Debian ウィークリーニュース - 2004 年 9 月 21 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 37 号へようこそ。ドイツのコンピュータ雑誌 c't の最新号では、ノート PC での GNU/Linux が特集されていて、最新の 14 機種がテストされています。 その中の一つ、ASUS M2400N には、Xtops.DE によって Debian GNU/Linux がプリインストールされています。

セキュリティを強化した DebianDebian Hardened は、Debian の公式なサブプロジェクト目指す新たなプロジェクトです。その目的は、 標準の Debian ディストリビューション向けに、 セキュリティを強化したカーネルやソフトウェアパッケージの完全なセットを 提供し、Adamantix のような他のディストリビューションに乗り換えなくても Debian GNU/Linux で運用しているあらゆるマシンのセキュリティ強化を容易にすることです。

Ubuntu 4.10 プレビューリリース。 Benjamin Mako Hill さんは、Ubuntu Linux (コードネーム "Warty Warthog") の最初のベータリリースを発表しました。この新しいディストリビューションは Debian ベースで、GNOME 2.8 を組込み、x86・AMD64・PowerPC の各アーキテクチャで利用可能です。 Ubuntu は 6 ヵ月毎の新規リリースと、各 リリースに対するセキュリティ上の更新を 18 ヵ月間行う計画をしています。このDebian との関連を述べたページには、彼らのリリースプロセスについて詳細に書かれています。

Debian 安定版 (stable) のスキャナとフィルタを更新。 Joey Schulze さんは、次期 Debian リリースでウィルスやセキュリティのスキャナ、 spam フィルタなどのデータベースを更新する手段について尋ねましたNessus と ClamAV はデータベースの更新に特殊なプラグインを使い、f-prot はインストーラパッケージを使います。Martin Michlmayr さんは、まずは安定版 (stable) のアップデートポリシーを変更するよう提案しました

SSL 認証局の整備。 Kai Hendry さんは、SPI は 認証局 (CA) を運用していて、Debian ユーザが楽に暮らせるよう証明書を発行できるだろうに、 なぜ個人で CA を構築しなければならないのか疑問に思いました。 Javier Fernández-Sanguino Peña さんは、SPI は CA ではなく、 自分自身もしくは閉じたプロジェクト内で使うために証明書を用いているだけだと説明しました

Open Software License v2.1。 Matthew Wilcox さんは、Open Software License のバージョン 2.1 について新たな議論を始めました。 かつてのバージョン 2.0 は、Debian フリーソフトウェアガイドラインによればフリーとはみなされませんでした。 Anthony DeRobertis さんは、この新しいバージョンでもまだフリーではないと主張し、 Andrew Suffield さんの意見に従いました。

Debian と Global File System? Newsforge の記事で、 Angelo Ovidi さんがオーソドックスな 2.6.8.1 カーネルで Global File System (GFS) をサポートした非公式な Debian カーネルパッケージを発表したことが報告されました。GFS はジャーナリングや、クライアントフェイルからの回復など多くの機能をサポートしています。 Bastian Blank さんは、既に 公式パッケージ一式をビルドして不安定版 (unstable) にアップロードしていますが、 一つだけ incoming キューで止まっているパッケージがあります。

sarge でソースパッケージが見当たらない。 Jeroen van Wolffelaar さんは、対応するソースパッケージが Sources ファイル中に見当たらないバイナリパッケージがいくつかあるのに気づきました。 これは、アーカイブ署名鍵からの信頼できる経路が確保できず、また、 apt-get -b source で同じバージョンがビルドできなくなるということです。

インストーラのリリース候補計画。 Joey Hess さんは、新しい debian-installer がこれまでのリリースに比べていい形に仕上がっているのに気づきました。 彼は間もなく新たなリリース候補を発表し、今週ドイツのオルデンブルグで行われる開発者会議に向けて全ての開発者が同じ作業に取り組めるよう、 グループの目標を練りたいと思っています。

ウィークリー CD/DVD ビルド。 Santiago Garcia Mantinan さんは、sarge 用のウィークリー CD/DVD の自動作成を再開したと発表しました。 今回それらは JTE を使い、イメージの高速な生成を実現しています。作成過程の変更により、 新しいイメージには新たなバグがあるかもしれないので、どんな問題でも debian-cd メーリングリストまで報告してください。

sarge のリリースノート。 Rob Bradford さんは、ついに sarge のリリースノートを書き上げたと発表しました。 以前に英語版ができていないためにがっかりした翻訳者も、ドキュメントの翻訳を始められます。

sarge での LSB の状況? Martin Michlmayr さんは、Debian sarge における Linux Standard Base (LSB) の状況について疑問に思いました。 Jeff Licquia さんは、既に LSB 2.0 に取り組んでいると説明しました。 問題となりそうなのはダイナミックリンカ、glibc、diffcoreutilsFilesystem Hierarchy Standard ぐらいだと見込んでいるそうです。

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

先週紹介された Debian パッケージ。 毎日、様々な Debian パッケージがテスト版 (testing) ディストリビューションから取り上げられています。 もし他の人も知っているべきだと思っている、世に埋もれたパッケージを知っているなら、Andrew Sweger さんまで知らせてください。先週、「今日の Debian パッケージ」 では以下のパッケージが紹介されました。

みなしご化されたパッケージ。 今週 1 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。 これでみなしご化されたパッケージは合計 154 個となりました。 フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。 完全なリストが、WNPP のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、 バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Andre Lehovich and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広 が翻訳しました。