Debian プロジェクトニュース - 2011 年 7 月 25 日
今年 11 号目の DPN、debian コミュニティの会報、にようこそ。 この号で取り上げられている話題は:
- 誕生日おめでとう、Linux !
- コミュニティディストリビューション特許ポリシー FAQ
- DPL からの一言
- Debian GNU/Hurd 移植版開発者からの一言
- DebConf13 招致提案の募集
- Debian メーリングリストアーカイブから 33094 通のスパムメッセージを削除
- リリースチームからの一言
- Debian で使えるハードウェアの確認
- Debian
不安定版
におけるマルチアーキテクチャサポート - インタビューの追加
- その他のニュース
- Debian の新しい協力者たち
- 重要な Debian セキュリティ勧告
- 新規の注目パッケージ
- 作業が必要なパッケージ
- これからも DPN を読みたいですか?
誕生日おめでとう、Linux !
20 年前にフィンランドの学生が (フリーの) オペレーティングシステムに取り組んでいる (単なる趣味で、gnu
のように大きくて専門的なものにはならないだろうけど)
と投稿したのが、Linux
カーネルの誕生した印となりました。それから、多くのできごとがありました。ただ、Debian
オペレーティングシステムの土台だったということがありますので、私たちは 誕生会 に参加しようと思います。
親愛なる Linux 開発者の皆さん、我々の作業を支えている、 安定していて移植性があり、強力なカーネルをありがとう! 今後もよろしく!
コミュニティディストリビューション特許ポリシー FAQ
Debian プロジェクトは、コミュニティディストリビューション特許ポリシー FAQ という、ソフトウェア特許のリスクについて、フリーソフトウェア開発者や、 特にディストリビューションを作っている人を啓蒙するための文書を公開しました。この文書は Software Freedom Law Center (SFLC) が Debian プロジェクトからのリクエストと情報提供をもとに作成したものです。
DPL からの一言
DPL である Stefano Zacchiroli さんは、デバッグチームからのヘルプリクエスト、最初の DEX イニシアティブの完成、スプリント開催の許可 (一つはリリースチーム、もう一つは Debian Edu に関するもの)、 彼が受けたインタビューなどの、興味のある話題を含む DPL からの一言を発表しました。Stefano さんが発表したもう一つの面白いニュースは、彼が英国、ヨーロッパ、中国、日本への Debian 商標を拡大する申請を最終的に記述し終えたことです。
先のメールにおいて、Stefano さんは、公式に Alexander Wirt さんと Gerfried Fuchs さんをバックポートチームのメンバーに指名しました。
Debian GNU/Hurd 移植版開発者からの一言
Samuel Thibault さんが Hurd への移植に関する興味深いニュースをまとめた Debian
GNU/Hurd 移植版開発者からの一言を送信しました。Samuel
さんは最初に、Debian GNU/Hurd インストール用の基本 CD
セットが入手できるようになったことについて、Jeremie Koenig
さんに感謝の言葉を述べました。次に、Wheezy
リリース目標について次のように述べました。hurd-i386
は悪くない状態
のため、現在はアーカイブに含まれており、
少なくともテクニカルプレビューの意味をこめて Wheezy
のリリースにあわせた移植版を公式にリリースすることが目標です。
その一方で、Debian GNU/Hurd 用パッケージビルドの達成率は 68%
に迫ろうとしています。残りのパッケージは他のパッケージが使用可能になるのを待っているか (これらの関係を図にしたものが入手可能)、
その他の理由でビルドに失敗していると述べました。最後に、
最近のハードウェアに対するサポートはより完全なものに近づいていると述べました。
DebConf13 招致提案の募集
Moray Allan さんは DebConf13
招致の募集 を作りました。彼が言うには:7 月 30
日頃に開催予定の Debconf11 の特別セッションで、Debconf
に参加している他の人達に、あなたの招致提案について説明する機会があります。
もしこのイベントに参加できないとしても、提案を披露するために何かスライドを送ることがでます。Debconf を自分の街で開催したいなら、招致提案のページを DebConf wiki に作って、DebConf13 のページにリンクを張ってください。それをする前に、忘れずに 立地のチェックリストに目を通しておきましょう。また、事例として今年と来年の提案を見てもいいでしょう。irc.debian.org の #debconf-team
チャンネルで追加情報を入手することができます。
Debian メーリングリストアーカイブから 33094 通のスパムメッセージを削除
Christian Perrier さんがスパム削除キャンペーンの成果に関してブログを書きました。 2009 年から Debian メーリングリスト管理者は 3 つのプロセスを経てメーリングリストアーカイブからスパムを排除するための手法を開発してきました:
- アーカイブに付けた
スパムとして報告
ボタン (ウェブからアーカイブ参照) と report-listspam@lists.debian.org に返ってきたメールを使ったスパム報告; - スパムと判断されたメールの確認: Debian 開発者はその根拠を要求し、 これに反対することもできる;
- 少なくとも 3 人のレビュアーからスパムと評価されたポストはアーカイブから削除。
スパムの報告と評価には以下のメーリングリストからの組織的な協力ありました。
- debian-boot;
- フランスのメーリングリスト (debian-devel-french、debian-l10n-french、debian-user-french);
- イタリアのメーリングリスト (debian-devel-italian、debian-italian、debian-l10n-italian);
- debian-publicity;
- KDEのメーリングリスト (debian-kde、debian-qt-kde);
- debian-www。
この取り組みの結果、33,000 通を超えるメッセージがスパムとして分類され、アーカイブから削除されました。
リリースチームからの一言
Neil McGovern さんは、いくつかのより詳細な情報と一緒に、
リリースチームがアントワープで開催した最近のスプリントに関する報告書を送付しました。彼は、Squeeze
リリースの回顧録を示して、
良かった点 (高品質リリース、unblock の取扱い、円滑なコミュニケーションなど)
および悪かった点 (フリーズのアナウンス、プロセスの明快さ、チームの人的資源など)
について触れました。また、Pierre Habouzit さんが他の活動に専念するためにチームを辞め、彼の大変な努力に謝意が表されました。その一方で Niels Thykier
さんがチームに迎え入れられました。2012 年 6 月をフリーズ予定日とした
Wheezy
のリリースに対して、時限ベースのフリーズが試行される予定です。
リリースチームは、不安定版
からテスト版
へのパッケージの移行を行う新世代スクリプトである britney2 への移行準備も行っています。また、
彼らは別のアップデートも準備しています。この際には特に、リリース目標、0-day
NMU ポリシー、CUT/ローリング、パッケージ削除プロセス、
等の分野でアップデートが行われる予定です。
Debian で使えるハードウェアの確認
Thomas Goirand さんは、いくつかの会社が自分たちのハードウェアを Debian で使えることを確かめることができるか質問しました。 Stefano Zacchiroli さんは、そうした方向への第一歩として Kenshi Muto さんの Debian GNU/Linux デバイスドライバチェック & レポートのようなウェブインターフェイスを提供できるボランティアを募りました。
Debian
不安定版
におけるマルチアーキテクチャサポート
Steve Langasek さんは、Debian
不安定版
におけるマルチアーキテクチャサポートの開始を発表しました。
これを使えば、複数のアーキテクチャが提供するライブラリパッケージを単一のファイルシステム上に混在出来るようになります。Debian
における完全なマルチアーキテクチャサポートの提供に向けた次のステップは以下のようなものです。
- マルチアーキテクチャ用に共有ライブラリパッケージの変換
- パッケージマネージャの更新 - 今までは、複数のアーキテクチャ用のパッケージを単一のシステム上にインストールすることは想定されていませんでした。
上に挙げたステップの 2 番目は、既に作業が始められています。つまり、dpkg におけるマルチアーキテクチャサポートの予備実装は、 git://git.debian.org/users/hertzog/dpkg.git の pu/multiarch/full ブランチから入手可能です。
インタビューの追加
前号の Debian プロジェクトニュース以降、新しい
This week in
Debian
ポッドキャストが公開されました。Jonathan Nadeau さんが Frostbite Media の最新情報を伝えています。
新しい Debian の裏方
インタビューが公開されました。前任の
Debian プロジェクトリーダである Martin Michlmayr さんへのインタビューです。
その他のニュース
Kenshi Muto さんが Debian GNU/Linux 6.0
Squeeze
用のバックポート debian インストーラの更新をアナウンスしました。
アップデートされたイメージはイメージアーカイブページからダウンロードできます。
これらのイメージは Debian 6.0.2.1 を基にしており、バージョン 2.6.38
カーネルとファームウェア、バグのある Mac OS X DHCP サーバ用に修正された DHCP
クライアントを含みます。i386 アーキテクチャもサポートされています。
これらのイメージは非公式なものであり、本当に必要なときだけこれを使うようにしてください。
Richard Darst さんが最近 2 年間の DebConf の決算要旨を送信し、 決算の内容は驚くほどバランスが取れていました。彼はまた DebConf8 の決算に対していくつかのアドバイスを行い、開催中の DebConf11 に対して試算を行いました。
Michael Tautshnig さんがレビュー中のパッケージや新しくアーカイブされたパッケージがスポンサーを探すことに関する援助依頼を送信しました。 Michael さんの依頼内容は Debian 開発者以外の人に対しても門戸が開かれています。
Raphaël Hertzog さんがバグレポートに役立つ情報とリリースクリティカルバグの修正に関してブログを書きました。
Debian の新しい協力者たち
前回の Debian プロジェクトニュースから後に、 6 人の応募者が Debian 開発者として認められ、 11 人の応募者が Debian メンテナとして認められ、 15 人の方々がパッケージのメンテナンスを始めました。 Dominique Dumont さん、Pino Toscano さん、Michael Tokarev さん、Andres Mejia さん、Antonio Terceiro さん、Nicholas Bamber さん、Arno Töll さん、Andreas Beckmann さん、Felix Geyer さん、Julien Lavergne さん、Jameson Graef Rollins さん、Cristian Henzel さん、Hsin-Yi Chen さん、Philippe Le Brouster さん、Thomas Preud'homme さん、Sebastian Ramacher さん、Tim Weippert さん、Alex Morega さん、Dmitry Shachnev さん、Roger A. Light さん、Grzegorz Kolorz さん、Michele Gastaldo さん、Damien Caliste さん、Eshat Cakar さん、Andrew Gainer さん、Petr Baranov さん、Florian Schlichting さん、Sebastian Holtermann さん、Luis Henriques さん、Evan Broder さん、John Paulett さん、Hendrik Rittic さんを私たちのプロジェクトに歓迎しましょう!
重要な Debian セキュリティ勧告
Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: php5、 perl、 iceweasel、 iceape、 qemu-kvm、 curl、 bind、 icedove、 wireshark、 openoffice.org、 asterisk、 xml-security-c、 horde3、 libapache2-mod-authnz-external、 libvirt、 opie。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
Debian バックポートチームは以下のパッケージにセキュリティ勧告を公開しました: icedove、 iceweasel、 qemu-kvm、 subversion。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
Debian 安定版リリースチームは以下のパッケージにアップデートを公開しました: postgresql-8.4、 dput、 clamav。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
Debian Volatile チームは以下のパッケージにアップデートを公開しました: clamav。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。
これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian
セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストと stable-updates セクションのメーリングリストあるいは旧安定版である Lenny
向けの volatile セクションのメーリングリスト) を購読してください。
新規の注目パッケージ
最近、1099 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:
- bashburn — コマンドラインでの cd/dvd 書き込みを簡単にする
- confclerk — オフラインで使えるカンファレンスの予定表アプリケーション
- darkplaces — Quake や同類の 3D FPS ゲーム向けのゲームエンジン
- dehydra — C および C++ のための、スクリプトを書ける静的解析ツール
- developers-reference-de — Debian 開発者向けのガイドラインと情報 (ドイツ語版)
- dockbarx — グループ化とグループ操作のできるタスクバー
- freebsd-nfs-server — GNU/kFreeBSD 上の NFS で必要になる FreeBSD サーバユーティリティ
- garden-of-coloured-lights — 音楽要素のある、抽象的な縦スクロールシューティング
- git-flow — 高レベルのブランチモデルを提供する Git 拡張
- gtk-vector-screenshot — PDF または SVG ファイルでアプリケーションのスクリーンショットをとる
- hotot — 軽量なマイクロブログクライアント
- k9copy — DVD バックアップ用の KDE ツール
- kpartsplugin — KDE のファイルビューアをブラウザに埋めこむためのネットスケープ互換プラグイン
- partclone — パーティションのクローンとリストアをするユーティリティ
- pidgin-latex — LaTeX の式を表示する Pidgin プラグイン
- qasmixer — サイズを変更できる QT4 の GUI がついた ALSA サウンドミキサー
- s3ql — オンラインデータストレージ向けの全機能が揃ったファイルシステム
- sipwitch — SIP プロトコル用の、安全なピアツーピアの VoIP サーバ
- supercollider — リアルタイムなオーディオ合成をするプログラミング言語
- xxxterm — ミニマリスト向けの Web ブラウザ
作業が必要なパッケージ
現時点で、267 のパッケージがメンテナ不在となり、 135 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です: 完全なリストは 支援が必要なパッケージ をご覧ください。
これからも DPN を読みたいですか?
この会報の作成を手伝ってみませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集しています。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。我々はあなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。
このニューズレターを電子メールで受け取りたい方は、debian-newsメーリングリストを購読してください。
バックナンバーもご利用いただけます。
今週号の Debian プロジェクトニュースは Rui Branco, Francesca Ciceri, Jeremiah C. Foster, David Prévot, Alexander Reichle-Schmehl, Alexander Reshetov and Justin B Rye が編集しました。