Debian ウィークリーニュース - 2003 年 11 月 11 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 45 号へようこそ。Netcraft の最新データによると、Apache ウェブサーバで運用しているウェブサイトの数は、先月より大幅に増加して 67.41% に達したそうです。 James Maguire さんは、Java がすでに死んでいるのかどうかを知りたいと思い、真実からは程遠いと結論づけました。また、安定版 (stable) Debian リリース (コードネーム woody) の新たなアップデートが準備されています。

Debian 用の Exec-Shield? Russell Coker さんは、exec-shield について調べました。これは GRSecurity で最も魅力的な機能である PaX のように、ある程度の予防措置を付け加えるものです。 exec-shield はカーネル 2.6 もサポートしていて、Red Hat の標準機能になるようです。Russell は、標準の Debian カーネルソースに exec-shield を追加するよう提案しました。もし exec-shield を Debian のカーネルに追加するのが好ましくなければ、彼は exec-shield 用のカーネルパッチを作るつもりです。

DFSG 第 1 条の明確化。 Roland Stigge さんは、第 1 条をちょっとだけ明確にしようと、Debian フリーソフトウェアガイドライン (DFSG) の改正を提案しました。これは、LaTeX2HTML の法的立場に関する議論から生じたものです。 Henning Makholm さんは、これは debian-legal での合意とも合うと付け加えました。

Debian Jr. が OSEF に参加。 Ben Armstrong さんは、Debian Jr. が Open Source Education Foundation (OSEF) に参加したと発表しました。また Ben は、最近拡張された理事会の理事になりました。これは Debian Jr. と OSEF 双方を強化することになるでしょう。両グループは Debian Jr. パッケージの品質向上を目指していて、子どもたちにフリーソフトウェアを紹介するという共通の目的を持っています。

社会契約に関する議論。 Branden Robinson さんは、社会契約の改正に関する彼の提案のスレッドの一部をまとめました。彼は提案を取り下げようと考えていると述べ、プロジェクト書記からの助言を求めています。 Anthony Towns さんは、彼が社会契約を書き換えるなら、フリーで優れたオペレーティングシステムの構築や、コミュニティのサポート、全てのソフトウェアを Debian が出来る限りオープンにしてサポートするなどの点を盛りこむだろうと述べました。

SPI 理事の選挙開始。 Wichert Akkerman さんは、Software in the Public Interest, Inc. (SPI) の役員を新たに 3 名選ぶ選挙が始まったと発表しました。候補者は、David Graham さん ("cdlu")、Ian Jackson さん、Jimmy Kaplowitz さん ("Hydroxide")、 Martin Schulze さん ("Joey") の 4 名です。全ての賛助会員は、11 月 21 日までオンラインで投票できます。この期間中に賛助会員になった人々にも、投票する資格があります。ニュース速報: 11 月 17 日月曜日の 17:00 UTC に、候補者全てによる討論が irc.oftc.net の #SPI チャンネルで行われます。

Package のバージョン番号付け。 Mark Johnson さんは、docbook-simple パッケージのバージョンを 1.0cr2 からバージョン 1.0 に更新する方法について疑問に思いました。 Neil Roeth さんは、バージョン文字として 1.0.0 を使えばよいと提案しました。 Andreas Metzler さんは、古いパッケージをアーカイブから削除して新しいものをアップロードしても問題の解決にはならない、と説明しました。新たにアップロードされたパッケージのバージョンを、 dpkg が前より低いものだと解釈すると、すでに古いバージョンをインストールしている人のところでは自動的な更新が行われないからです。

新たに提案された Apache のライセンス。 Apache Software Foundation は、彼らのオープンソースプロジェクトに新たに一連のライセンスを採用しようと考えています。彼らは、提案された 2.0 ライセンスと関連事項について、一般からのレビューとコメントを求めました。Brian Carlson さんは、少なくともアメリカで、この新しいライセンスの一部が合法かどうかを疑っています。

Debian Installer ベータ 1。 Joey Hess さんは、sarge 用の新しいインストールシステム、debian-installer の最初のベータリリースを発表しました。このベータ版は、i386 と powerpc アーキテクチャ用のみの提供です。更なるアーキテクチャは後のベータ版で、とのことです。手伝いたい人は TODO を見てください。

BRLTTY 入りの Debian-Installer フロッピー。 Mario Lang さんは、BRLTTY をサポートした Sarge 用の Debian-Installer ベースのフロッピー一式を発表しました。彼も既にこれらを使って新たにシステムをインストールしているので、うまく動くようです。最初のフロッピーブート時に、どんなディスプレイがどこに接続されているのかを brltty に伝えるため、lilo にカーネルオプションを渡す必要があります。

新しい Skolelinux の CD イメージ。 Petter Reinholdtsen さんは、新しい Skolelinux の CD イメージ (プレリリース 41) を発表しました。セキュリティと言語の更新について記した changelog が含まれています。また Debian インストーラも更新されており、 PCMCIA や USB のサポート、ハードウェアの検出機能が向上しています。

Debian XML/SGML ポリシーのドラフト。 Mark Johnson さんは、XML や SGML のリソースを対象としたポリシーのドラフトを発表しました。現時点では、(ディレクトリ配置などを説明した) 2 章と 3 章しか完成しつつあるという程度です。フィードバックは debian-sgml メーリングリストまで送って下さい。

共同の XML/SGML パッケージングプロジェクト。 Mark Johnson さんは、全ての XML/SGML パッケージメンテナに、Alioth で提供されている共同のパッケージング・メンテナンス活動に参加するよう誘いました。これらの動機は、OASIS XML Catalog 仕様を実装すること、新たな XML リソースを増やすこと、です。また、ノンメンテナアップロードによる混乱を解消することも動機の一つです。

アデレードで Debian MiniConf3。 Debian ミニ会議がまたもや、アデレードの Linux Conference Australia に併設して行われます。カンファレンスへの登録は、Debian ミニ会議への登録も兼ねています。現在、主催者は論文を募集しています。

Filesystem Hierarchy Standard 2.3。 Martin Michlmayr さんは、FHS 2.3 がまもなくリリースされると言いました。しかし、/srv と /media をめぐる論争が続いています。彼は、Debian がこれについて意見を持っているなら都合がよいと考え、提案に目を通してコメントするよう促しました。

Debian がいくつかのリーダーズチョイスを受賞。 Debian プロジェクトは、今年は非常に成功した年であり、有名な GNU/Linux の雑誌からいくつかのリーダーズチョイスを受賞したと発表しました。Debian は、Linux Journal 2003 Readers' Choice Awardsの「最も好みのディストリビューション」部門、Linux Enterprise Reader's Choice 2003 の「ベストエンタープライズディストリビューション」部門、そして Linux New Media Award 2003 の「ベストディストリビューション」部門を受賞しました。

セキュリティ上の更新。いつもの手順はご存知でしょう。もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、システムを更新してください。

PostgreSQL -- バッファオーバフロー。
conquest -- ローカルの conquest 権限搾取。
EPIC4 -- サービス不能攻撃。
omega-rpg -- ローカルの games 権限搾取。

新規または言及するべきパッケージ。以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、または重要な更新を含んでいます。

aap -- ソフトウェア構築のための make のような「エキスパートシステム」。
anteater -- 100% C++ で書かれた MTA のログアナライザ。
aqmoney -- HBCI ホームバンキング用のコマンドラインユーティリティ。
arc -- MSDOS の ARC プログラムをベースとしたアーカイブユーティリティ。
arptables -- ARP テーブルの管理。
chasen-dictutils -- 日本語形態素解析システム - 辞書ユーティリティ。
cutter -- ルーティングされた IP 接続を切断。
digikam -- KDE 3.x 用のデジタルカメラアプリケーション。
discus -- 見栄えのよい df(1) コマンド。
dvdauthor -- DVD-Video ファイルシステムの作成。
dvdrtools -- DVD 書き込みプログラム。
eagle -- プリント基板の設計ツール。
eciadsl -- Globespan ベースの USB ADSL モデム用のユーザスペースドライバ。
festalon -- OSS (/dev/dsp) 用の NSF プレーヤ。
fisg -- IRC の統計データを高速に生成。
gngeogui -- gngeo の GUI フロントエンド。
gnome-office -- GNOME Office スイート。
gnusound -- 強力なサウンドエディタ。
ifmetric -- ネットワークインタフェースのルーティングメトリックを設定。
lg-issue96 -- Linux Gazette の第 96 号。
opendb -- ウェブ上のオープンな貸し出しデータベース。
osdsh -- 様々なシステム情報をスクリーンにオーバレイ表示。
powernowd -- 2.6 カーネルのインタフェースを用いて CPU 速度と電圧を制御。
prelude-lml -- ハイブリッド不正侵入検出システム [ ログモニタの追従 ]。
prelude-manager -- ハイブリッド不正侵入検出システム [ レポートマネージャ ]。
prelude-nids -- ハイブリッド不正侵入検出システム [ ネットワークセンサー ]。
pxe -- フリーの PXE デーモン。
qalculate -- 強力で使い易い卓上電卓。
smbget -- SMB/CIFS プロトコル用のダウンローダー。
sng -- PNG コンテンツ描画に特化したマークアップ言語。
tcltls -- Tcl の TLS OpenSSL 拡張。
toursst -- どこでも好きなところに RSS チャネルニュースの記事を。
vpnc -- Cisco 互換の VPN クライアント。
vqadmin -- vpopmail 用のウェブベース制御パネル。
waproamd -- WLAN ローミングデーモン。

みなしご化されたパッケージ。今週 3 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。これでみなしご化されたパッケージは合計 187 個となりました。フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

ipmasq -- IP Masquerade のフォワーディング/ファイアウォールを安全に初期化。 (Bug#219173)
php4-apc -- ロード高速化のため PHP スクリプトをキャッシュするプログラム。 (Bug#219571)
snd -- サウンドファイル用エディタ。 (Bug#219837)

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Drew Scott Daniels, Andre Lehovich, Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。