Debian ウィークリーニュース - 2004 年 11 月 2 日

Debian コミュニティのための週刊ニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 43 号へようこそ。Adrian von Bidder さんは、rsync を使った Debian のミラーリングはサーバの CPU パワーをかなり消費するので、 勧められた方法ではないと言いました。 Luke Kenneth Casson Leighton さんは、SourceForge のサーバのいくつかが、商業的な理由により Debian 2.2 (potato) から Fedora の最新リリースに移行した報告しました

Systems 展示会からのレポート。 Michael Banck さんは、今年の Systems 展示会での Debian の様子をまとめました。 Debian プロジェクトは、Skolelinux、KDE、OpenOffice.org、各種 BSD のようなフリーソフトウェアプロジェクトと並んでブースを運営しました。近くに (Debian 以上に多くのプラットフォームに移植されている) NetBSD がいたにもかかわらず、Debian のブースはハードウェアで最もクールな一角を形成していました。 ブースには、Linux 2.2 カーネルで Debian の安定版 (stable) が動く、Mac SE/30 が置いてあったのです。

関西オープンソースからのレポート。 上川純一さんは、10 月 23 日に大阪で行われ、約 30 人の Debian 界隈の人が集まった、今年の関西オープンソースでの Debian ミーティングについて報告しました (日本語版)。Debian 全般を紹介するトークや、Debian メンテナへの道と題した発表とその日々の作業についての講演などがあり、 ミーティングはパネルディスカッションで幕を閉じました。

Debian のメーリングリストでの配送遅延。 Pascal Hakim さんは、多くのメールサーバがなかなかメールを受け取ってくれないので、 Debian のメーリングリストが影響を受けていると報告しました。さらに、28,000 人もの購読者がいる debian-announce メーリングリストへのメールも、問題をさらに悪化させています。また彼は、Cord Beermann さんを listmaster チームに加えたと発表しました。

カーネルと sarge のアップグレード。 Frank Lichtenheld さんは、i386 上で woody から sarge への dist-upgrade が初めて成功したと公表しました。 Andreas Barth さんは、すべてのプラットフォームについての問題点をまとめました。 i386 以外にも、hppa、arm、sparc、mips(el) で glibc とカーネルの非互換性によるアップグレードの問題があるようです。これらのうちのいくつかは、 最初にカーネルをアップグレードすれば問題ないようです。

Filesystem Hierarchy Standard 2.3。 Manoj Srivastava さんは、sarge のリリースに用いられている Filesystem Hierarchy Standard (FHS) 2.1 を、次期バージョン 2.3比較しました。 2.3 での変更点により、アーカイブの修正が必要になります。一部の人は、GNOME が作成する ~/Desktop は将来的にも許されるのか許されないのか疑問に思いました。もっとも、この挙動はたいていの場合毛嫌いされています。

リリースクリティカルバグ報告。 Cord Beermann さんは、最近、RC バグ報告の一覧がメーリングリストによってジャンクメールとみなされ、 購読者に届いてないことに気づきました。 今は修正されています。Javier Fernández-Sanguino Peña さんは、 このバグ報告を現時点で sarge に影響するバグのみの一覧とするよう依頼しました。 Colin Watson さんは、いつになるかは分からないが詳しく調べてみると言いました。 さらに Andreas Barth さんは、この一覧に experimental のタグが付いたバグも含めるようにしたと報告し、修正されました。

公開された秘密鍵束。 Matthew Garret さんは、Debian の AMD64 移植用 wanna-build データベースにアクセスする秘密鍵束が公開されていてGoogle を通じて発見可能だと気づきました。 Adam Majer さんは素早く対応し、危険な状況になると判断してこのアーカイブ鍵をただちに破棄しました

BitTorrent で Debian をアップデート。 Arnaud Kyheng さんは、bittorrent ネットワーク向けに apt proxy始めました。 セキュリティ上の理由から、パッケージのリスト (Packages ファイル) と .torrent ファイルは通常のパッケージのように正規の HTTP サーバから取得されます。しかし、 パッケージ本体は bittorrent プロトコルで取得され、apt に渡されます。初期のアイデアのいくつかは、 すでに BTS で議論されています。

ウェブフォーラムの内容に対するライセンス。 Sebastian Feltel さんは、来年 1 月 1 日以降の debianforum.de への新たな投稿について、 ライセンスを MIT/X11 に変更するよう望みました。 そして、2 つのライセンスが存在することによる潜在的な問題について疑問を呈しました。 過去に寄稿した約 5,000 人のユーザ全員に聞いたところ、 過去の投稿に対するライセンスの変更はいつ終わるとも知れない作業となります。最終的に Sebastian は、 ユーザが使いたいライセンスを選択できるようにコードを修正しました

2.6.9 カーネルのパッケージング? Andres Salomon さんは、2.6.9 カーネルに必要なパッチをカーネルリポジトリに用意したと報告しました。 しかし Christoph Hellwig さんは、sarge に向けて 2.6.8 の方が先決ではないかと提案しました。 Andres は、比較のため、またバックポート用パッチの情報源として 2.6.9 も提供したいと思いました。

新しい Skolelinux CD イメージ 1.0r1。 Petter Reinholdtsen さんは、新しい Skolelinux CD イメージ発表しました。 このイメージは、最近のセキュリティアップデート、カーネルのアップグレード、 新規にいくつかの翻訳が追加されています。ハードウェア検出のデータベースも更新されました。 また、Skolelinux は最近ドイツで受賞しました

Debian でカーネルのクロスコンパイル。 Al Viro さんは、様々なアーキテクチャ用の Linux カーネルをクロスコンパイルするのに、Debian をどのように使っているか説明しました。 コンパイルはすべて 1 台の K7 と 2 台の AMD64 マシン上で行われています。 また彼は、sparc32、sparc64、alpha、powerpc 用のクロスコンパイル環境を設定しました。 結果として、これらのアーキテクチャにおけるコンパイル時のエラーを迅速に捕捉できるようになりました。

Debian CD/DVD のディレクトリレイアウト。 Steve McIntyre さんは、ついに woody (3.0) の DVD jigdo ファイル一式を公開したと報告しました。 そして、サーバ上でのディレクトリレイアウトについて疑問を呈しました。彼は、 既存の jigdo ファイルの移動が必要となるようなレイアウトを提案しました。 Richard Atterer さんは、cdimage に用意されている sarge のフル DVD イメージは i386 用だけなので、woody についても同じように実装すべきだと主張しました

セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。

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今週号の Debian ウィークリーニュースは Matt Black and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広 が翻訳しました。