Debian GNU/Linux 4.0 がリリース

2007 年 4 月 8 日

Debian プロジェクトは、21 ヶ月にも渡る継続的な開発を終え、Debian GNU/Linux バージョン 4.0 (コードネーム etch) の公式リリースを発表できることを嬉しく思います。Debian GNU/Linux は、合計 11 種類のプロセッサアーキテクチャをサポートするフリーなオペレーティングシステムで、 KDE、GNOME、Xfce デスクトップ環境を含んでいます。また、 暗号化ソフトウェア・FHS バージョン 2.3 への準拠・LSB バージョン 3.1 に準拠するよう開発されたソフトウェアも今回のリリースの特徴です。

今や完全に統合されるようになったインストールプロセスを使用して、Debian GNU/Linux 4.0 は暗号化パーティションのデフォルトでの使用をサポートするようになりました。 今回のリリースでは、 新たに開発されたインストールシステムのグラフィカルフロントエンドも導入され、 そのフロントエンドによって、 文字結合機能や複雑な言語を使用するスクリプトもサポートされています。 この機能強化のおかげで、Debian GNU/Linux のインストールシステムは 58 もの言語に翻訳されるようになりました。

また、Debian GNU/Linux 4.0 からは、 パッケージ管理システムのセキュリティや効率が改良されました。Secure APT を使用すると、ミラーからダウンロードされるパッケージの完全性を検証できます。 パッケージ一覧の更新についても、 更新されたパッケージ一覧全体をダウンロードするのではなく、 その前のバージョンからの差分のみを含む小さなパッチファイルをダウンロードし、 それを当てて行うようになりました。

Debian GNU/Linux は、パームトップや携帯システムやスーパーコンピュータ、 そしてその間のほぼすべてのコンピュータなど、様々なコンピュータ上で動きます。 サポートされるアーキテクチャは合計で 11 あります。Sun SPARC (sparc)、HP Alpha (alpha)、Motorola/IBM PowerPC (powerpc)、Intel IA-32 (i386)、IA-64 (ia64)、HP PA-RISC (hppa)、MIPS (mips, mipsel)、ARM (arm)、IBM S/390 (s390)、 そして Debian GNU/Linux 4.0 で新たに導入された AMD64 や Intel EM64T (amd64) です。

Debian GNU/Linux は、DVD、CD、USB メモリ、 フロッピーディスクなどの様々なインストールメディア、 そしてネットワーク経由でインストールできます。GNOME がデフォルトのデスクトップ環境となっており、最初の CD に含まれています。K Desktop Environment (KDE) と Xfce デスクトップのインストール用に、GNOME 用のものとは別に、新たに 2 つの CD イメージが利用可能になっています。 さらに、Debian GNU/Linux 4.0 では、 単一のディスクで複数のアーキテクチャのインストールをサポートする multi-arch CD/DVD も新たに利用可能になりました。

Debian GNU/Linux は現在、BitTorrent (推奨されている方法です)、jigdo、HTTP でダウンロードできます。さらに詳しく知りたい場合は Debian GNU/Linux の CD のページを参照してください。 数多くのベンダからも DVD や CD-ROM がまもなく入手可能になるでしょう。

今回のリリースには、数多くのソフトウェアパッケージの更新が含まれています。 例えば、K Desktop Environment (KDE) 3.5.5a や GNOME デスクトップ環境 2.14、 Xfce 4.4 デスクトップ環境、GNUstep デスクトップ 5.2、X.Org 7.1、 OpenOffice.org 2.0.4a, GIMP 2.2.13, Iceweasel (Mozilla Firefox 2.0.0.3 の改名版)、Icedove (Mozilla Thunderbird 1.5 の改名版)、Iceape (Mozilla Seamonkey 1.0.8 の改名版)、PostgreSQL 8.1.8、MySQL 5.0.32、GNU Compiler Collection 4.1.1、Linux カーネルバージョン 2.6.18、Apache 2.2.3、Samba 3.0.24、Python 2.4.4 および 2.5、Perl 5.8.8、PHP 4.4.4 および 5.2.0、Asterisk 1.2.13 が含まれており、そしてそれ以外にも 18,000 を超えるソフトウェアが、 すぐに使用可能なパッケージとして含まれています。

aptitude パッケージ管理ツールを使用すると、 前回のリリースである Debian GNU/Linux 3.1 (コードネーム sarge) から Debian GNU/Linux 4.0 へのアップグレードを、 ほとんどの設定まで含めて自動的に行えます。同様のことは、apt-get パッケージ管理ツールを使用してもある程度はできます。いつものように、Debian GNU/Linux システムは、 ダウンタイムを強制されることなくその場で非常にたやすくアップグレードできます。 しかし、 発生する可能性がある問題についてはリリースノートを参照することを強くお勧めします。 Debian GNU/Linux のインストールとアップグレードについての詳しい説明は、リリースノートを参照してください。 ただし、リリースノートについては、 改良やまだ翻訳されていない言語への翻訳がこれから数週間の間に行われることに注意してください (訳注: 日本語訳もまだ提供されておらず、リリース後 1 週間くらいの提供を目処に作業しています)。

Debian について

Debian GNU/Linux はフリーなオペレーティングシステムで、 インターネットを通じて協力しあう世界中の 1000 名以上のボランティアによって開発されています。Debian のフリーソフトウェアへの献身、非営利的な性質、開かれた開発モデルは、 多くの GNU/Linux ディストリビューションの中でも独特のものです。

Debian プロジェクトの強さの鍵は、ボランティアベースであること、Debian 社会契約への献身的な努力、 可能な限り最良のオペレーティングシステムを提供することへの約束にあります。 Debian 4.0 は、この方向性に沿って踏み出された新たな重要な一歩です。

連絡先

さらに詳しく知りたい場合は、https://www.debian.org/ にある Debian のウェブページを訪ねるか、<press@debian.org> 宛てにメールを送ってください。