Debian ウィークリーニュース - 2003 年 8 月 12 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 32 号へようこそ。26 号の記事ののち、Stephan Wehrheim さんは Debian 3.0 の Dell Inspiron 8200 へのインストールに関する文書を書きました。Michael Singer さんは、サンフランシスコの Linuxworld での Bruce Perens さんの考察と 同じようなかたちで、オープンソースを社会運動として考察しました。

crontab はもう setuid されない。 Steve Greenland さんは、crontab を「root」に setuid するのではなく、「cron」に setgid するよう変更したと報告しました。 新しいグループ「cron」はインストール時に自動的に導入されます。

アーカイブからライブラリを削除する。 Chris Cheney さんは、アップロードしたパッケージの依存しているライブラリが 削除されていることに気付きました。 彼は、そのライブラリに依存しているパッケージがなくなるまでは、アーカイブから 古いライブラリを削除しないようポリシーに追加することを提案しました。 過去が示すように、まだ古いライブラリが出回っている限り、 誰もそのライブラリへの依存を外そうとはしない、と Richard Braakman さんは説明しました。

Mutt の MTA への依存を消す? Artur Czechowski さんは、Mutt は mail-transfer-agent (MTA) に依存するのではなく、推奨するにとどめるべきではないかと思いました。 Rene Engelhard さんは、メール送信は Mutt の主要な機能の一つですが、これには MTA が必要なので、依存は残すべきだと説明しました。

Python 2.3 の 移行。 Matthias Klose さんは、バージョン 2.3 がリリースされたので、 次の Python の移行を発表しました。 次の python2.3 のアップロードでは、バージョン 2.3 が デフォルトの Python になります。いくつかのパッケージは、新しいバージョンに 対応するまでインストールできなくなるでしょう。

バグの再登録に対する説明。 Joey Hess さんは、バグを異なるパッケージに再登録する際には、その新しい パッケージのメンテナに向けて説明を入れるよう求めました。 管理しているパッケージに対して、何の説明もなくいくつものバグ報告を 再登録されると、メンテナ自身が情報を探すことを余儀なくされ、とても面倒だと 彼は言っています。

Debian 用の Zeroconf? Andrew Pollock さんは、Debian システムで Zeroconf を実装する作業をしている人がいないかと思いました。ゼロコンフィグレーション IP ネットワーキングでは、ともに接続された 2 台のコンピュータが特別な IP ネットワークを構築し、人が介入することなしに互いに通信できます。パッケージ zcip がこれを実装するようです。

debconf の国際化の向上。 Joey Hess さんと久保田智広さんが協力して、バージョン 1.3.0 で debconf の国際化 (i18n) を飛躍的に向上させました。このバージョンでは、いくつかの言語やエンコーディングでの 行折り返し問題が解決されました。 日本語や中国語の debconf テンプレート翻訳者は、以前は問題を避けるために 必要だった不必要な空白を挿入する必要がなくなりました。

Debian を使うことの利点。 Markus Raab さんは、Debian を使うことの利点を数多く挙げました (ドイツ語のみ)。彼は、パッケージ管理システムや Filesystem Hierarchy Standard の強力な実装を強調しました。彼はまた、利用可能なパッケージの多さ、 保証された自由さ、代替を残しユーザが選択できること、文書の充実なども 強調しました。さらに多くのことが Advantages HOWTO に書かれています。

Hurd カーネルの変更。 Ciaran O'Riordan さんは、Hurd は長期の計画では Gnumach から L4 へ移行すると報告しました。 Hazelnut というのが Hurd が移植されつつある L4 実装の名称です。しかし短期的には、gnumach1.3 から oskit-mach と呼ばれる gnumach2.0 へと徐々に変更していくと言っています。

Ant のサポート。 Arnaud Vandyck さんは、多くの java パッケージは ant で構築されていると報告しました。 パッケージ構築のデフォルトインタフェースを含め、ant を使った共通の作法を 用意するのはよい考えだろうと言っています。Stefan Gybas さんは、Common Debian Build System (CDBS) 用に Ant クラスを作成したいと 思っています。そうすれば、debian/rules はとてもシンプルになります。

32 ビットの UID・GID に対するポリシー? Steve Langasek さんは、現在ポリシーの 9.2 節には、uid と gid のクラスは 0 から 65535 の範囲であると書かれていると報告しました。これはもはや一般には成立しないと思われます。なぜなら、2.4.18 カーネルと libc 2.3.1-17 で起動している現在のシステムなら、32 ビットのユーザ ID をアカウントに割り当て、ファイルの所有者やそれらへの su などでこれらのアカウントを参照することができるからです。 この非常に増加した利用可能 ID の範囲を扱うよう Debian ポリシーを拡張すべきかどうかと、 彼は考えています。

Debian 10 周年。 8 月 16 日、Debian プロジェクトは世界各地でいくつかのパーティを開き、自身の 10 回目の誕生日を祝います。 最も大きなパーティは、チェコ共和国のブルノ、フィンランドのトゥルク、ドイツのヴァーレンロートとベルリン、そして イギリスのケンブリッジなどで行われます。この 10 年間、Debian プロジェクトはソフトウェアの パッケージングと配布に対して、広い範囲に渡る一連のポリシーと手続きを開発してきました。 これらの基準は、ツールや自動化によって裏付けられ、Debian の主要な要素すべてはオープンかつ目に見える形で文書化されています。 プレゼントとして、Jörg Jaspert さんは名刺サイズのレスキュー CD を作りました。これはベルリンとヴァーレンロートで配られる予定です。

LPI での Debian パッケージ試験。 Linux Professional Institute (LPI) は、受験者に RPM や Debian パッケージの管理をテストする新しい試験を導入しました。 受験者は試験開始時にテストを受けたいパッケージを選べる、と LPI は Certcities.com の記事で話しています。LPI は 24,000 以上の試験を供給し、 世界中で 5,500 以上の証明書が交付されました。

現在の安定版における setuid/setgid バイナリのリスト。 Steve Kemp さんは、現在のリリースにおける setuid/setgid バイナリすべての リストを発表しました。このリストへの主な反応により、ここ最近のゲームに関する セキュリティ勧告が解決されました。Joey Hess さんが提案した、すべての setuid/gid バイナリはピアレビューを通すのをポリシーに するという考えは、数名の開発者により支持されました。彼らはレビューも志願しています。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または言及するべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 9 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 185 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Tomohiro Kubota, Dan Hunt, Gerfried Fuchs and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。