Debian ウィークリーニュース - 2007 年 4 月 24 日
Debian コミュニティのためのニュースレター、Debian ウィークリーニュースの今年の第 5 号へようこそ。Roland Mas さんは、Alioth のユーザがバージョン管理に Mercurial を利用可能になったと発表しました。Robert Millan さんは、Vista を含む Windows オペレーティングシステム用の Debian ローダのバージョン 0.4.0 を発表しました。Joey Schulze さんが、公式なサーバからも IPv6 経由でセキュリティアップデートができるようになったと報告しています。Debian GNU/Linux 4.0 のリリースが世界中で祝われています。
Debian GNU/Linux で経費を節減。 ドイツ総領事館の IT 部門リーダー、Rolf Schuster さんが、フリーソフトウェアを利用して、IT 経費を大幅に削減したと報告しました。ライセンス料の低減や、アップデートサイクルから脱出したいという思いから、 このオフィスでは 2002 年に移行を開始し、その後、230 個所の大使館を安全なイントラネットゲートウェイで接続しました。 外交官が利用する、300 台を越すラップトップでも、Debian GNU/Linux をベースとした特別なディストリビューションが走っています。
Debian が Google の Summer of Code に参加。 Steve McIntyre さんは、Debian プロジェクトが今年の Google Summer of Code に採用されたと発表しました。期間中、Google はフリーソフトウェアの創作や将来の開発を後援します。 参加の調整や、予定されるプロジェクトのアイデア・企画書の収集のために、Wiki ページが用意されています。 採用された志願学生のリストが、4 月 9 日に発表されました。
新しい GNU/kFreeBSD CD イメージ。 Aurelien Jarno さんは、Debian GNU/kFreeBSD 用の新しいインストール CD イメージが利用可能になったと発表しました。この移植版は、GNU C ライブラリと FreeBSD カーネルをベースにしています。 この CD イメージでは以前のバージョンよりも多くの最新ハードウェアをサポートした、 バージョン 6.2 のカーネルを使用しており、i386 および amd64 プラットフォームで利用できます。
Sam Hocevar さんが Debian プロジェクトリーダーに選出。 Manoj Srivastava さんは、今年のプロジェクトリーダー選挙の当選者は Sam Hocevar さんだと発表しました。 任期は 4 月 17 日から始まります。合計 482 名の開発者が投票しました。Debian プロジェクトは、Sam さんの今後の任務と決断が最高のものであることを期待しています。また、Debian プロジェクトリーダーとしての任期を終えた、Anthony Towns さんに感謝します。
Debian GNU/Linux 3.1 が更新。 Alexander Schmehl さんは、旧安定版ディストリビューションの sarge が、 セキュリティ上の更新と若干の修正を盛りこんで、6 度目の更新が実施されたと発表しました。新たな安定版 (stable) ディストリビューションとして etch がリリースされたので、sarge は旧安定版 (oldstable) となりました。sarge を使いつづけたいユーザは、3.1r6 にアップグレードする前に特別な注意を払う必要があります。
Debian GNU/Linux 4.0 がリリース。 Debian プロジェクトは、Debian GNU/Linux 4.0 (コードネーム etch) のリリースを発表しました。58 もの言語や暗号化パーティションをサポートした新たなテキストおよびグラフィカルなインストーラ、パッケージおよびリポジトリの検証、 そして多くの新規および最新のソフトウェアパッケージが含まれています。アップグレードする前に、リリースノートを読むよう、強く勧めます。 約 2 年に渡る開発の末、このリリースは Debian の歴史に新たなマイルストーンを記しました。
Ian Murdock さんへのインタビュー。 Debian の創始者 Ian Murdock さんが、LinuxFormat からのインタビューを受けました。 彼は、Debian がこれほどまでに成熟したのは満足だが、Debian プロジェクトが etch をスケジュール通りにリリースできなかったことや、なぜそうなったかを思うと残念だ、 と語っています。Ian さんは、Debian の「開発者全員の合意がなければリーダーとて何も決断できない」という民主主義的な体制に反対し、 よりよい事例として Ubuntu に言及しました。また、後者に関して、Debian との互換性の問題に関する彼の考えを述べました。
Debian Conference への参加再確認。 Jörg Jaspert さんは、今年の Debian カンファレンス参加予定者全員に、5 月 3 日までに参加の再確認をするよう求めました。確認の取れた参加者だけが、必要に応じて宿泊施設や食事の支援を受けられます。 もちろん、すべて自費で参加するゲストも歓迎します。
teTeX から TeX Live へ。 Frank Küster さんは、teTeX が TeX Live に置き換えられる予定だと発表しました。TeX Live は teTeX の後継で、teTeX 用に開発されたスクリプトの多くを利用しています。古い teTeX パッケージはやがて消滅し、 ユーザが実用的な TeX 環境を選択できるように移行パッケージのみが残ることになります。
Debian 4.0 CD の利用方法。 Joey Hess さんが、etch には合計 331 枚の CD および DVD イメージがあるが、 そのうちの 324 枚は滅多に使うことがないだろう、と説明しました。残り 7 枚のイメージのうち、最も重要なのはマルチアーキテクチャ DVD です。これは、32 ビット/64 ビットの x86 システムと、powerpc で起動します。システムのアーキテクチャを検出して、 自動的に正しいものが起動されます。ネットワークにアクセスしなくても、 素敵なデスクトップをインストールできるだけのソフトウェアが含まれています。
セキュリティ上の更新。 いつもの手順はご存知でしょう。 もしこれらのパッケージがひとつでもインストールされていたら、 システムを更新してください。
- DSA 1266: GnuPG -- 署名の偽造。
- DSA 1267: webcalendar -- リモートからのファイル挿入。
- DSA 1268: libwpd -- 任意のコードの実行。
- DSA 1269: lookup-el -- 安全でない一時ファイルの作成。
- DSA 1270: OpenOffice.org -- 複数の脆弱性。
- DSA 1271: openafs -- リモートからの権限昇格。
- DSA 1272: tcpdump -- サービス不能 (DoS) 攻撃。
- DSA 1273: nas -- 複数のリモートからの脆弱性。
- DSA 1274: file -- 任意のコードの実行。
- DSA 1275: zope2.7 -- クロスサイトスクリプティング欠陥。
- DSA 1276: krb5 -- 複数の脆弱性。
- DSA 1277: xmms -- 複数の脆弱性。
- DSA 1278: man-db -- 複数の脆弱性。
- DSA 1279: webcalendar -- クロスサイトスクリプティング。
新規または注目すべきパッケージ。 以下のパッケージは、最近、不安定版 (unstable) の Debian アーカイブに追加されたか、 または重要な更新を含んでいます。
- 4digits — 数当てゲーム、通称「Bulls and Cows」。
- 4g8 — スイッチングネットワークのパケットをキャプチャおよび傍受。
- acon — テキストコンソールをアラビア語化。
- aes2501-wy — USB aes2501 指紋スキャナのユーザ空間ソフトウェア。
- armagetronad — 3D Tron のような高速ゲーム。
- arp-scan — ARP のスキャンおよびフィンガープリントツール。
- balder2d — 無重力状態での二次元シューティングゲーム。
- bitbake — 組み込み Linux ディストリビューション向けのビルドシステム。
- bkhive — Windows NT/2K/XP のシステム領域から syskey bootkey をダンプ。
- blktrace — ブロックレイヤの I/O をトレースするユーティリティ。
- bodr — Blue Obelisk のデータリポジトリ。
- cakephp — PHP 用の MVC 高速アプリケーション開発フレームワーク。
- chatplus — ユニコードをサポートした、シンプルなグラフィカル LAN チャットプログラム。
- clamfs — ユーザ空間アンチウィルス保護ファイルシステム。
- clive — YouTube や Google Video 用の動画抽出ユーティリティ。
- computertemp — コンピュータの温度監視アプレット、GNOME 用
- csstidy — CSS パーサおよびオプティマイザ。
- darksnow — darkice のシンプルなグラフィカルユーザインタフェース。
- debreaper — アプリケーションがクラッシュして不幸な人に、平和をもたらす。
- esniper — eBay のオークションで商品を狙い撃つシンプルで軽量なツール。
- fldigi — アマチュア無線オペレータ用のデジタルモデムプログラム。
- gbonds — GNOME 用米貯蓄債券の在庫管理プログラム。
- gbsplay — ゲームボーイサウンドプレイヤー。
- glpuzzle — 子ども向けの写真パズルゲーム。
- gnaural — プログラム可能なバイノーラルオーディオジェネレータ。
- guilt — Mercurial キューに似た、git 用の quilt。
- gurlchecker — グラフィカルなウェブサイトチェッカー。
- hexter — Yamaha DX7 のモデリング DSSI プラグイン。
- hobix — 静的なブログを柔軟に生成するシステム。
- iat — 多くの CD-ROM イメージフォーマットを iso9660 フォーマットに変換するツール。
- incron — ファイルシステムのイベントを取り扱う、cron のようなデーモン。
- isomaster — グラフィカルな CD イメージエディタ。
- javacc-doc — JavaCC パーサジェネレータのドキュメント。
- jetring — changeset を使って GPG 鍵束の管理をするツール。
- jhbuild — パッケージコレクション用の柔軟なビルドスクリプト。
- jirc — IRC チャネルから Jabber の会議室へのブリッジ。
- kamefu — KDE All Machine Emulator Frontend for Unix - バイナリファイル。
- kawari8 — 「伺か」のゴーストとして作成された、擬似 AI「偽栞」モジュール。
- kpreg — ウェブのフォームやその他のプログラムでデータを完成させてくれるヘルパーアプリケーション。
- lastfmproxy — last.fm レディオシステム用のプロキシサーバ。
- lckdo — ロックしながらプログラムを実行するユーティリティ。
- live-helper — Debian Live のヘルパープログラム。
- marble — 一般的な地図ウィジェット。
- mdf2iso — mdf を iso・cue・toc イメージに変換するシンプルなユーティリティ。
- mediawiki1.9 — 共同作業に向いたウェブサイトエンジン。
- memlockd — 重要なシステムファイルをメモリ内に確保するデーモン。
- minbar — イスラムの礼拝時間を通知する、GNOME 用のアプリケーション。
- murmur — P2P の Soulseek デーモン Museekd 用の PyGTK2 クライアント。
- mybashburn — 対話的なダイアログでデータ CD を焼いたり音楽 CD を作るアプリケーション。
- nekobee — シンプルなシングルオシレータプラグイン。
- network-config — ネットワーク設定のシンプルなツール。
- ocsinventory-agent — ハードウェアやソフトウェアの一覧表を作るツール (クライアント)。
- openocd — ARM7 および ARM9 システム向けのオープンなオンチップ JTAG デバッグソリューション。
- pgpool2 — PostgreSQL 用のコネクションプールサーバおよびレプリケーションプロキシ。
- postgresql-8.2 — オブジェクトリレーショナル SQL データベースサーバ、バージョン 8.2。
- pouetchess — 3D のチェスゲーム。
- postr — Flickr に写真をアップロードするツール。
- prewikka — Prelude IDS Framework 用のグラフィカルな解析コンソール。
- qtodo — ToDo リストマネージャ。
- referencer — GNOME の文書管理アプリケーション。
- remake — エラー報告とデバッグを強化した、GNU make のフォーク。
- rolo — テキストベースの (vCard) 連絡先管理ソフトウェア。
- samdump2 — Windows 2k/NT/XP のパスワードハッシュをダンプするツール。
- shell-fm — last.fm レディオストリームのコンソールベースプレーヤー。
- sineshaper — ふたつのオシレータとウェーブシェーパーを備えたモノラルシンセプラグイン。
- speedcrunch — 高精度な電卓。
- squareness — 種々のアプリケーション用スキン集。
- ssbd — アマチュア無線で使うボイスキーヤー。
- stymulator — curses ベースの、YM チップチューンフォーマットのプレーヤーおよびコンバータ
- tasks — シンプルな TODO マネージャ。
- transfermii — Wii リモコンとの間で mii を転送するプログラム。
- tweak — 効率的な 16 進エディタ。
- umview — ユーザ空間の View-OS - コアおよびベースモジュール。
- why — ソフトウェア検査ツール。
- wmgui — Wii リモコンの GUI インターフェイス。
- wminput — Wii リモコンのユーザ空間ドライバ。
みなしご化されたパッケージ。
今週 42 個のパッケージがみなしご化され、新しいメンテナを必要としています。
これでみなしご化されたパッケージは合計 403 個となりました。
フリーソフトウェアコミュニティに貢献した以前のメンテナ達に感謝します。
完全なリストが、WNPP
のページにあります。もしパッケージを引き取るつもりがあるなら、
バグレポートに一言付け加えて、タイトルを ITA: に変更してください。
あなたのシステムでインストールされているソフトウェアのうち、
どれがみなしごになっているのかというのを調べるためには、devscripts
の wnpp-alert
プログラムを使うのが便利でしょう。
- agg — AntiGrain Geometry グラフィカルツールキット (開発ファイル)。 (Bug#418269)
- arabtex — TeX/LaTeX 用のアラビア語・ヘブライ語マクロ。 (Bug#418778)
- axel — 軽量ダウンロードアクセラレータ - コンソール版。 (Bug#419679)
- bombermaze — GNOME 用の Bomberman クローン、2 〜 4 人プレー用。 (Bug#417824)
- confluence — 同期リアクティブハードウェアシステム設計用の言語。 (Bug#418965)
- conquest — リアルタイムで複数同時プレー可能な宇宙戦争ゲーム (curses クライアント)。 (Bug#418469)
- doc-html-w3 — W3 勧告。 (Bug#416033)
- dome — 測地線ドームの計算と描画プログラム。 (Bug#419082)
- drip — DVD から DivX にエンコードする GNOME アプリケーション。 (Bug#414738)
- egoboo — NetHack の精神を引き継いだ 3D 迷宮脱出アドベンチャー。 (Bug#416953) (Bug#416974)
- egoboo-data — egoboo のデータファイル。 (Bug#416957) (Bug#416982)
- elisp-manual — Emacs Lisp のリファレンスマニュアル。 (Bug#419326)
- emacs-lisp-intro — Emacs Lisp のプログラミング紹介。 (Bug#419327)
- eukleides — ユークリッド幾何学の描画言語。 (Bug#419083)
- gobo — ポータブルな Eiffel ツールとライブラリ。 (Bug#416959) (Bug#416985)
- le — 矩形やバイナリの操作を備えたテキストエディタ。 (Bug#419076)
- libjconv — 文字集合の変換ライブラリ - バイナリ。 (Bug#419090)
- mlmmj — メールサーバに依存しないメーリングリストマネージャ。 (Bug#417827)
- ncurses-hexedit — 16 進、ASCII、EBCDIC でファイルやディスクを編集するプログラム。 (Bug#419075)
- orgadoc — XML の記述から文書を体系化するプログラム。 (Bug#416956) (Bug#416978)
- pyzor — 協調フィルタリングネットワークを使ったスパム捕獲フィルタ。 (Bug#416278)
- qmailmrtg7 — qmail 用の mrtg グラフジェネレータ。 (Bug#419074)
- rigel — X 上の個人情報管理プログラム。 (Bug#417828)
- rtfm — RT FAQ マネージャ。 (Bug#419078)
- scigraphica — 科学的なグラフィックやデータを取り扱うアプリケーション。 (Bug#418807)
- spong — システムおよびネットワーク監視システム。 (Bug#418690)
- ubh — Usenet のバイナリをダウンロードおよびデコードするアプリケーション。 (Bug#417833)
- uclibc — マイクロ C ライブラリ。 (Bug#418808)
- ude — The Unix Desktop Environment。 (Bug#419088)
- varkon — パラメトリック・モデリングを備えた CAD システム。 (Bug#419086)
- vche — 仮想コンソール 16 進エディタ。 (Bug#419077)
- wmacpi — WindowMaker 用の ACPI バッテリモニタ。 (Bug#420091)
- xeukleides — ユークリッド幾何学図形の描画・閲覧システム。 (Bug#419084)
- xmaddressbook — X ベースのアドレス帳。 (Bug#418466)
- xmp — AWE32、GUS およびソフトウェアミキシングをサポートしたモジュールプレーヤー。 (Bug#419985)
- xppaut — Phase Plane Plus Auto: さまざまな方程式を解くツール。 (Bug#419087)
- ytalk — 機能強化されたトークプログラム。 (Bug#418367)
- zsh30 — 多くの機能を備えたシェル。 (Bug#418467)
削除されたパッケージ。 前号以降、Debian アーカイブから 1 個のパッケージが削除されました。
- loop-aes-modules — kernel 2.6-alpha-generic 用の loop-AES モジュール
Bug#413422: メンテナからの依頼、loop-aes で代替。
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今週号の Debian ウィークリーニュースは Thomas Bliesener, Sebastian Feltel, Johannes Wiedersich, Luca Bruno and Martin 'Joey' Schulze が編集しました。
今井 伸広 が翻訳しました。