第 0 回 Debian カンファレンスサマリー
2000 年 7 月 11 日
0 回 目の Debian カンファレンスが先週、Libre Software Meeting と平行して、2000 年 6 月 5-9 日、フランスのボルドーで Bourdeaux Linux User Group (ABUL、フランス) の運営、後援のもとに開催されました。
カンファレンスでは多くの題目が発表されました:
- Neal Walfield さんと Richard M. Stallman さんによる GNU/Hurd についての導入講演
- Debian の過去と現在の概観
- Wichert Akkerman さんによる、新しいパッケージフォーマットについての簡単な討論
- Debian GNU/Linux をベースにしている PingOO とよばれる、分散したチームが遠隔管理するコミュニケーションサーバを 学校に提供するプロジェクト
- Anthony Towns さんによる、パッケージ Pool の概観
- Debian GNU/Linux をベースにした SiteRock 提供の Telemetry Software (ネットワーク及びサーバの遠隔管理と診断)
- 新しいメンテナと Debian 組織についての発表と討論
Debian の内部構成 (Nils Lohner) と新しいメンテナ手続き (Dale Scheetz) についての発表が同一セッションで行われました。このセッションでは、 これらの課題についてどのような関心があるのか、 この領域で直面している問題をどうやって改善していくのか、について Debian 開発者とユーザの両方からの意見を求めるため多くの議論が交わされました。
Dale さんは Debian がこれまでの 5 年間と同じ割合で成長した場合、2005 年には 1600 人の開発者で 40000 個のパッケージを保守している可能性があると指摘しました。 これで明らかになることは、Debian は透明で組織的な構造を開発者、 開発者になろうとする人たち、及びユーザーに対して提示する必要があるということです。 それにより、Debian を早く把握できるようになり、希望すれば手助けすることが可能になります。
Nils さんは、プロジェクトページを作成して Debian にとって必要な作業を開発者、非開発者の両方に対して示すことを提案しました。 カンファレンスで数人が興味を示し、debian-qa メーリングリストで議論を続けることになりました。この案は、Debian で継続しているプロジェクトについて、 人々が取り上げることができる作業をリストするのと同様に、 その存在と現状についても把握できるようにするということです。
人々が Debian の組織をより理解できるように、Nils さんは Debian の人々が何をしているのかを説明 (1-2 節で十分でしょう) することを提案しました。 それで、この情報は収集されてウェブサイトに置かれることになります。 これによって、懸念や提案がある人が Debian において話すべき相手をすぐに見つけられるようになります。
彼は、Debian の長期の目標が、プロジェクトとしても、ディストリビューションとしても Debian が、よいディストリビューションであり続ける、 フリーソフトコミュニティに対するリーダーシップを保ち続ける、 この両方を保証する必要があることであるとも指摘しました。
他には、文書の執筆や管理作業といった、パッケージ管理以外の作業をする人材を Debian に確保することの必要性が議論されました。終わっていない問題の一つに、 そのためにどうやって人を誘導するかということがあります。 考えられる解決方法としては、その作業を提案されたプロジェクトページに追加することです。 「Debian 開発者」という呼び方と Debian が、「コードを示してください」という雰囲気のある 組織であるという事実がこれらの潜在的なヘルパーを追い払うことについて言及されました。
より多くの人がパッチを提出できるようにするために 文書やウェブサイトソース等を充実させることが提案されました。 違うセクションを担当しているウェブマスターや人々の肩にかかる作業量が これによって減らせるでしょう。
他の解決方法として、スポンサーを見つけて Debian 関連の作業をしている人に賃金を払ってもらうことが提案されました。 これはプロジェクトの助けになりますが、まず、 作業は明確に区別しなければなりません。 プロジェクトページはこの点でも助けになると思われます。
このセッションの終わりに、 リソースの問題の多くがプロジェクトの内部の人にとっても外部の人にとっても 情報を回さない、あるいは情報がすぐに利用できないことから生じていることに同意しました。 Debian は、非開発者が発言や貢献をしやすく、 新しいメンテナがより早く現在の組織を理解できるようにするため、 その組織内部の水準を上げる必要があります。
カンファレンスに出席している皆にとって、 ミーティングは全体的に非常に興味深いものでした。多くの開発者が初めて直接会い、 プロジェクトの様々な面について意見を交換する機会がありました。
このカンファレンスはたぶん来年再び開催されます。 素晴らしい基盤 (宿泊施設、食事、会議室、ネットアクセスなど) があること、 3ヶ月で組織されたにもかかわらず今年の会議が成功を収めたので、 ボルドーが再びそれを主催するサイトになるでしょう。 もっと時間がある来年のカンファレンスではより多くの開発者が出席することができ、 より多様な発表や座談会を予定することが可能でしょう。
Debian はこのイベントを開催してくれた Thierry Laronde <thierry.laronde@polynum.com> さんに感謝します。素晴らしい仕事でした!
この記事は Marcelo Magallon <mmagallo@debian.org> さんにより提出されました。