Debian ウィークリーニュース - 2004 年 8 月 10 日
Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 31 号へようこそ。Erinn Clark さんは、Debian Women のウェブサイトにコンテンツを少し置いたと報告しました。 Steve Langasek さんは、libtiff の新しいバージョンがすでに不安定版 (unstable) に登場しているので、依存しているパッケージを再構築するようメンテナに促しました。
sarge のリリース最新情報。 Colin Watson さんは、「基本 (base)」と「標準 (standard)」のパッケージは、 不安定版 (unstable) を経由しては sarge に入れられなくなる、と報告しました。彼は、今後できるだけ早くリリースクリティカルバグを修正する必要があると言いました。 また、これらのバグは一週間以上オープンしたままにすべきではありません。 名刺サイズとネットワークインストール CD イメージのインストーラがビルドされており、 完全な CD セットもビルド中です。インストールマニュアルも洗練され、 リリースに向けて準備されています。
Debian-Installer 回顧録。 Joey Hess さんは、debian-installer が現在に至るまでの出来事をまとめました。この武勇伝は、2000 年に彼がニューヨークのクラブで Adam Di Carlo さんに会ったところから始まります。彼は、このプロジェクトは約束通りの時間や予算内では完成しなかったが、 「正しいこと」をできたのは幸運だった、と言いました。sloccount によると、 このインストーラには 51,000 行ものコードがあり、12 人年かかっているようで、 非常に印象的です。
bash 3.0 の互換性問題。
Blars Blarson さんは、sarge に入るはずだった bash 3.0 が内蔵の trap
コマンドに関してより厳密な (POSIX に準拠する) 文法を持っていて、
他の Bourne 互換シェルとの互換性を損ねるということに気づきました。少なくとも、cnews と sendmail がこの影響を受けます。
Steve Langasek さんは、どちらにせよ sarge に入れるにはアップロードが遅すぎたので、
不安定版 (unstable) で問題を解決するだけでよい、と言いました。
Debian-Installer リリース候補 1。 Debian-Installer チームは、Debian sarge インストーラのリリース候補 1 を発表しました。インストーラのこのリリースには、 以下のようなかなりの改善が含まれています: 全部で 11 のアーキテクチャをサポート、 2.6 系カーネルを使ったインストールのサポート、firewire CD ドライブと firewire イーサネットのサポート、40 もの言語への翻訳、数々のバグ修正や改善などなど。
sarge リリースの問題点。
Adrian Bunk さんは、sarge の libtiff 移行に問題を見つけました。
不運にも libgpg-error0
の新しいバージョンは、sarge にあるバージョンが base
フリーズの一部として凍結された数日後に、新しい shlibs
ファイルとともに不安定版 (unstable) にアップロードされました。したがって、
新しいバージョンに対してビルドされたまだ凍結されていないパッケージは、sarge
に入れられなくなってしまいました。これは、少なくとも GNOME と Evolution に影響します。
人気コンテストへの参加者募集。 Petter Reinholdtsen さんは、Debian の 人気コンテストに参加するよう呼びかけました。 集められた情報は、公式の Debian CD にパッケージを入れる順序を決める目安として利用されます。 ユーザの実態をこの順序に反映させるためには、可能な限りのインストールをして popularity-contest へ参加するのが重要です。
ビルドせずにバイナリコードを配布。 Shaun Jackman さんは、付属するソースコードからコンパイルするのではなく、 開発元から提供されたバイナリファイルをそのまま配布するのは問題ないかどうか疑問に思いました。 Roland Stigge さんは、ライブラリにパッチが必要になった場合に (例えばセキュリティ上の更新など) 問題になるだろうと述べました。
セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。
- libpng -- 複数の脆弱性。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- automake1.9 -- GNU 標準準拠の Makefile 生成用ツール。
- cgiirc -- ウェブベースの IRC クライアント。
- cimg-dev -- 強力な画像処理ライブラリ。
- flyspray -- PHP で書かれた軽量バグ追跡システム (BTS)。
- gnubik -- 三次元ルービックキューブゲーム。
- grub2 -- 次世代の GNU GRUB [EXPERIMENTAL]。
- kipina -- スポーツ選手の身体活動を記録するトレーニングプログラム。
- konserve -- 定期的にバックアップを実行する KDE アプレット。
- qgo -- 囲碁クライアントとフル装備の SGF エディタ。
- sibyl -- Broadcom SiByte MIPS ボード用のブートローダ。
- sysfence -- システムリソースを保護するツール。
- teapop-ldap -- 強力かつ柔軟な RFC 準拠の POP3 サーバ。
- traffic-vis -- HTML、Postscript、その他の形式でレポートを表示するスニファー。
- utf8script -- UTF-8 で記述されたスクリプト用の binfmt_misc プラグイン。
- vserver-debiantools -- Debian バーチャルサーバの管理用ツール。
先週紹介された Debian パッケージ。 毎日、様々な Debian パッケージがテスト版 (testing) ディストリビューションから取り上げられています。 もし他の人も知っているべきだと思っている、世に埋もれたパッケージを知っているなら、Andrew Sweger さんまで知らせてください。先週、「今日の Debian パッケージ」 では以下のパッケージが紹介されました。
- woody -- 階層的テキストエディタ。
- ncftp -- ユーザフレンドリで多機能な FTP クライアント。
- tzwatch -- 指定したタイムゾーンの時刻と日付をコンソール上に表示。
- hping2 -- 能動的なネットワーク試験ツール。
- lftp -- 洗練されたコマンドライン FTP/HTTP クライアントプログラム。
- console-tools -- Linux のコンソールとフォント用ユーティリティ。
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今週号の Debian ウィークリーニュースは Andre Lehovich, Michael Banck and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広 が翻訳しました。