Debian プロジェクトニュース - 2012 年 4 月 30 日

今年 9 号目の DPN、Debian コミュニティの会報、にようこそ。この号で取り上げられている話題は:

自分のクラウドを Debian Wheezy 上に展開

Debian プロジェクトはテスト版ディストリビューション向けに、 プライベートクラウドを作るためのパッケージ、特にxcp-xapinova-xcp-plugins が利用可能になったことをアナウンスしました。クラウド内でユーザの自由を確保することは難しい問題で、 フリーソフトウェアに立ちはだかる重要な課題の 1 つです。Debian ベースのプライベートクラウドの展開を簡単にすることで、Debian のユーザが環境に適応することと引き換えに自由を捨てる誘惑と戦う手助けしたいと Debian プロジェクトリーダの Stefano Zacchiroli さんは述べました。

ニカラグアの Debian ツアー

ニカラグアの Debian コミュニティがDebian ツアーを催行中です。期間は 4 月から 6 月で、現地の Debian コミュニティメンバーがニカラグアの大学数カ所で講演し、学生が Debian プロジェクトとフリーソフトウェアの概要について学ぶ手助けをします。 ツアーはニカラグアのマサヤから始まり、レオンやマナグアなど他の都市でも開催される予定です。5 月 5 日は UCA (Debconf12 の会場) で Debian ツアーを開催する予定で、Debian 開発者で DebConf 議長の Gunnar Wolf さんと Holger Levsen さんも特別参加します。

ESRF における Debian

Jérôme Kieffer さんはグルノーブルのヨーロッパ放射光施設がコンピュータ設備を Debian に移行させつつあることを通知しました: 粒子加速器を制御しているコンピュータは既に移行完了し、 この他にもデータ解析サーバとコンピュータクラスタの一部が移行完了しました。ヨーロッパ放射光施設 (ESRF) はいくつかのヨーロッパ諸国が支援と共用をする共同施設で、 ヨーロッパでは最も強力なシンクロトロン放射光源を運転しています。データ解析について言えば Debian は我々の研究分野でよく使われるソフトウェアとライブラリを含めた最高の環境と、 セキュリティ修正が提供される信頼できるディストリビューションの両方を提供すると Jérôme さんは別のメールで付け加えました。

DPL からの一言

Stefano Zacchiroli さんが、DPL 活動の月刊報告を送りました。先月、Stefano さんは、DuckDuckGo からの資金協定についての提案DEP-5 の受理、武藤健志さんと連携して日本における Debian の商標所有権を SPI に移管する手続きを進めていることについて、プロジェクトに知らせました。また、Stefano さんは、イタリアの有力紙のひとつ La Repubblica からの、Debian とフリーソフトウェア全般についてのインタビュー (イタリア語) に応じました。インタビューを英語版に翻訳してくれた Matteo Cortese さんに感謝します。

インタビュー

Raphaël Hertzog さんが、アクセシビリティと Hurd チームのメンバー Samuel Thibault さんへの Debian の中の人インタビューを公開しました。

その他のニュース

Vincent Bernat さんが、Debian Wheezy に XBMC をインストールする方法についてチュートリアルを書きました。XBMC は、多種のデジタルメディアとリモートコントロールをサポートしたメディアセンターで、Andres Mejia さんのハードワークのおかげで最近 Debian に取り込まれました

Loïc Dachary さんは、彼が Debian プロジェクトの代表を務めた OpenStack サミットのレポートを出しました。

Debian カーネルチームの Ben Hutchings さんが、Greg Kroah-Hartman さんに代わり、kernel.org において長期サポートカーネルとして Linux カーネルバージョン 3.2 をメンテナンスすると発表しました。Ben さんは今年の 1 月に、Debian Wheezy では Linux 3.2 を使う予定だと発表していました。

Paul Wise さんが、この 2 カ月の間に、2 つの Debian 派生物が活動を停止したことに気づきました。派生物調査によると、いくつかのパッチが今でも入手可能で、彼はそれらについての分析を載せています。

Ana Guerrero さんは、去年から 6 プロジェクト増えて、15 の Debian プロジェクトが Google Summer of Code 2012 に採択されたと発表しました。

今後のイベント

今後、いくつかの Debian 関連のイベントが予定されています。

Debian 関連のイベントや会議に関するより多くの情報を得るには、Debian ウェブサイトのイベントセクションを参照するか、 いろいろな地域におけるイベント用メーリングリスト (ヨーロッパオランダラテンアメリカ北アメリカ) を購読してください。

Debian ブースを運営したり Debian インストールパーティーを開催しませんか? 開催予定の Debian 関連のイベントについて知りませんか? 講演のページにリンクを貼りたい Debian 関連の講演を行いましたか? そのような場合は、Debian イベントチーム宛に電子メールを送信してください。

Debian の新しい協力者たち

前号の Debian プロジェクトニュースより後に、1 名の応募者が Debian 開発者として受理され、9 名がパッケージのメンテナンスを開始しました。我々のプロジェクトに参加する Eduardo Trápani さん、Norman Messtorff さん、Frank Neuber さん、Daniel Pocock さん、Artur Rona さん、Yongzhi Pan さん、Nuno Carvalho さん、Daniel Martíさん、Jussi Hakala さん、Eric Beuque さんを歓迎しましょう!

次期リリースに関するリリースクリティカルバグの統計

Ultimate Debian Database のバグ検索インタフェースによると、次期リリースの Debian Wheezy には、現在 781 個のリリースクリティカルバグが存在します。簡単に修正できるか修正作業が始まっているバグを除けば、リリースまでにおよそ 543 個のリリースクリティカルバグの修正が必要です。

これらの数字を解釈する方法のヒントを参照できます。

重要な Debian セキュリティ勧告

Debian セキュリティチームは最近、以下のパッケージ (抜粋) にセキュリティ勧告を公開しました: apache2gajimopenssltypo3-srcdropbeariceweaseliceapequaggaasteriskspipimagemagick。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

Debian バックポートチームは以下のパッケージにセキュリティ勧告を公開しました: samba。 勧告の内容をよく読んで、適切な対策を講じてください。

これらは、先週のセキュリティ勧告の中からより重要なものだけが抜粋されていることに注意してください。Debian セキュリティチームが公開したセキュリティ勧告の最新情報をチェックする必要があるなら、アナウンスを受けとるためにセキュリティメーリングリスト (これとは別に backports セクションのメーリングリストstable-updates セクションのメーリングリスト) を購読してください。

新規の注目パッケージ

最近、180 のパッケージが不安定版の Debian アーカイブに追加されました。新規パッケージからの抜粋:

作業が必要なパッケージ

現時点で408 のパッケージがメンテナ不在となり166 のパッケージがメンテナの引き継ぎを募集中です。完全なリストは支援が必要なパッケージをご覧ください。

これからも DPN を読みたいですか?

この会報の作成を手伝ってはくれませんか? 我々は、Debian コミュニティの活動を眺め、何が起きているのかを報告してくれるボランティアのライターを募集中です。貢献に関するページをご覧になって、手助けの具体的な方法をご確認ください。あなたからのメールを debian-publicity@lists.debian.org でお待ちしています。


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バックナンバーもご利用いただけます。

今週号の Debian プロジェクトニュースは Moray Allan さん、Cédric Boutillier さん、Francesca Ciceri さん、Norman García さん、David Prévot さん、Justin B Rye さん が編集しました。
今井 伸広さん、八津尾 雄介さん、石井 一夫さん、綾小路 龍之介さん が翻訳しました。