Debian ウィークリーニュース - 2006 年 9 月 5 日
Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 36 号へようこそ。Alexander Sack さんは、 次のセキュリティアップデートで sarge に入る Mozilla パッケージのテスターを募集しました。Ben Hutchings さんは、DebConf でのセッションを収めたビデオの、最後のファイルをアップロードし終えました。Biella Coleman さんによる、3 本のドキュメンタリーがこれに続く予定です。
Etch リリースの広告。 Gustavo Franco さんは、リリースの広告を出すのに特別な寄付を募ってはどうかと提案しました。Joey Schulze さんは、具体的なイメージを得るために、いくつかの疑問点をあげました。 大手の新聞や雑誌に広告を掲載する目的は、過去に Firefox が行ったキャンペーンのように、リリースを広く報道することにあります。
新しい Tcl/Tk チーム。 Chris Waters さんは、Tcl/Tk とそのいくつかのアドオンを協同でメンテナンスする Tcl/Tk チームの発足を発表しました。彼は発足に先駆けて Alioth にプロジェクトを作成し、Debian における Tcl/Tk のインフラやポリシーについて議論するためのメーリングリストを設定しました。
パッケージの自動構築。 Matej Cepl さんは、開発者が提供した全バイナリパッケージを削除し、ビルドデーモンによってソースパッケージから再コンパイルすることを提案しました。これにより、 壊れた環境によって引き起こされる潜在的なビルドエラーが回避されます。Sven Luther さんは、 開発者のマシン上ですらコンパイルされたことのないパッケージがアップロードされることがあったため、 この機能は無効にされたと説明しました。
スイスでのバグ退治パーティ。 Martin Krafft さんは、9 月 9 日の土曜日にスイスのチューリッヒで 1 日限りのバグ退治パーティが開催されると発表しました。このパーティには、/ch/open、Google 社、 チューリッヒ大学の人工知能研究所がスポンサーとなっています。2 度目のバグ一掃パーティは、10 月の 6 日から 8 日にかけて同じ場所で開催される予定です。
引用の許可。 Sebastian Wangnick さんは、次の点を疑問に思いました。 すなわち、ドイツの著作権では、 許可を求めずにテキストやコードの小さな断片を引用して潜在的なライセンス違反を無視することは許されており、 実例や説明として引用することも許されるとみなされています。 しかし、ソフトウェア内の必須箇所として外部のコードを使うことは良くないのではないか、 という点です。Michael Poole さんは、教育やコメント、あるいはそれに類似した目的ではなく、 機能のための創造的な表現をコードの一部に含めることは、適切な行為ではないと付け加えました。
パッケージアーカイブの改良。
Anthony Towns さんは、将来、アーカイブソフトウェアの改良によって、
パッケージをアーカイブに直接インストールできるようになるだろう、と説明しました。これによって accepted
キューが削除され、
毎日複数回のアーカイブ再編成と push ミラーへの反映が可能になるでしょう。
しかし他方で、この変更は、
パッケージをインストールする前にキューから削除する機会も奪ってしまいます。
そのような機会は、これまでに 4 回必要になりました。
バグ退治マラソン。 Martin Zobel-Helas さんは、9 月 8 日から 10 日までオーストリアのウィーンで開催されるバグ退治パーティに関するリマインダを送り、その進め方を説明しました。Steve Langasek さんの書いた RC バグ退治の手引きは作業をよく紹介しているので、 おそらく初心者にとっては必読文書でしょう。Martin さんは、Debian が etch のリリースに向けて前進するのを皆が支援するのに行える仕事も多数、 追記しました。
新しい CD 書き込みツール。
Jörg Jaspert さんは、新しい cdrkit
パッケージや新しい wodim
プログラムをテストしてくれる人を募集しました。これらは etch
に含められ、古い cdrtools
プログラム集の代替となる予定です。この派生版は、Debian
だけでなく他のベンダも苦しんだ、
上流が用いた互換性のない複数のライセンスに関する、
きりがないにほぼ等しいいくつかの議論の結果です。他のベンダも、どうぞ、この取り組みに参加してください。
セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。
- DSA 1162: libmusicbrainz — 任意のコードの実行。
- DSA 1163: gtetrinet — 任意のコードの実行。
- DSA 1164: sendmail — サービス不能 (DoS) 攻撃。
- DSA 1165: capi4hylafax — 任意のコマンドの実行。
- DSA 1166: cheesetracker — 任意のコードの実行。
- DSA 1167: apache — 複数の脆弱性。
- DSA 1168: imagemagick — 任意のコードの実行。
- DSA 1169: mysql-dfsg-4.1 — 複数の脆弱性。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- apt-mirror — APT ソースミラー用ツール。
- ccontrol — コンパイルコントローラ。
- cutecom — グラフィカルなシリアル端末。
- ddccontrol — モニタのパラメータを制御するプログラム。
- ffe — フラットおよび CSV ファイルを解析し、他の形式に変換するツール。
- fmit — フリーな楽曲チューナー。
- gaffitter — 遺伝アルゴリズムを元にしたファイルの部分集合抽出プログラム。
- gmail-notify — GMail 着信通知プログラム。
- gnoemoe — GNOME 版 MOO クライアント。
- gnome-main-menu — GNOME 用スタートメニューアプレット。
- indi — 天文装置用の器具中立型分散インターフェイス。
- poa — 多重配列アライメント用の部分的順序アライメント。
- qemuctl — qemu 用 GUI の制御。
- quicksynergy — Synergy の設定を簡単にするための GUI。
- ripit — テキストベースの音楽 CD リッパー。
- softgun — ARM システムエミュレータ。
- xmmsctrl — コマンドラインから XMMS を制御するための小ユーティリティ。
みなしご化されたパッケージ。
今週 5 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。
これでみなしご化されたパッケージは合計 322 個となりました。
フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。
完全なリストが、WNPP
のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、
バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。
あなたのシステムでインストールされているソフトウェアのうち、
どれがみなしごになっているのかというのを調べるためには、devscripts
の wnpp-alert
プログラムを使うのが便利でしょう。
- jedstate — John E. Davis さんのテキストエディタ jed 拡張。 (Bug#385744)
- obconf — Openbox の設定管理ユーティリティ。 (Bug#385988)
- picasm — Microchip の各種 PIC マイクロコントローラ用のアセンブラ。 (Bug#385135)
- swish++ — 人類のための簡単な文書インデックスシステム: C++ 版。 (Bug#385743)
- xmms-liveice — shoutcast サーバに音声を送信する XMMS プラグイン。 (Bug#385965)
削除されたパッケージ。 この 1 週間で、Debian アーカイブから 1 個のパッケージが削除されました。
- mediawiki — 協調作業のためのウェブサイトエンジン
Bug#381004: メンテナからの依頼、開発元が放棄、mediawiki1.7 で代替。
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今週号の Debian ウィークリーニュースは Sebastian Feltel, Martin Krafft and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広, 小林 儀匡 and 田村 一平 が翻訳しました。