Debian ウィークリーニュース - 2003 年 6 月 10 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 23 号へようこそ。BBspot にちょっとした素敵なクイズがあり、 あなたの性格にぴったりのオペレーティングシステムを教えてくれます。 驚いたことに、Debian も結果のひとつとなっています。あなたが本当の Debian ユーザであるか試してみてください!

Debian X Strike Force の Subversion リポジトリ。 Branden Robinson さんは、Debian の XFree86 パッケージ群が チームで管理されるようになったと発表しました。 実際のところ XFree86 のパッケージ群はこれまでもずっと、 ある程度まで、多くの人からの大小の貢献を受けてきていました。 他の改善として、Branden は Subversion のリポジトリを設置しました。Debian XFree86 パッケージをバージョン管理下におくことによって、 彼は作業の品質とペースが上がることを期待しています。

freedesktop メニューシステム。 Chris Cheney さんは、freedesktop.org のデスクトップメニュー仕様に移行する Debian メニューシステムの計画に なにが起ころうとしているのかを尋ねました。 メニューシステムのメンテナである Bill Allombert さんは、Debian メニューシステムがすべきことについて確信が持てないと応えました。 Colin Walters さんは、フリーソフトウェアの世界はメニューの標準を .desktop 形式に決定したようだと説明しました。 全体の構想は、様々なディストリビューションで使われて来た、 無数の互換性のないメニューシステムに取って代わるためのものです。

sarge リリースの問題点。 Drew Scott Daniels さんは、sarge リリースの問題点の最新リストを投稿しました。 これは、sarge がリリース可能になる前にしなければならないことのリストです。 リストには、現状と優先順位評価 (1 から 3) が書かれています。 リスト中優先順位の高いものとしては、debian-installer の作業移植が残っています。また、GCC 3.3 への移行も注意が必要です。Linux カーネルを 個別に取り扱う必要があること、X Strike Force による 4.3.0 の準備にいくらかの支援がいること、 GNOME 2 をすぐにでもテスト版 (testing) に入れるべきであること、libpng が移行中であることなどが、テスト版 (testing) の問題として挙げられています。

Packages ファイルのバージョン管理。 Glenn McGrath さんは、バンド幅を最小限に抑えるために、Packages ファイルを何らかのバージョン管理のもとにおくことを提案しました。 ほとんどの人は、良い考えだと賛成しました。 Anthony Towns さんは apt-pupdate を使えば実現できると指摘しました。 また Nicolas Kratz さんは apt-rsync を試すよう提案しました

OpenSSL にリンクする際の問題。 長々と議論されて来た通り、OpenSSL ライセンスは GNU General Public License (GPL) と互換性がありません。今週 MySQL 開発者は、一つまたは複数の OSI 認定ライセンスで提供されている成果を組み合わせる場合をカバーする 包括的な例外を提供することで、MySQL を OpenSSL と リンク可能にする計画を立てました。gaim-encryption プラグインの開発者は、 自分も同じような立場にあると思いましたが、OpenSSL に依存しないようにコードを書き換えるつもりです。

ACPI Howto。 Emma Jane Hogbin さんは、Advanced Configuration and Power Interface Howto の第 2 段を発表しました。 ACPI はオペレーティングシステムから電源管理を制御できるようにするものです。 この文書は、パッチの当たった Linux カーネル 2.4.20 を用い、Debian のラップトップで ACPI をインストール・利用する過程をまとめています。

Debian の 10 回目の誕生日。 Alexander Neumann さんが 気づいた ように、この 8 月に Debian が 10 歳になるという噂が広がりました。 記念パーティが地球上の様々な場所で計画されています。 日本オーストラリアドイツイギリスそしてアメリカではイベントの準備が既に始まっています。 これらの詳細はまだ決まっておらず、 またもっと多くのパーティが開催されることになるでしょうが。

Knoppix DVD への推奨。 Klaus Knopper さんは、今 LinuxTag 2003 に向けて、Knoppix の DVD 版に取り組んでいると発表しました。彼は、人々がフル装備版に収録して欲しいと思っているソフトウェアを知りたがっています。 この版にはおそらく Fabian Franz さんの新しい Knoppix インストーラも含まれます。 追加するソフトウェアパッケージは、フリーで安定していて、 バイナリとソース両方で入手できる必要があります。

投票への呼びかけ - 投票方法一般決議。 Debian プロジェクト書記は、投票方法一般決議 (Voting Method General Resolution) への投票の呼びかけを投稿しました。開発者は、投票の仕組みを改訂する憲章の改正への一般決議投票を求められています。 Clone Proof SSD Condorcet Amendment を支持するか、さらなる議論を求めるか、 どちらにも投票できます。投票は、2003 年 6 月 20 日 23:59:59 までに到着しなければなりません。

Debian GNU/FreeBSD が自力で運用可能に。 Robert Millan さんは、GNU/FreeBSD が自力で運用可能になったと発表しました。 カーネルは init を起動、init はスワップ領域とファイルシステムを初期化し、 8 つの getty を生成します。彼は最小限のユーティリティと APT だけの新しいベース tarball (26.9 MB) をビルドしました。また彼は、toolchain と XFree86 を含む、GNU/FreeBSD パッケージ用の APT リポジトリを構築しました

Kerberos を利用して CVS にアクセスするEssential CVS の著者 Jennifer Vesperman さんは、不安定版 (unstable) の Debian システムで Kerberos 5 と GSSAPI (Generic Security Services API) を使った CVS の利用方法についての記事を書きました。この文書は、GSSAPI を使って cvs をコンパイルする方法を説明し、 それを使ったデモをしています。また Jennifer は、いくつかの起こりそうな問題と、 それらの解決法も説明しました。

Acer タブレット PC 上で Debian を起動する。 Dean Townsley さんは、ふつうのノートブックとしても使える Acer Travelmate C100 タブレット PC に、何とか Debian GNU/Linux をインストールしました。 以前に何台かのシステムを設定したり、カーネルのコンパイルをしたことのある人なら、 こういったマシンに Debian をインストールして設定できるはずです。 彼は、どうやってシステムをネットワークから起動するか、 ペンをサポートするのに X をどのように設定する必要があるのかについて、詳細に記述しました

ロケットに乗った Debian。 Portland State Aerospace Society の Andrew Greenberg さんと Brian O'Neel さんは、今年の 9 月に打ち上げ予定の 12 ポンドのロケットを作りました。 これは、55,000 フィートまで音速の 3 倍で飛行します。このチームは、 商用のロケットに比べれば小さいが趣味のものよりは大きく強力な、軌道に乗らないロケットを作っています。またこのプロジェクトは、 Debian のようなフリーソフトウェアやハードウェアに依存しており、 これらによってロケットの性能を飛躍的に向上させようとしています。

大きな i18n ファイルをパッケージにする。 Ben Burton さんは、koffice 用の国際化 (internationalisation、i18n) ファイルをパッケージにしたいと思いました。しかしあいにく、こうするとアーカイブに 21 MB も追加することになってしまいます。彼は、どれも欠点を持っていますが、 三つのシナリオを思いつきました。それぞれの言語用に 37 個のパッケージを追加する、 すべての言語を含む大きなパッケージを追加する、もしくは kde-i18n-lang パッケージにこれらの言語ファイルを追加するというものです。 どれもあまり良い考えとは思えません。

オープンソフトウェアライセンス。 Joey Hess さんは、RPM 4.2 に含まれている elfutils が新しいライセンスを使っているのを見つけました。 しかし Walter Landry さんは、このライセンスは GNU GPL と互換性がないと指摘しました。 Branden Robinson さんは、このライセンスは Debian Free Software Guidelines 互換でさえないと判断しました

UTF-8 の Debian changelogs の状況。 Jérôme Marant さんは、Debian changelog ファイルでの UTF-8 の利用状況について尋ねました。 彼は UTF-8 でエンコードされた debian/changelog ファイルをいくつか見かけたのですが、 これが許されているかどうかに関する記述を Debian ポリシーに発見できませんでした。 Josip Rodin さんは、Debian ポリシーは実装よりも先行している必要はないと説明しました

DebConf 登録締め切り。 Andreas Schuldei さんは、管理上・組織上の理由により、6 月 16 日に DebConf 3 と DebCamp の登録を締め切ると発表しました。オスロでの宿泊施設は無料で、キャンプと会議の場所からすぐそばの体育館です。 期間中に登録できなかった人も歓迎されます。しかし、 先に登録した人達と同じ扱いを主催者から受けられるとは期待しないでください。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

新規または言及するべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

みなしご化されたパッケージ。 今週 3 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 186 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Joe Nahmias, Colin Walters, Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。