくなります。 パーティションの後ろの方にファイルが存在すると、 そのパーティションから得られる空き領域が減ってしまいます。 従って、データの移動とパーティションの切り直しの最中に、 ファイルがパーティションの終りの方に 書き込まれないようにするのが大切です。

まず最初に必要となるのは、fips のコピーです。 これはお近くの Debian ミラーサイトの tools/ ディレクトリから入手できます。 そのアーカイブを unzip して、 RESTORRB.EXEFIPS.EXEERRORS.TXT の各ファイルを起動可能なフロッピーにコピーしてください。 起動可能なフロッピーは、DOS 上で sys a: というコマンドを用いれば作成できます。 fips には大変優れたドキュメントが用意されていますので、 読んでおくとよいでしょう。 特にディスク圧縮ドライバやディスクマネージャを使っている場合は、 このドキュメントは必ず読んでおくべきでしょう。 ディスクをデフラグメントする に、 このフロッピーディスクを作り、ドキュメントを読んでください。

次に必要となるのは、 すべてのデータをパーティションの前方に移動する作業です。 DOS 6.0 以降に標準で用意されている defrag を使えば、これは簡単です。 同じような作業を行える他のソフトウェアの一覧は、 fips のドキュメントに書いてあります。 Windows95 を使っている場合は、 Windows95 の方から defrag を実行しなければならないことに注意してください。 DOS は VFAT (Windows95 以降で使われており、 長いファイル名をサポートする) を認識できないからです。

デフラグメントプログラムを実行した後 (大きなディスクでは少々時間がかかります)、 先ほど作成した、fips を収めたフロッピーディスクを ドライブに挿入してリブートしてください。 起動したらそのまま a:\fips と打ち込んで、 その指示にしたがってください。

fips ではうまくいかない場合のために、 他にもパーティション管理ソフトウェアはたくさんあることを 心に留めておいてください。


3.6.1.2 DOS のパーティションを分割する

DOS のドライブにパーティションを作成したり、 DOS パーティションの容量を変更したりする作業を Linux のツールで行うと、 その結果できた FAT パーティションでの作業に問題が残ることがあるようです。 例えば DOS や Windows 上でパフォーマンスが落ちたり、 scandisk で整合性の問題が起きたり、 その他原因不明のエラーに遭遇したりといった報告例があります。

どうやら、 DOS で使用するパーティションを作成したりその容量を変更したりする場合は、 その最初のいくつかのセクタを 0 で埋めておくのが良いようです。 DOS の format コマンドを実行する前に、 Linux から次のコマンドを実行してください。

     dd if=/dev/zero of=/dev/hdXX bs=512 count=4

3.7 インストールに行うハードウェア・OS の設定

この節では、Debian のインストールに先立って必要となる ハードウェアの設定について見ていきます。 ふつうこの作業では、 システムのファームウェアの設定をチェックし、 場合によってはその設定を変更することになります。 「ファームウェア」は、ハードウェアが利用する中核的なソフトウェアで、 電源投入後のブートプロセスの間に起動される、最も重要なものです。 あなたが使うことになる Debian GNU/Linux の信頼性に影響を与えうる、 既知のハードウェアの諸問題についても、同様に取り扱っていく予定です。


3.7.1 BIOS 設定メニューの起動

BIOS はマシンのブートに必要となる基本的機能を提供し、 OS がハードウェアにアクセスできるようにするものです。 これからインストールしようとしているマシンでも、 恐らく BIOS を設定できるようなメニューがついていると思います。 インストールの前に、BIOS が正しく設定されているかどうかを 必ず 確認してください。 さもないとシステムが不意にクラッシュしたり、 Debian のインストールができなくなるかもしれません。

この節の残りの部分は、 PC Hardware FAQ の 「CMOS 設定メニューを呼び出すにはどのキーを押せばよいのでしょうか?」 という質問への答から引用したものです。 BIOS (あるいは ``CMOS'') 設定メニューの呼び出し方は、 BIOS ソフトウェアの製造者によって異なります。

[From: burnesa@cat.com (Shaun Burnet)]

AMI BIOS
POST (Power on self test: 電源投入時の自己診断テスト) の表示中に Del キーを押す
Award BIOS
POST の表示中に、Ctrl-Alt-Esc か、あるいは Del キーを押す
DTK BIOS
POST の表示中に Esc キーを押す
IBM PS/2 BIOS
Ctrl-Alt-Del の後 Ctrl-Alt-Ins を押す
Phoenix BIOS
Ctrl-Alt-Esc または Ctrl-Alt-S または F1

他の BIOS ルーチンの起動に関する情報は、 http://www.tldp.org/HOWTO/Hard-Disk-Upgrade/install.html にあります。

Intel x86 マシンの中には、 BIOS に CMOS 設定メニューを持たないものもあります。 これらでは、ソフトウェアの CMOS 設定プログラムを必要とします。 使っているマシン用のインストールディスクや診断ディスクを 持っていない場合は、 シェアウェアやフリーウェアのプログラムを試してみてください。 ftp://ftp.simtel.net/pub/simtelnet/msdos/ を探してみましょう。


3.7.2 ブートデバイスの選択

多くの BIOS 設定メニューでは、 システムを起動するデバイスを選択できるようになっています。 この設定は次のようにしましょう。 まず起動可能なオペレーティングシステムを A: (最初のフロッピーディスク) から探し、 続いて CD-ROM デバイスがあるならそこから (おそらく D:E:でしょう)、 そして続いて C: (最初のハードディスク) から探すようにします。 この設定なら、フロッピーディスクからも CD-ROM からも起動できます。 Debian のインストールに最も良く用いられるのはこの両者ですから。

最近の SCSI コントローラを使っていて、 そこに CD-ROM を接続している場合、 普通はその CD-ROM から起動できます。 そのために必要なのは、 コントローラの SCSI-BIOS で CD-ROM からのブートを有効にするだけです。

ここでは、起動順序の設定方法について少々詳しく説明します。 Linux のインストールが終ったら、起動の順序を元に戻し、 マシンがハードウェアから起動するようにしておきましょう。


3.7.2.1 IDE コンピュータで起動順序を変更する

  1. コンピュータが起動するときに BIOS メニューに入るための キーを押してください。Delete キーのことが多いでしょうが、 正しいキーストロークはハードウェアの文書で確認してください。
  1. BIOS 設定メニューから起動順序 (boot sequence) の設定項目を探してください。場所は BIOS によって異なりますが、 対象はドライブをリストしているフィールドです。

    IDE マシンでは C, A, CDROM または A, C, CDROM となっていることが 多いと思います。

    C はハードディスクで、A はフロッピードライブです。

  1. この起動順序を変更して、CD-ROM またはフロッピーが 先に来るようにしてください。通常は Page Up と Page Down キーを使うと、指定できる選択肢が順に現れます。
  1. 変更を保存します。保存方法は画面の説明に従ってください。

3.7.2.2 SCSI コンピュータで起動順序を変更する

  1. コンピュータが起動するときに、 キーを押して SCSI 設定ユーティリティに入ってください。

    SCSI 設定ユーティリティに入るのは、 システムの電源が入り、メモリチェックが終わり、 BIOS メニューの起動方法に関するメッセージが出た後になります。

    キーストロークはユーティリティによって異なります。 Ctrl-F2 のことが多いでしょうが、 正しいキーストロークはハードウェアの文書で確認してください。

  1. 起動順序を変更する項目を探してください。
  1. その項目で、CD ドライブの SCSI ID がリストの先頭に来るようにしてください。
  1. 変更を保存します。保存方法は画面の説明に従ってください。 F10 を押すことになる場合が多いと思います。

3.7.2.3 CD-ROM の設定

BIOS によっては CD の速度を自動的に設定できるものがあります (Award BIOS もそうです)。この設定は避けるべきで、 代わりに、一番遅い速度を選ぶようにしましょう。 「シークに失敗しました (seek failed)」というエラーメッセージが、 これが原因で出ることがあります。


3.7.2.4 Extended メモリと Expanded メモリ

システムが extended メモリ (XMS) と expanded メモリ (EMS) の両方をサポートとしている場合は、 extended メモリをできるだけ多く、expanded メモリをできるだけ小さくしましょう。 Linux に必要なのは extended メモリで、 expanded メモリは使えません。


3.7.2.5 ウィルス防御

BIOS のウィルス警告機能の類は一切使用しないでください。 ウィルス防御用のボードや特別なハードウェアがある場合は、 Linux が動いている間は無効にするか、 さもなければ物理的に取り外してください。 これらは Linux と互換性がありません。 それに Linux にはファイルシステムの許可属性機能と カーネルのメモリ保護機能があるため、 ウィルスはほとんど存在しません。 [3]


3.7.2.6 Shadow RAM

あなたのマザーボードでは、恐らく shadow RAM (または BIOS キャッシュ) が使えるはずです。 この場合は ``Video BIOS Shadow'' とか ``C800-CBFF Shadow'' などの設定があるはずです。 shadow RAM は、すべて 無効 にしてください。 shadow RAM は、 マザーボードやコントローラカード上の ROM への アクセスを高速にするために利用されるものですが、 Linux は起動した後にはこれらの ROM を使いません。 Linux には自前の、より高速な 32 ビットソフトウェアがあり、 これらを ROM 内部の 16 ビットプログラムの代わりに使うからです。 shadow RAM を無効にすると、 その一部を通常のメモリとしてプログラムから利用できます。 shadow RAM を有効にしたままだと、 Linux のハードウェアのアクセスが邪魔されてしまうかもしれません。


3.7.2.7 その他気をつけるべき BIOS 設定

BIOS に ``15-16 MB Memory Hole'' というような設定があったら、 それは無効にしておいてください。 16MB 以上のメモリがある場合は、 Linux はこの領域にもメモリがあるものとして動作します。

Intel Endeavor マザーボードでは、 ``LFB'' とか ``Linear Frame Buffer'' とかいう設定がある、 というレポートを受けています。これの設定は ``Disabled'' と ``1 Megabyte'' から選べるようになっていますが、 設定は ``1 Megabyte'' にしてください。 無効 (Disabled) にすると、インストールフロッピーが正しく読み込まれず、 システムがクラッシュしてしまいます。 現時点では、このデバイスでなにが起こっているのか、 私たちは理解していません。わかっているのは、 単にこの設定では動き、そうでないと動かない、ということだけです。


3.7.2.8 Advanced Power Management

マザーボードが Advanced Power Management (APM) に対応していたら、 これを有効にして、電源管理を APM が制御するようにしてください。 また doze, standby, suspend, nap, sleep の各モードは無効にし、 ハードディスクの power-down タイマーも無効にしてください。 Linux はこれらのモードの制御を自分で実行でき、 電源管理の仕事を BIOS よりもうまく行うことができます。 ただし、インストールフロッピーディスクにあるカーネルは APM を使いません。 Linux の APM ドライバを設定すると、 あるラップトップのシステムがクラッシュするという報告があったからです。 いったん Linux をインストールしたあとには、 独自に設定した Linux カーネルを構築できます。 この手順については、新しいカーネルのコンパイル, 第 9.6 節 をご覧ください。


3.7.3 気をつけるべきハードウェアの問題

多くの人たちが、例えば 90 MHz の CPU を 100 MHz で動作させるようなことに挑戦しています。 これはうまくいく時もありますが、温度などの要因に敏感で、 実際にシステムに損傷を与えることもあります。 この文書の著者は、 自分のシステムを 1 年間オーバークロックで動作させたことがありますが、 その後カーネルのコンパイル中に gcc が予期しないシグナル (unexpected signal) で中断するようになってしまいました。 この問題は CPU の速度を普通に戻すことで解決しました。

メモリモジュールの不良 (あるいはデータを改変してしまうその他のハードウェア障害) が起きた場合、最初にやられるのは gcc コンパイラであることが多いようです。 gcc は膨大なデータ構造を構築し、 それを繰り返し使うからです。 このようなデータ構造にエラーが生じると、 不正な命令が実行されてしまったり、 存在しないアドレスへのアクセスを発生させたりします。 この結果として、gcc が予期しないシグナルで中断するのです。

本当に優れたマザーボードでは、 パリティ付き RAM がサポートされており、 システムがエラーを検出したときに教えてくれます。 ただ残念なことに、これらもエラーを訂正する機能までは持っていません。 したがって、一般的に RAM の不良を知らせた時点でクラッシュしてしまいます。 それでも、黙ってデータにエラーを混ぜ込んでしまうよりは、 知らせてくれた方がよいでしょう。 結局最も良いシステムは、 パリティをサポートしたマザーボードと 本物のパリティ付きメモリモジュールの組合せ、 ということになります。 似非 もしくは「仮想」パリティ RAM, 第 2.6.3 節をご覧ください。

本物のパリティ付き RAM を持っていて、 マザーボードがそれに対応しているのなら、 メモリがパリティエラーを起こしたときの割り込み発生を BIOS 設定で有効にしてください。


3.7.3.1 ターボスイッチ

多くのシステムには ターボ スイッチがついており、 これを用いると CPU の速度が制御できます。 高速の設定を選んでください。 ターボスイッチ (または CPU 速度のソフトウェア制御) を BIOS で設定できるようなら、 これは無効にして、常にシステムを高速モードで動作するようにしてください。 ある特定のシステムでは、 Linux がハードウェアの自動検出をしている間に、 ターボスイッチのソフトウェア制御を間違って変更してしまう、 という報告も受けています。


3.7.3.2 Cyrix CPU とフロッピーディスクのエラー

Cyrix の CPU を使っているユーザは、 インストールの間はキャッシュを無効にしなければなりません。 キャッシュを有効にしておくとフロッピーディスクのエラーが起こります。 キャッシュが無効になっているとシステムが かなり 遅くなるので、 この場合インストールが終了したら、 忘れずに再びキャッシュを有効にしてください。

私たちは、 この問題が必ずしも Cyrix の CPU の欠陥によるものだとは考えていません。 もしかしたら、Linux 側で回避可能なことなのかもしれません。 この問題は引き続き調査していきます。 以下は技術的な好奇心をもつ人向け: おそらく 16 ビットから 32 ビットコードへ切り替わった後に、 キャッシュが不正になる問題ではないかと想像しています。


3.7.3.3 周辺機器の設定

コンピュータに搭載しているペリフェラルカードの 設定やジャンパを変更する必要もあるかもしれません。 カードによっては設定メニューを持つものもありますし、 ジャンパで設定するものもあります。 この文書ではすべてのハードウェアデバイスに対する 完全な情報を提供することはできませんが、 有益な情報を提供できればと望んでいます。

``mapped memory'' のついたカードの場合、 そのメモリをマップする場所は、 0xA0000 - 0xFFFFF (640KB から 1MB の間) のどこかか、 あるいはシステムの RAM の全容量より 最低 1MB 上のアドレスにしなければなりません。


3.7.3.4 USB キーボード

AT 形式のキーボードがなく、USB のものしかない場合、 BIOS 設定で legacy AT keyboard emulation を有効にする必要があります。 マザーボードのマニュアルを調べて、 "Legacy keyboard emulation" とか "USB keyboard support" といった BIOS 設定に入ってください。 インストールシステムを起動するには、これを有効にしなければなりません。 これを有効にしてうまく行くようなら、そのまま先に進んでください。

このオプションがなければ、 常に有効になっているのかもしれません。その場合は先に進めます。 あるいは BIOS が、 エミュレーションを一切サポートしていないのかもしれません (これは運が悪い場合)。

オプションがあって、それを有効にしても、 カーネルが起動してしばらくするとエミュレーションが効かなくなってしまう場合、 これも運が悪かったことになります。 "bf2.4" フレーバでは root フロッピーに USB モジュールが入っているので、 これを試してみることもできます。 フロッピーからインストールしている場合、 USB モジュールのロード前にキーボード入力が必要となります。 この場合は、ブートプロンプトに "keytimer" オプションを指定してください。

場合によっては、エミュレーションがハングした後、 数分経つとまた使えるようになることもあります。 ですのでしばらく待って、もう一度試してみてください。 この状態を治すには、Linux 自身の USB キーボードドライバをロードします。 これには "modconf" (``デバイスドライバモジュールの設定'' の段階) を用いて、usb-uhci か usb-ohci モジュールをロードします。


3.7.3.5 64 MB 以上の RAM

Linux カーネルが、 搭載されている RAM 容量の検出に失敗することがあります。 この場合の対処については ブートパラメータ引き数, 第 5.1 節 をご覧ください。


[ 前のページ ] [ 目次 ] [ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ] [ 8 ] [ 9 ] [ 10 ] [ 11 ] [ 12 ] [ 次のページ ]

Debian GNU/Linux 3.0 のインストール (Intel x86)

version 3.0.24, 2002/12/18

Bruce Perens
Sven Rudolph
Igor Grobman
James Treacy
Adam Di Carlo