Debian ウィークリーニュース - 2005 年 6 月 21 日
Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 25 号へようこそ。Jordi Mallach さんは、GNOME チームが GNOME 2.10.1 を不安定版 (unstable) に入れるのに必要なアップロードをすべて完了したと報告しました。今週は、今年の LinuxTag が開催され、またリリース後初の sarge の DVD も提供されます。ヨーロッパの Debian ユーザにとっては非常に興奮する週となるでしょう。
Woody から Sarge へのアップグレード。
Bill Allombert
さんは、ユーザがアップグレードレポートで報告してくれた問題のうち主要なものをまとめました。woody において依存関係が循環していることや、apt-get
と aptitude
が C++ に依存していることが最も大きな問題となっているようです。
また、設定ファイルが変化したため、それを上書きする前に dpkg
が同意を求めてくるパッケージがあまりにも多すぎます。
Debian を受け継ぐものたち。 Nick Myra さんは、sarge がリリースしたこと、また Debian の人気のためこれまでに多数の変種が作成されており、その多くが CD から直接起動できることを、報告しました。Knoppix やその派生物による後押しのおかげで、GNU/Linux ユーザは現在まで増加してきました。GNU/Linux やそれが社会面・政治面・経済面で広範囲に与える影響が、 無視できない一つの勢力であると示すのを、Debian は手助けしています。
SELinux と BSD 移植版。 Aurélien Jarno さんは、通常のパッケージへの SELinux サポートの統合にともない、Debian の BSD 移植版に関する問題について報告しました。SELinux は Linux 特有のものなので、これらのパッチは BSD 移植版や Hurd では機能しません。彼は、libselinux1 を適切にサポートできるようにする断片的なコードを追加しました。
メニューシステムの更新。
Bill Allombert さんは、現在いろいろなパッケージが依存している sarge
の準備期間中に menu
パッケージに対してなされた改良について報告しました。翻訳されたメニューセクションや異なる文字セット、XDG
メニューが現在ではサポートされています。
彼はまた、メニューの項目を大文字で始めること、そしてFilesystem Hierarchy Standard
をサポートするようメニューファイルを /usr/share
に移動することを、開発者たちに求めています。
組込みシステムでの Debian。 第 5 回の年次市場調査によると、 Debian は最も人気のあるディストリビューションだと報告されています。OpenEmbedded プロジェクトが、期待の注目株のようです。このプロジェクトは OpenZaurus プロジェクトとして始まり、その後、 様々な組込みターゲットを広くサポートするクロスプラットフォームビルドシステムへと発展しました。
Debian プロジェクトのツアー計画。 Debian プロジェクトは、以下のイベントへの参加を発表しました。 ドイツのオストフィルデルンで行われる企業や一般の管理者向けの OSS Symposium、今年度の LinuxTag、そして、 フィンランドのヘルシンキで行われる 5 回目の Debian カンファレンスです。LinuxTag での Debian 関連講演の最終的なスケジュールには、 アーカイブに関する説明、サブプロジェクト、詳細な利用例、移植のほか、 たくさんの話題があがっています。
Javi さんの etch に対する希望リスト。 Javier Fernández-Sanguino Peña さんは、次期 Debian リリースに希望する項目のリストの概要を説明しました。 このリストには、セキュリティ的により強固なシステム、 アップグレードをロールバックできるような仕組み、代替ブートシステム、xinetd への移行、 よりよいドキュメンテーションの必要性、パッケージの検索や追跡手段の改良など、 多くの改善目標が含まれています。
PostgreSQL の移行。
Martin Pitt さんは、PostgreSQL パッケージの新たなアーキテクチャへの移行を実施する、と発表しました。
この新たな構造では、メンテナンスがより簡単になり、多くの新しい機能をユーザに提供できます。
以前に postgresql-dev
に依存していたパッケージは、
変更して再度アップロードする必要があります。
日本での Debian ミニカンファレンス。 矢吹 幸治さんは、10 月に日本の大阪で Debian ミニカンファレンスを開くと発表しました。すでに彼は、(昨年の) 関西オープンソースにて Debian BOF セッションを開いています。少なくとも、いくつかの講演は英語でも行われる予定です。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- bzr -- 次世代分散バージョン管理システム。
- dav-text -- ncurses ベースの必要最低限の機能を備えたテキストエディタ。
- gff2ps -- GFF ファイルからポストスクリプトの画像を出力するプログラム。
- im-switch -- インプットメソッド切替えフレームワーク。
- klineakconfig -- KDE 用の lineakd 設定プログラム。
- mercurial -- 拡張性のある分散 SCM。
- vncsnapshot -- VNC サーバのスナップショットを JPEG で生成するユーティリティ。
- whitelister -- Postfix のホワイトリストデーモン。
今後も DWN を読みたいですか? このニュースレターの作成を手伝ってください。Debian コミュニティを見守って、 何が起こっているかをレポートしてくれるボランティアの記者を必要としています。 どうすれば手伝うことが出来るか、寄稿のページを見てください。dwn@debian.org であなたのメールを楽しみに待っています。
このニューズレターを毎週電子メールで受け取りたい方は、debian-newsメーリングリストを購読してください。
バックナンバーもご利用いただけます。
今週号の Debian ウィークリーニュースは Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広 and 小林 儀匡 が翻訳しました。