Debian ウィークリーニュース - 2003 年 7 月 1 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 26 号へようこそ。南オーストラリアの政府は、 実用的なところでフリーソフトウェアを使うよう政府省庁に命ずる法案議論しています。イギリスの科学者は、オープンソースのプロジェクトにおけるデバッグが、 クローズドソースのプロジェクトよりも常に早いことを発見しました。フリーソフトウェア財団の法律顧問である Eben Moglen さんは文書を発表し、その中で "Linux" という用語の利用についての混乱を正そうとしています。

changelog 項目の誤用。 Gerfried Fuchs さんは、パッケージメンテナが changelog 項目に対してしてはならない利用法と、 またそのような場合にどのようにバグを閉じるべきかを詳細に説明しました。バグを閉じる際に何の変更もなかった場合、原則として changelog のエントリからそのバグを閉じてはいけません。上流のバージョンで バグが修正されたときは、その詳細についても書くべきです。

Debian リファレンスの改善。 Maximilian Attems さんは、青木 修さんらによる Debian リファレンスの Perl についての短いセクションを改善してくれる人を募集しました。 Debian リファレンスは、シェルコマンドの例を通してシステム管理の様々な側面を 取り上げています。彼は、Bash についてのセクションの素晴らしさを認めています。 せめて Perl についてのフリーな文書へのリンクだけでも追加するべきだと言っています。

Dell Inspiron 8000 での Debian。 Nori Heikkinen さんは、Dell Inspiron 8000 ノートブックに Debian をインストールする方法を詳細に書いた howto 文書を発表しました。 ビデオカードや外付けマウスの設定、起動 CD でシステムを救出する際のヒントなどが 含まれています。彼女は読者からのあらゆる意見や提案、 改善を感謝することでしょう。

Debian を知るSitePoint には、「Debian を知る (Getting to Know Debian)」と呼ばれる記事があります。それは Debian GNU/Linux の説明とインストール CD の入手方法から始まっています。その後、 起動とシステムの設定、アカウントの設定、apt-get を使った システムの更新へと進みます。この記事は 初心者に最適で、Debian の理念、長所、インストールに関する簡潔な 記述が盛り込まれています。

Debian が初の DVD クオリティ無線ビデオに利用される。 PRISMIQ は、自社のMediaPlayer セットトップボックス用に、802.11a/g Wi-Fi のサポートを開始したと発表しました。 これはテレビやステレオシステムと PC を接続するものです。PRISMIQ によれば、802.11g の 54 Mbps という帯域が PC からテレビへ高品質な映像を伝送し、 MediaPlayer を「802.11g ワイヤレスを使って DVD 品質の映像を伝送可能とした、 初の民生セットトップボックス」とした、と言っています。この MediaPlayer は Debian GNU/Linux で動作しています。「高い品質と機能」が選択の理由で、 Brad LaRonde さんによって自社内で移植されました。

Ultra 10/ディストリビューションサーバでの Debian。 Guillaume Tamboise さんは、Sun Ultra 10 で Debian 3.0 を ディストリビューションサーバとする設定に関する文書書きました。 この文書は、SANS Institute security certification (SANS GCUX) 用に書かれました。 Sun Ultra 10 固有というよりは Sparc 64 固有のものですが、たいていのことは一般の Debian にも適用できます。危険性の評価、段階毎の設定ガイド、継続したメンテナンスなどの 章が含まれています。

APT でパッケージの検証をする。 Isaac Jones さんは、APT Secure発表しました。 これは、Debian パッケージの信頼性を検証する機能を APT に追加するプロジェクトの ワーキングネームです。これはパッケージメンテナを起点とし、マシンにインストール されるまでの「信頼の連鎖」によって実現されます。Isaac は、APT へのパッチをテスト・検査するよう求めています。そして、最終的には このパッチについてのポリシー策定の議論に参加して欲しいと思っています。

libtool による更新要求。 Scott James Remnant さんは、多くの Debian パッケージが libtool の最新版 (1.4.3-10) を使うよう更新する必要があると発表しました。 古い版は共有ライブラリを判別するのに file ユーティリティと 正規表現を使っていますが、MIPS の共有ライブラリに対する file の出力形式が変更されたためです。libtool の新しい版では より良い確認方法が使われていますが、多くのソースパッケージはまだ更新されていません。 Scott は、大量のバグ報告をする必要があるかもしれません。

Debian と Linux の隆盛。 Slashdot は、Jonathan Oxer さんが今月号の LinMagAu に寄稿した記事についての議論を掲載しました。 その記事は、Linux の隆盛が Debian およびその意味してきたものにどのような影響を与えるのかという疑問を投げかけています。2004 年中頃には、最新版の Linux が平均的なデスクトップ環境を真剣に争うようになり、 市場の大部分を占めると言われています。

sarge の Perl パッケージがインストール不能。 Mark Hedges さんは、sarge にあるいくつかの Perl パッケージが現在インストール できないと報告しました。 それらは、もはや利用できない perlapi-5.6.1 に間接的に 依存しているからです。これらのパッケージは最近の版の Perl 用に更新する 必要があり、今までにもそのための時間は充分にあったはずだと Adam Heath さんは指摘しました

Debian 入門SitePoint には、Jono Bacon さんが寄稿した Debian の紹介とインストールのガイドラインを兼ねた記事があります。 これは管理者や新規ユーザを始め、Debian の利用に興味を持つ人にとって 役に立つのではないでしょうか。長い目で見た利益に加え、Debian を使うことの 明確な技術的優位性がいくつもあります。その最初に挙げられるものとして、 高い可用性が指摘されています。

ヨーロッパのソフトウェア特許の詳細。 ZDNet UK の記事は、EU の役人がソフトウェア特許に反対する数々の意見を考慮すら していないと伝えています。その筋の活動団体によると、特許が成立するのは確実で、 問題なのはその内容だとのことです。

PowerPC での debian-installer。 Gaudenz Steinlin さんは、PowerPC マシンで debian-installer を使うコツを盛り込んだ、 ちょっとした howto書きました。 彼は足りないパッケージへのリンクを示し、ネットワーク越しに NewWorld PowerPC システムを起動し、そこに Debian をインストールする方法を書いています。

GNU 版のプログラム。 Dan Jacobson さんは、mawk の代わりに gawk といった具合に、GNU 版のプログラムのみをインストールしたいと思いました。 そして、それらすべてを一発でインストールするコマンドがないか尋ねました。 Sam Hocevar さんは、利用可能なすべての GNU 版を探すコマンドラインを提案しました。 Roland Mas さんは、task-gnu-only という新しいタスクを整備するよう提案しました

移行中のパッケージを特定する。 Bernd Eckenfels さんは、システム内にいくつかの移行中もしくはダミーの パッケージがあることに気づきました。 しかし、それらを特定する共通の方法はありません。Aaron Ucko さんは、 ダミーパッケージを見つけてくれる deborphan --guess-dummy --guess-only示しました

Date::Manip の一時的な分岐を受け入れる? Kenneth Pronovici さんは、彼が管理するあるパッケージの上流の開発者による、 Date::Manip の一時的な分岐をどのように処理すればいいか疑問に思いました。というのも、彼のパッケージはこの新しいバージョンを少々必要と しているからです。Debian パッケージにも同様の修正を加え、分岐したものを含む 新しいパッケージを作成して、分岐を無視してしまうというのも選択肢の一つです。

PHPNuke はフリーか否か? PHPNuke のライセンス問題は本当のものか、 パッケージを non-free にしてしまうか、に関する いくつかの新しい議論が なされました。ある通告は、パッケージがまだフリーであるとユーザに思わせようとしていますが、 ライセンスの追加は実際にパッケージを non-free にしてしまうと Steve Langasek さんは結論しました。 メンテナは、パッケージを non-free にアップロードすることに合意しました (まだされてはいません)。

Debian の Beowulf リソース。 Adam Powell さんは、Beowulf に関連したいくつかの項目を Debian Wiki に登録したと発表しました。 彼は、見通しを良くし、長期間のメンテナンスを楽にするために、彼の古い "Debian Beowulf Howtos" の中身を全部このサイトに移しました。

新しい Skolelinux の CD イメージ。 Petter Reinholdtsen さんは、新しい Skolelinux の CD イメージ (prerelease 39) を作成したと発表しました。 autopartkit によって LVM が完全にサポートされ、システムパーティションで 使われています。その他いくつかの改善点が含まれていますが、 いまだにいくつか修正が必要な問題が残っています。

ラップトップでのカスタムコンパイル? Johannes Graumann さんは、パッケージのカスタムコンパイルは ラップトップのようにリソースの限られたマシンに適しているかどうか疑問に思いました。Russell Coker さんは、パッケージのコンパイルに必要な リソースは、単にバイナリの Debian パッケージをインストールするのに比べて、 より多くのリソースが必要だと説明しました

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または言及するべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 4 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 190 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。