序章

目次

1. 免責事項
2. Debian とはなにか
3. 本書について
3.1. 編集指針
3.2. 前提条件
3.3. 文書様式
3.4. ポプコン
3.5. パッケージサイズ
3.6. 本書へのバグ報告
4. 新規ユーザーへのリマインダー
5. 新規ユーザーへの引用文

このDebian リファレンス (第2.100版) (2023-02-04 11:59:01 UTC) はシステムインストール後のユーザー向け案内書として Debian のシステム管理に関する概論の提供を目指しています。

本書が対象とする読者は、 GNU/Linux システムがどう機能するかを理解するのに、シェルスクリプトぐらいは学ぶ気はあるが、全ての C のソースまで読む気がない人です。

インスト─ルの方法は、以下を参照ください:

一切保証は致しません。全ての商標はそれぞれの商標の所有者の財産です。

The Debian system itself is a moving target. This makes its documentation difficult to be current and correct. Although the current testing version of the Debian system was used as the basis for writing this, some contents may be already outdated by the time you read this.

本書はあくまで二次的参考文献として扱って下さい。本書は正式の案内書を置き換えません。著者及び本書への貢献者は本書中の誤謬や欠落や曖昧さが引き起こす結果に一切責任を負いません。

Debian プロジェクトはフリーなオペレーティングシステムを作ろうという共通目的を持った個人の集団です。そのディストリビューションは次の特徴があります。

  • ソフトウェアの自由へのコミットメント: Debian 社会契約と Debian フリーソフトウエアーガイドライン (DFSG)

  • インターネット上の分散型の無償ボランティア活動: https://www.debian.org

  • 多数のプリコンパイルされた高品質のソフトウエアーパッケージ

  • セキュリティーアップデートへの平易なアクセス提供による、安定性とセキュリティーの重視

  • Focus on smooth upgrade to the latest software packages in the testing archives

  • 多数のサポートされたハードウエアーアーキテクチャー

Debian の中のフリーソフトウエアー構成要素は、GNULinuxBSDXISCApacheGhostscriptCommon Unix Printing System SambaGNOMEKDEMozillaLibreOfficeVimTeXLaTeXDocBookPerlPythonTclJavaRubyPHPBerkeley DBMariaDBPostgreSQLEximPostfixMuttFreeBSDOpenBSDPlan 9 やその他の多くの独立のフリーソフトウエアーのプロジェクトに由来します。Debian はこの多種多様なフリーソフトウエアーを 1つのシステムにまとめ上げます。

[警告] 警告

本文書だけに頼らず自分で答えを見出す努力をしっかりすることを期待します。本文書は効率的なスタートポイントを提供するだけです。

一義的情報源から自分自身で解決策を探し出すべきです。

[注記] 注記

詳細な文書を読むには、"-doc" をサフィクスとする対応する文書パッケージをインストールする必要があるかもしれません。

bash(1) シェルコマンドの例示をする次のような簡略化した表現スタイルで本書は情報を提供します。

# command-in-root-account
$ command-in-user-account

これらのシェルプロンプトは使われるアカウントを区別します。これはちょうど環境変数として: "PS1='\$'" と "PS2=' '" を設定した場合に相当します。これらの環境変数値はあくまで本書の読みやすさのためで、実際のインストール済みシステではほとんど見かけません。

All command examples are run under the English locale "LANG=en_US.UTF8". Please don't expect the placeholder strings such as command-in-root-account and command-in-user-account to be translated in command examples. This is an intentional choice to keep all translated examples to be up-to-date.

[注記] 注記

"PS1='\$'" と "PS2=' '" という環境変数値の意味は bash(1) を参照下さい。

システム管理者が行うべきアクションは命令文で書かれています: 例えば、「シェルに各コマンド文字列をタイプ後毎にエンターキーをタイプします。」 (必ずしも「〜しましょう。」とはせず簡潔に訳しています。)

英語では、テーブル中の説明や類似のコラムには、パッケージ説明の慣習に従い、定冠詞抜も不定冠詞も抜きの名詞句が入ります。これらには、マンページのコマンドの短い説明の慣習に従った頭の "to" 抜きの不定詞句が代わりに名詞句として入ることもあります。変だなとお考えの方もあるとは存じますが、これは本文書をできるだけ簡潔にするための著者の恣意的な文体の選択です。(対応部分を文切り型の名詞句的表現に訳しています。)

[注記] 注記

コマンド名を含めて固有名詞はその位置によらず大文字・小文字の区別を保持します。

本文中に引用されるコマンドの断片はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き "aptitude safe-upgrade" のように表現されます。

本文中に設定ファイルから引用された文字データーはダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き "deb-src" のように表現されます。

コマンドはその名前をタイプライターフォントで書き、場合によってはその後ろにマンページのセクション番号を括弧中に入れて書き bash(1) のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ man 1 bash

マンページはその名前をタイプライターフォントで書き、その後ろにマンページのセクション番号を括弧中に入れて書き sources.list(5) のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ man 5 sources.list

info ページはダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントというコマンドの断片形式で書き "info make" のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ info make

ファイル名はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き "/etc/passwd" のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ sensible-pager "/etc/passwd"

ディレクトリー名はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き "/etc/apt/" のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ mc "/etc/apt/"

パッケージ名はその名をタイプライターフォントで書き "vim" のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ dpkg -L vim
$ apt-cache show vim
$ aptitude show vim

文書は、その場所のファイル名でダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.txt.gz" や "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html" のように表現されたり、その場所の URLhttps://www.debian.org のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ zcat "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.txt.gz" | sensible-pager
$ sensible-browser "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html"
$ sensible-browser "https://www.debian.org"

環境変数は、頭に "$" がついた名前をダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き、"$TERM" のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ echo "$TERM"

ポプコンのデーターは各パッケージの客観的人気の指標として提示されいます。それがダウンロードされた日付は 2023-02-02 04:56:26 UTC で、 192570 を越すバイナリーパッケージ数と 25 のアーキテクチャーにまたがる 208164 つの提出レポートからなります。

[注記] 注記

amd64 の不安定版 unstable アーカイブは現在高々 68980 つのパッケージしか含みません。ポプコンデーターは多くの旧式設置システムからのレポートを含みます。

"votes" を意味する "V:" が前についたポプコンの数は "1000 * (PC で最近実行されたパッケージに関するポプコン提出)/(全ポプコン提出)" として計算される。

"installs" を意味する "I:" が前についたポプコンの数は "1000 * (PC にインストールされているパッケージに関するポプコン提出)/(全ポプコン提出)" として計算される。

[注記] 注記

Popcon の数字はパッケージの重要性の絶対指標と考えるべきでません。統計を曲げる多くの因子があります。例えば、Popcon に参加しているシステムの一部は "/bin" などのディレクトリーをシステム性能向上のために "noatime" オプションでマウントすることで当該システムから "vote" することを実質的に禁止しているかもしれません。

各パッケージの客観的指標としてパッケージサイズデーターも提供されます。それは "apt-cache show" や "aptitude show" コマンドが ( 現在の amd64 アーキテクチャー上の unstable リリース上で) 表示する "Installed-Size:" です。サイズは KiB (Kibibyte = 1024 バイト単位) で表示されます。

[注記] 注記

小さなパッケージサイズのパッケージは unstable リリース中の当該パッケージが内容のある他パッケージを依存関係でインストールするためのダミーパッケージだからかもしれません。

[注記] 注記

"(*)" が後ろについたパッケージのサイズは、unstable リリース中にパッケージが無く experimental リリース中のパッケージサイズが代用されたことを示します。

新規ユーザーへのリマインダーを以下に記します:

新規ユーザーを啓蒙する Debian のメーリングリストで見つけた興味深い引用文を記します。

  • "This is Unix. It gives you enough rope to hang yourself." 「これは Unix です。首を括るのに十分なロープをあてがってくれますよ。」 --- Miquel van Smoorenburg <miquels at cistron.nl>

  • "Unix IS user friendly... It's just selective about who its friends are." 「 Unix はユーザーフレンドリー ( 使う人に優しい) です... 誰にフレンドリー ( 優しく) にするかの人見知りするだけです。」 --- Tollef Fog Heen <tollef at add.no>

ウイキペディアの "Unix philosophy" という記事に、おもしろい格言集があります。